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テーマ:DVD映画鑑賞(14212)
カテゴリ:ヒーロー映画
仮面ライダーBLACKは、番組の中でほぼ2回変身する。この2回の変身なんだけど、1回目の変身で敵を倒すことはまずない。ときに敵が複数の場合(怪人+幹部)には、1回目の変身で怪人を倒すことはある。だが、2回目の変身では幹部と闘いが控えている。そのような例外的な場合を除き、通常は1体の怪人を2回の変身でやっつけていた。 なぜ、1回の変身で怪人を倒すことができないのか。 この問題を解決するため〝簡易変身〟と〝本格変身〟という仮説を立てた。 そして、この仮説を検証するために「映画版仮面ライダーBLACK」を見てみた。 まず〝簡易変身〟と〝本格変身〟について説明しよう。 テレビ版は、コマーシャルを挟んで前半部分と後半部分に分かれている。 そして、南光太郎は、たいてい前半1回と後半1回、都合2回仮面ライダーBLACKに変身する。 テレビ版全51話のうち、2話ほどは前後半通して1回しか変身しないこともあったが。 〝簡易変身〟とは、前半部分での変身である。 この変身では、南光太郎は変身ポーズをとらない。怪人が襲ってくるなどして人々が危機に瀕している、急いで、あわてて変身しなければならない。だから、「変身!」と声を上げジャンプしている途中でBLACKに変わるなどする。〝ながら変身〟といってもいいだろう。 〝本格変身〟は、後半部分の変身である。こちらは顔の右側あたりで両のこぶしを上下に構え、「ギュギュギュ」と握りしめ、「ヘン〜シン!」という掛け声とともに変身ポーズをとり、そして光太郎の顔からBLACKへの顔へと変身する過程が見せられる。 前半での〝簡易変身〟では、数少ない例外はあるが、原則的に怪人などを撃退することには繋がらない。そして、〝本格変身〟は怪人(敵)を撃破できる。 これらを見る限り、仮面ライダーBLACKが1回目の変身で敵を倒せないのは、間に合わせの〝簡易変身(ながら変身)〟だからだといえるのではないか。〝簡易変身(ながら変身)〟では、ライダーパンチとライダーキックに威力はない。きちんと本来の手続きを踏み、〝本格変身〟することによって、仮面ライダーBLACKは、フルパワーを発揮して必殺技としてのライダーパンチとライダーキックを繰り出し、無敵の存在となるのである、と見た。 この〝本格変身〟を別名〝決着変身〟と呼称する。 では、この変身について、映画版ではどうなっているのだろうか。映画版は、テレビ版ようにのコマーシャルを挟まないから、前半と後半に分けることもないはずだ。 『映画版仮面ライダーBLACK』は2本つくられた。 『仮面ライダーBLACK 鬼ヶ島へ急行せよ(1988)』と『仮面ライダーBLACK 恐怖!悪魔峠の怪人館(1988)』である。 ちなみに、テレビ版は一話の長さが約23分だが、映画版は上映時間が約25分である。ランニンタイムはほぼ同じだ。 まず『鬼ヶ島へ急行せよ』だが、こちらは1回目の変身はなかった。 映画が始まり、冒頭から子供達が姿を消す怪事件が勃発する。実行犯のカメレオン怪人を阻止するために仮面ライダーBLACKがバトルホッパーに乗って急行するので、南光太郎が登場して変身するくだりはないのだ。 おっとり刀で駆けつけた仮面ライダーBLACKはカメレオン怪人と激突するが、剣聖ビルゲニアの乱入により取り逃がす。さらに、剣聖ビルゲニアも闘い半ばで姿をくらましてしまう。 仮面ライダーBLACKは素顔の南光太郎として姿を消した子供達を探す。そして、鬼ヶ島に暗黒結社ゴルゴムの秘密基地があることをつきとめ、そこへ乗り込んでいく。 しかし、待ち受けていた5体のカメレオン怪人(映画だから豪華に怪人増量!)に取り囲まれる。ここで「ヘン〜シン!」 そして、仮面ライダーBLACKは激闘の末に、ライダーパンチとライダーキックを繰り出し5体のカメレオン怪人軍団を倒す。さらに子供達を救出、ゴルゴムの秘密基地を破壊する。ここまで、ずっと仮面ライダーBLACKの姿だ。素顔に戻った南光太郎は、エンディングでヨットハーバーを背景に、ミュージック・ビデオさながらに歌を披露する。 ということで映画『鬼ヶ島へ急行せよ』では、簡易変身のシーンはなかった。しかし、本格変身すれば、5体の怪人をも叩き伏せてしまうのだった。 つぎに『恐怖!悪魔峠の怪人館』だ。こちらは劇中で2回変身する。 ゴルゴムのシャドームーンは、北海道夕張市に世界征服の一大拠点を築きあげようと企てていた。ゴルゴムに利用されていた牧野博士は隙を見て脱走を図る。逃げた牧野博士をツノザメ怪人が襲撃し、そこへ南光太郎が救出に現れる。 ここで1回目の変身。 「ギュギュギュ」とこぶしを握りしめ、「ヘン〜シン!」という掛け声とともに変身ポーズをとる。しかし、光太郎の顔からBLACKへの顔へと変わる変身過程はない。この変身は、テレビ版にはなかったパターンである。 そして、ツノザメ怪人を追い詰めるも、段ボール箱が崩れ落ちる間にツノザメ怪人を見失ってしまう。 これは、第三の変身シーンとして〝不完全変身〟を呼びたい。やはり、完全な本格変身でないと、怪人を倒すことはできないのか。 引き続き2回目の変身。 夕張に到着した南光太郎は、悪魔峠の怪人館にゴルゴムの巣窟があるのをつきとめ、ロードセクターに乗って激走する。 途中、待ち受けたゴルゴムの襲撃を受ける。南光太郎は、疾走するロードセクター上で変身ポーズをとる。だが、これも〝不完全変身〟である。顔が変わる過程がない。 この襲撃シーンは、大爆発が連続する中をロードセクターに乗った南光太郎ないしは仮面ライダーBLACKが駆け抜ける。東映特撮アクションならではの大迫力だ。 しかしながら、その後仮面ライダーBLACKは、映画が終わるまで南光太郎に戻ることはない。そして、ゴルゴム亡霊怪人軍団、シャドームーン、ツノザメ怪人と仮面ライダーBLACKは連続バトルを繰り広げる。悪魔峠の怪人館=ゴルゴム基地は爆破、壊滅し、仮面ライダーBLACKはツノザメ怪人を必殺ライダーキックで撃破する。 ここに至って、本格変身ではない形の不完全変身でも、仮面ライダーBLACKは強敵怪人を倒すことができるとわかった。変身過程を省略しても、変身ポーズがあれば、「フルチャージ」できるわけだ。いや、宿敵シャドームーンについては退却させただけで、完全勝利を得ることはできなかった。これが〝完全本格変身〟だったら、シャドームーンを打ち破ることができたのではないか。 さて、『鬼ヶ島へ急行せよ』では南光太郎のミュージック・ビデオがラストを飾った?が、『恐怖!悪魔峠の怪人館』は仮面ライダーBLACKが素顔の南光太郎に戻ることはなく、仮面ライダーBLACKのままでロードセクターを駆って北海道を走り抜けていく。このちがいはなんなのだ?
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