カテゴリ:母国王妃
彼女の 彼らに対する盲目の愛は 彼女を 後戻りの出来ない世界へと誘った 小学5年だか6年だった一番下の妹は、 お年玉と毎月の小遣いをやりくりしては、 映画雑誌や洋楽雑誌を買い漁っていた。 全てはジャッキー・チェンと ニューキッズ・オン・ザ・ブロックの為である。 (↑当時の米国アイドルグループ) 双方のファンクラブにも入っていた為、 彼女は足りないお金を捻出する為に新聞配達までしていた。 朝がきつかったのかすぐに辞めたが、 その頃からどうも彼女…金回りが良くなっていたのだ。 そして時を同じくして、 彼女宛に毎日何十通もの手紙が届くようになった。 不思議に思っていたある日。 彼女が私にこう言った。 『バイトしない?』 バイト…? 私に新聞配達をさせる気なのだろうか…? 首を傾げる私を尻目に、彼女は最新号の映画・洋楽雑誌と、 大量の封筒を持ってきた。 『文通コーナーの住所全部書いてくれたら500円あげるよ。』 500円…マルボロ2箱分…(当時240円) …私は雇い主と固い握手を交わした。 そうかそうか。彼女に毎日届く手紙は、文通によるものだったのか。 だが、数が多過ぎやしないか? しかもニュー・キッズファンだけでなく、 とにかく文通コーナーに載っている住所を全部書けと言う。 (それじゃあ割りに合わんと抗議したが、 じゃあ、いらないんだね…と言われ、渋々書き続けた。) 彼女は住所を書いた封筒に、次々折りたたんだ紙を入れていく。 その紙を見た瞬間…私は全てを理解した。 切り抜き等売ります 彼女が封筒に入れていたのは、 各アーティスト別に切抜きやポスターなどの詳細と、 金額を記したリストのコピー(注文書兼)だったのだ。 「送料無料」…このようなシステムの為か、 このビジネスは大成功を収め、 その金はニュー・キッズが来日した時に、惜しげもなく使われた。 彼女は他所の街まで(1人で…)行っていたのだが、 泊まる家は顧客リストからの選出である。 彼女にしてみれば、 出会い系も、ダイレクト・メールも、ネットショップも 『遅い。』のだそうだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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