カテゴリ:基本性格確定時期
『西日本連合』隊長、三椏ジュンは悩んでいた。 自転車暴走族の名に恥じぬよう、 日々自転車運転の腕を磨いていたのだが、 ある壁にぶち当たってしまっていたのだ。 『歩道に乗り上がる事が出来ない…!』 私が補助輪なしの自転車に乗れるようになったのは、 小学2年の時である。 他の隊員は就学前にマスターしている。 自転車暦が、隊員たちより少ないのだ。 それだけでも、隊長として恥じているというのに、 何たる事だ……。 私は高校生にもなって、夜な夜な自転車で 歩道に乗り上げる訓練をする。 傍らには一番下の妹が、ニヤニヤしながらソレを見ていた。 そんなある日の事である。 自分のライブの為、『西日本連合』の面々は軽快に自転車を飛ばし、 目的地であるライブハウスへと向かっていた。 車通りのないところだったので、 私たちは車道を突っ走っていたのだが… プップー… 背後から車のクラクションが…! 途端に私の心臓が、どくんどくんと音を立てた。 (やばい…。当分先まで歩道に乗れるとこがない…。) 『ようし、車と競争だ!』 そんな私の提案は、ギターの『馬鹿か。』の一言で あっさり却下されてしまった。 まず、ギターがナチュラルに歩道に乗り上げた。 次にベースが軽々と歩道に乗り上げた。 車はどんどん迫ってくる。 『ジュンちゃん、早く!』 そうだ、こんなものは勢いだ! なるべく車輪がずれないようにすればいいんだ! 見せてやるぜ、俺の生き様を!! ガッシャーン……! 『た、隊長ー!!!』 カラカラと車輪が回る。 空は快晴、雲ひとつない。 私は仰向けになり、しばし空を見上げていた。 『隊長!』 『大丈夫ですか、隊長!』 私は起き上がり、隊員たちに背を向け、 小声で『大丈夫…』と呟いたのだが、 聞こえなかったのか、わざとなのか、 ギターとベースは執拗に隊長という名を連呼した。 追い上げて来ていた車から、おばちゃんが出て来て、 危ないから車道に出てはいけないよ…と、言いながら 私の擦りむいたひざ小僧に絆創膏を貼ってくれた。 その後、憂鬱な気分のままライブを終え、 打ち上げでちょっと元気になって家に帰ったら、 一番下の妹に『こけたん?』と言われ、 また落ち込んだ高校生の私なのであった。 今なお、克服出来ていない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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