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May 23, 2009
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カテゴリ:サスペンス映画
 コピーショップの店員ジェリーとシングルマザーのレイチェル、まったく面識のない二人が目的も知らせぬまま、誰かの指示で行動させられていく。指示は、たまたま隣合わせた人のケータイを通して、あるいは街の電光掲示板を利用してなど、通常では考えられない方法で次々と送られてくる。人質を取られているから、指示に逆らうことはできない。なぜ、どうして、どうやって。さらに命がけのダイブやカーチェイスが続き、ドキドキ、ハラハラの展開です。
 
 が、見ている私は、心配が沸いてくるのです。こうやって表面的な仕掛けがすごい映画の場合、事件の背景や犯人など真相を明かされたときにアホくさかったりショボかったりして、納得できないことがあるのです。往々に。
 
 プロレスの試合においても、遺恨とか完全決着とかいって煽られて、試合もガンガンやりまくるのだけれども、最後は両者リングアウト、反則負け、あるいは逆さ押さえ込みなどのしょぼい技で決まってしまったりすると、高揚した気持ちのもって行き場がなくなってフラストレーションがたまります。
 
 例えば「インディペンデンス・デイ(1996)」は、途中までは圧倒的な見せ場で興奮しながら見ていましたが、後半でしぼんでしまいました。見かけは頑丈な板だと信頼して歩いていたら、バリッと破れて足を突っ込んじゃったようなもの。
 
 そういう懸念を抱きながらも見ていると、「イーグル・アイ」は様々な映画の記憶を呼び覚まします。「地球爆破作戦(1970)」「デジャヴ(2006)」「ダイハード4.0(2007)」など。さらに「知りすぎていた男 (1956)」「北北西に進路を取れ(1959)」あたりの引用を見るに至っては、ヒッチコックになりきって映画作りを楽しんでいるのかな、と思ってしまいます。
 それらの過去の映画に気付いたからといって、シネフィルを自慢しているわけではありません、多少アピールしたいところはあるけどね。むしろオリジナリティを出してよといいたくなる。「キル・ビル(2003)」は、元ネタがわかると嬉しかった。多分マニアックな引用だからでしょう。でも、「イーグル・アイ」はそういう楽しさは感じませんでした。過去の映画を並べているだけ。
 
 ともあれ、映画においては見せ場の連続を用意しても、アイデアがそこ止まりで失望することがある。現象面だけではなく、登場人物の当面する問題の大きさや決着の付け方がしっかりしていないと楽しめません。絵空事でもこじつけでも、ちゃんとバランスの取れた理由付けをしないといけないんです。
 で、「イーグル・アイ」ですが、これは仕掛けにくらべて解決に至る過程が見劣りしなくて、おもしろいと思いました。映画を娯楽の一つととらえた場合には、「イーグル・アイ」は楽しい映画であることはまちがいないと思います。
 ただ、おもしろいと感じる映画とそれ以上に思い入れを感じる映画とは異なります。こだわるねぇ。


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Last updated  May 24, 2009 03:45:40 AM
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