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July 5, 2015
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カテゴリ:パニック映画

1970年代に「パニック映画」ブームがあった。

 『パニック・イン・スタジアム』は、題名にもあるようにパニック映画の一本として公開された。しかし、それは日本での便乗商法であって、本来の映画のジャンルからすればサスペンス映画だという話もある。
 ちなみに原題は、『Two-Minute Warning』という。

 ストーリー的には、アメリカン・フットボールの優勝決定戦が行われている満員のスタジアムで、ライフル魔が銃を乱射するというもの。観客は大パニックになる。

 パニック映画の場合、大惨事が起きてから話が大きく動き出す、ドラマが繰り広げられるというパターンがある。
 豪華客船がひっくり返ってから、そこを脱出するとか(『ポセイドン・アドベンチャー(1972)』)。
 高層ビルで大火事が起こってから、取り残された人々を救うとか(『タワーリング・インフェルノ(1974)』)。

 しかし、『パニック・イン・スタジアム』では、大惨事を起こす狙撃までが長い。引っ張って引っ張って、終盤に至るまで、狙撃は起こらない。

 パニック映画は、だいたいがグランドホテル形式で撮られている。
 グランドホテル形式とは「ホテルのような一つの大きな場所に様々な人間模様を持った人々が集まって、そこから物語が展開する手法。映画『グランド・ホテル』によって効果的に使用されたため、この名が付いている」(Wikipedia)。

 『パニック・イン・スタジアム』も、グランドホテル形式で話が進む。失業中の父親とその家族、多額の借金を解消しようとこの試合の賭けに人生をかけている男、やけぼっくいに火がつく熟年カップルなど様々な人々の物語が綴られる。そこんとこで、狙撃までを引っ張る引っ張る。

 引っ張って引っ張って、犯人は撃たない。だいたいがライフル魔の狙いが分からない。VIPなのか不特定多数の群衆なのか。いつだれが狙撃されるか、というところがサスペンスなんだな。

 そしてついに、ライフル魔の銃が火を噴く。10万人の観客は大パニック。我先にと出口に殺到し、押し合い圧し合いの修羅場が繰り広げられる。階段の手すりを飛び出して地面に落下する者もいる。
 阿鼻叫喚のこのシーンに子供はいない。けれども、失業中の父親とその家族などなどスタジアムには子供達がいたはず。だからリアルに考えればもっと悲惨な状況があるかもしれないが、子供が倒されて踏みつけられるような場面は意識的に撮られていない。

 ということで、この映画は、「サスペンスフルなパニック映画」という言い方もできるし、「圧巻パニック・シーンが展開するサスペンス映画」という言い方もできると思う。
 そのへんは、見る人が、サスペンスかパニックか、どっちのインパクトが強かったかで決めればいいかな。

 さてさて原題の『Two-Minute Warning』とは、「NFLの試合で前半・後半の終了2分前に自動的に挿入されるタイムアウトのこと」(Wikipedia)。この点について知識があれば、どこでライフル魔が発砲するかが予測ができたちゃったのじゃないかと思うぞ。その場合、サスペンスが半減してしまう。


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Last updated  July 5, 2015 08:56:35 PM
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