消失を彷徨う空中庭園

前にいた会社から電話がかかってきました。秋田から。
続けて二人から来ました。

年明けで二件、倒産に巻き込まれたそうです。
取引先が潰れたんですね。
そのうちの一件は俺のお客様だったところです。
誰が考えても「まさか！？」と思うノーマークのところでした。
社長が入院し回復の見込みなく、従業員がお金を着服したとの噂が流れたそうです。
社長夫人が、自己破産を申し立てたようです。

ちょっと考えられないですね。一年でこんなに変わることが。
その従業員も、俺からすれば心から信頼できる人間でしたからね。
何が人を変えてしまうのか…。

世間の不況なんて甘いですよ。
地方は景気のいい時代がないようなところもありますからね。
地元の友達の話を聞いても、なんだかやりきれなくなることが多いです。

そんな中、なんで俺に電話がかかってくるのか。
俺しか持っていない情報があるんですね。一年もたっても。
仕事ぶりとか姿勢とか結果とか、今更になって言ってくるんです。
たぶん後を担う人材が力不足なんでしょう。
上から目線ですけど。
我ながらいい仕事してましたもんね。

ちょっと待っててください。
地方経済の再生に、命懸けますから。
雇用と経済と発展と、大きな希望を持っていきますから。
俺が成長して帰るまで、忘れないでください。
いい未来を作りたいです。