日常と旅情の狭間で in 仙台・宮城

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  2017/02/05 古都の洋館　～雄勝石めぐり in 京都～

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。なんとか移行終了。2017/02/05 21:57 旅行・祭り , 趣味・日記 古都の洋館　～雄勝石めぐり in 京都～関西に長期出張中、やはり気仙沼のアンカーコーヒーを淹れつつタブレットで河北オンラインを読んでいる、ホームシックというか宮城ロス気味の休日・・・でも天気もいいし何処か出掛けてみようかと、紙芝居おじさんのブログを頼りに、宮城産スレート屋根の洋館を訪ねてみることに。京都市営地下鉄を「丸太町」で下車し、レンガ造りの教会を通り過ぎて新旧家屋のたちならぶ細い通りを左折、「京都府庁旧本館」が最初の目的地。この日は議場と知事室の一般公開も。ちゃんと、屋根に雄勝石が使われていることの展示もあり。桜の季節は、中庭がそれは賑わうのだとか。一昨年に福島から送られた桜「はるか」。京都御苑、風もなく穏やかな立春すぎの昼さがり、満開の梅のもとで、ひと足早い花見気分。烏丸通を徒歩で南下し、つぎの目的地、中京郵便局へ。こちらの屋根も雄勝産らしい。京都文化博物館別館（旧日本銀行京都支店）のスレートは登米産とのこと。町屋と洋館の混在した趣ある三条通り、イノダコーヒーで土産物を確保。見どころの多い京都、何処から手をつけてよいのやらというところを、雄勝石が此処へ連れてきてくれたようだ。でも近隣の書店で、伊坂幸太郎氏と熊谷達也氏の短編の入った文庫本を買ってしまうくらいには、やっぱり宮城ロス・・・雄勝石の洋館めぐりのまとめを、いつかそのうちに。

  2017.04.23

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  2017/01/15 ニューイヤーコンサート@川内萩ホール

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2017/01/15 18:16 カルチャー , 暮らし , 趣味・日記 ニューイヤーコンサート@川内萩ホール鳴瀬川を渡る車窓、うっすらと雪を戴いた山並みと西風に流れる雲たちが、かつて暮した信州の乾いた冬晴れを思わせる。ラジオから流れる全日本学生音楽コンクールの演奏を聴きつつストーブに薪を灯し、気仙沼発・アンカーコーヒーの豆を挽く。  大崎平野の田んぼに面した古民家のような隠れ家と県都を往復する暮しを1か月と少し。石巻線の始発列車の足音に目覚め、いつか牡鹿半島の高台から拝んだ朝日を思い起こしつつ、東の地平線から昇る太陽を撮影……したいのだが、こちらも一日が始まるので、霧のなかに白い息を弾ませながら、あるいは雪の上の新聞配達の轍と早起きの犬の肉球を追いかけつつ、駅への道を急ぐ。出先で夜を明かし、北極星を探しながら一方で足もとの凍結を気にかけつつ帰途に着くのは一日二日おきが常の此の頃……お日さまとともに日がな過ごし、西向きの窓に宵の明星を見つけ、渡り鳥たちとともにねぐらにつくような一日が、いまのところの夢なのだが、はたして春までに実現するかどうか。 そんな週遅れの休日、支度をととのえて出かける先は、青葉山・川内萩ホールのウィーン交響楽団・ヨハン・シュトラウス・アンサンブルのニューイヤーコンサート（1月7日）。地下鉄東西線の国際センター駅を降り、扇坂なる階段を登る。冬木立の木漏れ日が照らす、演奏会の開演前特有の人だかりが、軽井沢・大賀ホールのメサイアコンサートを思い起こさせる。主席バイオリニスト兼指揮者が日本語の挨拶も交えてみずから司会を務める十数人のアンサンブル、真っ赤なドレスの歌姫がシャンパングラス片手に登場する演出も。後半は誰もが馴染みの、花のワルツや美しく青きドナウにつづき、アンコールラストのラデッキーマーチでは手拍子で観客と一体になり、We wish you a……アケマシテオメデトウゴザイマス、と締めくくる。年末から続いていた慌ただしさから束の間解放され、ようやく新年をことほぐことのできた瞬間だった。 情報の洪水のようなリーフレットたちには、3月4日の仙台フィル、3.11祈りのコンサート、宮城県美術館のルノワール展、東北歴史博物館のラスコー展……ともするとあっという間に過ぎ去ってしまいそうだけれど、さてどれだけ訪ねられるだろうか……ともかく、季節に追い立てられることなく、でも季節の営みを感じながら、ことしもまた一歩一歩。

  2017.04.23

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  2016/10/30 秋徒然～出張≒旅？～

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2016/10/30 21:14 旅行・祭り , 趣味・日記 秋徒然～出張≒旅？～鳴子温泉朝日と陸羽東線車窓。ツツジと田植えの五月にも訪れているので定点観測。 新潟道中（米沢、坂町経由）と信濃川河口。ノドグロが美味しい季節らしい。 特急いなほ。こんどは佐渡やら飛島の船旅も好いなぁ……

  2017.04.23

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  2016/10/08 秋晴れ・金華山航路

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2016/10/08 15:57 旅行・祭り , 復興・防災 , 趣味・日記 秋晴れ・金華山航路幾つかの台風と、出口の見えないトンネルのように終わりの待ち遠しかった長雨の季節が過ぎ、ようやく青空を拝むことのできた、先の週末の朝、出先へ向かう車窓の、見なれた街並みや蔵王連峰を思わず写真に収める。 そして、いつになく見通しのよい女川港。目的は鹿の角切り祭のとり行われる金華山黄金山神社にて、巫女さんの出で立ちで神職さんのお手伝い。震災後に訪れた夏から幾年が過ぎ、そして島の地を踏むのも1年ぶりくらいだろうか……参道の整備がすすみ、三陸復興国立公園の新しい看板が立っている。人に馴れた境内鹿やら、水平線を臨む平原に草を食んでいる群れ。午後の日差しのあまりの強さに、帽子代わりの手ぬぐいをかぶり、船着場の海水に足をつけて涼んでいると、小魚たちが近づいてくる。今日は潜れば透明度が高そうだ。 この島に最初に滞在した翌年、屋久島へウミガメ保護ツアーで訪れた際にダイビングに惹かれ、その次の年は瀬戸内海の船旅、この夏には女川でスキューバのライセンスを取り……なんだ、結局此処へ戻ってきたのだが、何処の島を訪れても思うことは、海を隔てた途端、時の流れる速度が緩やかになる。のんびりとしているのは平時であれば癒しなのだけれど、復興の進みかたもまた然り…… 山伏のお兄さんと鮎川港から牡鹿半島ドライブ。石巻市街、以前何度か立ち寄った日和キッチンの隣に雑貨店がオープンしている。珈琲工房いしかわ の新しいドリップを買い、蛇の目寿しの金華サバを味わう、旅のような日常のような、束の間の秋晴れの夕刻のひととき。

  2017.04.23

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  2016/08/15 網地白浜船旅+海水浴 2016

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2016/08/15 20:50 地域の魅力 , 復興・防災 , 趣味・日記 網地白浜船旅+海水浴 2016夜明けすぎの秋の気配は何処へやら、高度を上げた太陽がじりじりと照りつける迎え盆の朝、旧北上川に沿った一本道を歩いている。目的は、河口近くの網地島ラインの発着所。かつて、島にしばらく滞在するため、ゴロゴロと荷物を引きながら赤い屋根の石巻駅で仙石線を降り、アーケードの商店街を過ぎ、ハリストス正教会の隣に不思議なUFOが降りたったものだと萬画館を川越しにながめていた。それから十数年、同じ道のりを再び徒歩でたどることにした。一昨年の夏に訪れたときは、窓に目張りされた空き家や倒れたままの看板と、浮き輪を持ってはしゃいでいる子ども連れの組合せが、どことなく奇妙な光景に映った。それがこの日は建設のすすむ川沿いの集合住宅が視界に入り、あたりも何事もなかったかのように片付い……たと思いきや、河口に近づくにつれ、土台を残して夏草の生い茂った、名も知らぬひとびとの生活の痕跡が、5年前の現実に容赦なく引き戻す。目をそらして早足で過ぎたくなるが、海遊びに向かうとき必ずこの場所を通るように道ができているのは、恵みの海、母なる海であっても時として牙を剥くことと、この街であの日を生きのび逃げ出さず力を尽くしたひとや、全国から、世界から応援に駆けつけたひとびとのことを忘れないための戒めなのかもしれない。息が詰まりそうになるのをこらえ、しばし歩く速度をゆるめ、心のなかで黙祷。 そうこうするうちに船の姿が見えてくる。出航20分前、ちょうどよいタイミング……のはずが、すでに甲板まで鈴なりの乗客、そして臨時船が出ているにもかかわらずまさかの定員オーバー、目の前でロープを張られ、2時間半後の次の便に行列をつくることに。たしかに、網地白浜は県内で再開している数少ない海水浴場、そして短い海開き期間中の数少ない休日、この日は台風の近づく気配や積乱雲が発達する兆しもなし……となれば混雑は予想できたものの、ここまでの事態は想定外。まあ時間に追われているわけでもないし今日はのんびりしよう、日和大橋のたもとの風景をながめているのも悪くないかと気をとりなおす。先週もその前も泳ぎに行っているという地元のお母さんに、きょうはいぎなり人が多いちゃ、と列の後ろから話しかけられ、海へ入る前に熱中症になってもいけないのでしばし屋内退避。待合所のテレビでオリンピックのバタフライやら背泳ぎを観ながら水泳談義、そして旅は道連れ、と一緒に船に乗ることに。泳ぐんでしょ、といわれ、高台でゆっくりしてもいいかなと思っていたのに、本格的に泳ぐことに。方向を見失わないためにはバタフライか平泳ぎ。浮き輪やボートの合間を横方向に行き来していると、手のひらに乗るくらいのお魚に時おり出会う。慣れてくれば端から端まで、15分ほどでゆっくり一往復。海の家で焼きソバとホタテ焼を買ってひと休み、帰りの船を気にしつつ午後3時くらいまでまた泳ぎ込み。見通しのよい穏やかな夕刻、甲板で潮風に吹かれていると、田代島の仁斗田港からもかなりの乗船客、しかも聞こえてくる言葉はマルチリンガル。えびせんで餌付けされたカモメだかウミネコだかが、急旋回して近づいてくる。製紙工場のシルエットが見えれば、街はもうすぐ。次回はまた1年後くらいに泳ぎに、あるいは涼しくなって人が街に帰ってから、むかし世話になった島のひとたちを訪ねに行くもよし、また最近面白そうなことを始めているひともいると聞く。きょう乗りあわせたお母さんとも連絡先も聞かずに離れてしまったけれど、また何処かで再会できるような気がする……などと勝手知ったる「ゆぷと」の温泉に浸かりながら夜空をながめ、行き当たりばったりの小さな旅をふりかえっている。

  2017.04.23

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  2016/08/08 七夕ダイジェスト 2016

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2016/08/08 22:40 旅行・祭り , イベント 七夕ダイジェスト 2016仙台駅から名掛丁に入り七夕見物。ポケモンやらジョジョやらに人だかりができているが、夕方になっても気温が下がらないうえ、無風のアーケード内、歩いていると、シンプルな青色系や、和紙の質感が涼しげな吹き流しにほっとする。そして、お魚が食べたくなる。ユニークさ秀逸の、かまぼこ型吹き流し。コーヒーが飲みたくなる、優秀な広告塔。アーケードを抜けると、天に向かって伸びる笹の葉がそよそよと……吹き流しにも竹がすくっと伸びている。サイドには、今年ならではの、むすび丸とくまもんのコラボ。吹き流しにばかり視線が注がれがちだが、七つ飾りに目を留めるのもよし。そうこうするうちに日も暮れ、勾当台公園に到着。屋台で一ノ蔵の「すず音」を頼むと、瓶のふたをとってストローを挿され、ほろ酔い気分の、真夏の夜の夢。

  2017.04.23

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  2016/07/17 初夏徒然 ～鉄道・街・祭・湯～

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2016/07/17 19:09 地域の魅力 , 旅行・祭り , 趣味・日記 初夏徒然 ～鉄道・街・祭・湯～湿り気を含んだ風がまとわりつく休日、プランターのアサガオやらトマトやらにしばしの別れの挨拶をして、甘酒ラテとおにぎりを片手に乗ったローカル線に、久しぶりに旅心をくすぐられた。五月からこれまでの間、新幹線で関西へ一往復、もうすこし短いものも加えれば数千キロの旅をしているはずだが、どれも慌ただしい移動ばかり。日常と旅の境目は、距離の長さなどではない。 六月半ばの土曜の朝、仙台駅の在来線ホームにカメラを構えた人だかりが出来ており、何の騒ぎやらと思えば、仙台9:09発、郡山11:21着、特急ひばりのラストランのようだ。昭和世代には見おぼえのあるベージュ系の車両、肩車されている子どもたちにはどう映るのだろうかと人波をかきわける……そうこうするうちに、すずめ踊りが舞い始め、動き出した列車に皆が手を振る。 昨年は当地にとって、鉄道の年だった。3月の石巻線（女川駅）、5月の仙石東北ライン、12月の地下鉄東西線、いずれも一番列車にこそ乗らずも、開業からひと月以内には何かの折に世話になった……というより機会を作った、というほうが正しいかもしれない。それが今年になり、いつのまにか、決まった時間に動いていることが当然の列車のように、便利なモノのあふれた日々のなかで、ともすれば3.11の復興も完了したように錯覚させられる此の頃……そんなありふれた日常の予定調和を打ち砕き街の魅力をひきだすのが、ラストランやらすずめ踊りだったり、街かどのちょっとしたお祭りだったりする。 思えば旅人として訪れた、復興半ばのこの街で出会った「とっておきの音楽祭」も、博物館の企画展を訪ねることも、いまでは年中行事のひとつのようだけれど……それでも何処かに旅人の目線を忘れずにいることで、街の賑わいとやさしさ、美しさを感じながら日々を過ごせるのかもしれない。その日、列車に揺られていると携帯のアラームが鳴った。何かと思えばクマの目撃情報。この文明社会に、地震、雷、火事のつぎは熊らしい。もっともヒトの居住区に迷い込むことがクマにとっては遭難を意味するのだとすれば、それで仲間を駆除されたほうもたまったものではあるまい。 季節をさかのぼって小さな旅の記憶をもうひとつ。さる五月晴れの休日、午前の所用を終え、移動中このところめっきり減ってしまった読書の時間を確保し、たどり着いた鳴子御殿湯駅のツツジがまぶしかった。土産店を過ぎてほどなく、昔ながらの温泉宿「勘七湯」へ。早朝出発も歓迎との言葉に甘え、なんにもしない一泊湯治。朝日を拝み、始発列車を待ちつつ深呼吸。なにごともなかったように県北の朝八時半からの所用に間に合ってしまうのだから、お日さまとともに寝起きするのは三文の得のようだ。さて、そんなきょうの目的地は涌谷町の天平の湯。見知らぬ土地ではないが、夕刻になるとたたずまいが一変する。田んぼの蛙が鳴いているが大合唱というほどではなく、桜並木のセミの声が混じっている……20分ほど歩いて研修館にチェックインし、束の間ながら湯治気分。世のなか三連休やら夏休みのようだけれど、明日は仕事、終わったらまた温泉に入って……さて、低気圧を吹き飛ばしまた一歩一歩。

  2017.04.23

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  2016/05/08 春徒然（２）世界の幸福、個人の幸福

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2016/05/08 22:29 復興・防災 , ＮＰＯ・地域活動 , 趣味・日記 春徒然（２）世界の幸福、個人の幸福仙台国際センターでの会合に全国と海外からのお客さまをもてなそうとしている矢先の熊本地震、本震以前からすでに身近なところで始まっていたサポートの動き。慌てて備蓄水と保存食を常備しようと試みるも何処も品薄。そうこうするうちに、いつのまにか青葉のトンネルとなった杜の都のシンボルロードの、しかし通り雨に見舞われながらのバリアフリーチェックやらの4月下旬。 東京からの一行の石巻視察に合流した五月連休……北上川沿い、大川小学校の壊れかけたコンクリート塀の、渦を巻いた津波に耐えた卒業制作に刻まれた「世界が全体に幸福にならないうちは、個人の幸福はありえない……」との宮沢賢治の言葉。生活の再建も、真相の解明もままならないひとの暮す地で観光復興とは如何なることかと、メンバーも状況もまったく違うのに数年前と変わらない議論。見た目の風景はずいぶん綺麗になり活気づいたとはいえ、そこまでたどり着かないひとに想いを馳せるに、この数年間、本質的に何かが変わったのだろうかと問い直さずにいられないけれど、一方で個人の最低限の幸福なくして世界を支えられないというもうひとつの真実。休日に立ち寄った白謙かまぼこ店で、深刻そうな表情のお客さんに、熊本への物流はともかく避難所などの状況は分からないんですと、店員さんも困り顔。土産を送ろうとしているのは遠くの親類縁者か五年前世話になったひとか、思いが届くことを願うのみ。 急遽開催のチャリティーライブでは、神戸出身、熊本ボランティア帰りのアーティストが、50何回目かの石巻訪問にあわせて飛び入り出演……1995年、2011年、そして今年、どの災害もなかった方がいいに決まっているけれど、みんな、何処かで不思議な縁でつながっている。そんなひとつひとつの物語に目を向けているかぎりは、世のなか捨てたものでもない。 出ずっぱりの合間、かろうじてプランターいじりの時間をつくり、勝手に越冬し伸び放題のミントを摘み、夏に備えて窒素を蓄えてくれればとツメクサの種をばらまき、ほんとうはもっと地に足をつけて暮したいのにと、駆け抜けていった季節をふりかえっている日脚の長い夕刻のひととき。

  2017.04.23

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  2016/05/08 春徒然（１）蔵王遠景／石巻／涌谷城花見／女川

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2016/05/08 22:21 地域の魅力 , 復興・防災 , 趣味・日記 春徒然（１）蔵王遠景／石巻／涌谷城花見／女川隣県の出先へ向かう車窓から眺める蔵王連峰も頂上付近に積雪を残すのみとなり、山麓の彩りは桜から藤の花へ衣替えしてどのくらいだろうか。ラジオから流れるのはのどかな茶摘み歌…と思えば、高架から見下ろす水田に…本来ならば癒されるはずの水辺の景色に、昨年9月の田んぼも川も見分けのつかない洪水の光景がよみがえり、いつなんどき平穏な暮しが突然途切れても不思議でない災害大国に暮していることに思いが及び現実に引き戻される立夏すぎの朝。見わたせば山の稜線が視界に入る風景に落ち着くのは信州暮しが長かったゆえ…かつての知人ゆかりの、北信濃・サンクゼールワイナリーの支店が、この3月装いを新たにした仙台駅に開店した際は真っ先に立ち寄ろうと試みたもののあまりの混雑に撤退し、ようやく足を踏み入れたのは、お世話になった石巻の方への手土産を選んでいたつい先日のこと。 その打合せ前、何処かの鉄道好きの旅人のつぶやきを頼りに石巻駅前のマンガッタンカフェの朝食目当てに敢えてコーヒーを淹れずに出掛けた3月末、気になっていたオープンスペースIRORIを訪ね、こんどは大崎平野のベーカリーT-CAFEと喫茶めぐり。桜まつりより一週間早く七分咲きとなった涌谷城と江合川河川敷の花を愛で、天平の湯なる温泉に浸かり、リニューアル間もないレストランに立ち寄り、直売所の地物野菜をつい買ってしまい、その足で女川の真新しい商店街を訪ね、ハイブリッジなるダイビングショップのお姉さんに常連のお客さんとお話ししているうちに、例のダンボルギーニのお店が閉店したようなのでガラス越しに眺め、明日への船出の象徴の街をあとにした4月上旬。（つづく）

  2017.04.23

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  2016/03/25 三月の再会（２）自然史標本館／宮城野区のゲストハウス

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2016/03/25 20:49 復興・防災 , 趣味・日記 三月の再会（２）自然史標本館／宮城野区のゲストハウス3月13日午後は、青葉山駅の反対側に位置する自然史標本館、こと東北大学総合学術博物館へ――開館間もなかったと思われる20年近く前に一度だけ訪れたことがあり、コンクリート打ちっぱなしの円形の建物は当時と変わらないようだが、この日は三畳紀のウタツサウルス（魚竜）はじめ、当地や本学の研究者ゆかりの資料が目に留まる。そして新しい資料としては、三陸沿岸の堆積物のボーリング調査標本――ところどころ色の異なる地層が、明治三陸津波、慶長三陸津波、貞観津波……そして有史以前から幾たびも波が押し寄せ土砂を運んできたことを物語る。経験がないとか想定外だとか、あるいは襲われたとか、災害といった言葉さえも、ある時代を生きるヒトにとっては真実であったとしても、地球の歴史のなかで当たり前に繰りかえされてきた事象にたまたま遭遇してしまった、寿命の短い生きものの側の一方的な表現なのかもしれない。それでも、そうした事象によって住まう場所を追われたり仲間と引き離されたりすることが、短いがゆえに瞬間を輝かせようとする生きものから光を奪うものであることが千年先も変わらないのだとすれば、過去の事象に学びつぎの遭遇に備え伝え継ぐこともまた、先の遭遇を生きのびたヒトの使命であるのだろう。地下鉄の一日乗車券を活用すべく、東の終点・荒井駅に隣接する「せんだい3.11メモリアル交流館」へ。メモを取りながら見学している学生さんたちに混じり二階へ上がれば、五年前からの歩みをふりかえるパネルに、ところどころ住民の声が織りまぜられ、ちょっとした場所の違いによってまったく異なる当時の様子を伝える――と、2011年夏にオープンしボランティアの拠点となっていた、宮城野区のゲストハウスオーナーのメッセージが目に留まる……おそらく、わたしもかつて旅人として訪れた際に宿泊した宿に違いない。宿不足が続き、あるときは仮設の集会所に厄介になり、あるいはキャンセル待ちでかろうじて確保できた温泉宿まで足をのばし、何年か経ってようやくふつうのビジネスホテルがとれるようになったけれど――オーナーさんに初もののサンマを目の前でさばいてもらったのは、金華山で活動し雨上がりの石巻・日和山へ登った夏の終わりだったろうか、老若男女、ボランティアや旅人の交錯するプラットフォームは、マイクロシーベルトなどという単位が日常会話に登場するようになってしまったこの国の将来を思い息の詰まるようなときでも、一人ひとりの物語に耳を傾けているかぎりは、世のなか決して捨てたものではない、と感じさせてくれる空間だった。長町で買い物をして、地下鉄沿線めぐりの一日は終了。記念日なんて必要ないといいながらも、11日とこの日の幾つかの「再会」はいずれも、旧い友人に偶然行き合ったかのような、懐かしくほっこりとした気分にさせてくれた。一見すると、隣人に起こる出来事に我不関として通り過ぎてしまいそうな大都市だけれど、この種の目に見えない蜘蛛の糸のような絆が、いざというとき命綱にならないともかぎらない。ならば、必ず訪れるこの季節を、災害に傷ついた三月、風景が墨染めの桜のように色を失っていた、思い出したくない春ではなく、あのとき、あるいはそれ以前からのネットワークを確かめる三月、そして、すべてが芽を出すわけでもないし、当初思い描いたものと違う花が咲いたり実がなったりすることもあるかもしれないけれど、新たな種を蒔き次の年へ繋げてゆく春に塗りなおし、毎年この地で刻んでゆくことではじめて、「忘れない」という言葉を自分のものにすることができる……のかもしれない。さて、つぎの休日は何処の街に誰を訪ねに行こうか、それとも、そろそろ土でもいじりはじめるかな……

  2017.04.23

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  2016/03/25 三月の再会（１）今野梱包／佐藤ひらりさん

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2016/03/25 20:37 復興・防災 , 趣味・日記 三月の再会（１）今野梱包／佐藤ひらりさん一年前の2015年3月に国連防災世界会議のボランティアに参加した縁で、東北大学災害科学国際研究所の今村所長より案内をいただき、3月13日に開催された「東日本大震災５年『震災を忘れないフォーラム』〜ともに築く、災害に負けないまち〜」に出席した。青葉山駅で地下鉄東西線を降りるも、出口を間違えたらしく宮城教育大学方向へしばらく歩いてしまってから引き返し、若い街路樹の植えられたキャンパスの真新しい建物をめざす人の流れを追う。なんのことはない、駅から見えていたのだが、地下鉄の暗闇に曇り空も手伝って方向感覚が麻痺しており土地勘がない。 識者や行政関係者をはじめとするパネリストたちの中で異彩を放っていたのは「どうも、ダンボルギーニで世間を賑わせております」と自己紹介する、石巻市桃生、今野梱包の今野英樹社長――五年前、みずからも被災し仕事が十分の一にまで落ち込み、それでも絶対に解雇しないと従業員に約束し、強化ダンボールで仮設校舎の間仕切りに下駄箱やロッカー、机椅子に子ども用ベッドまで作ってしまう不屈のアイデアマン、「面白い」というのはサプライズとインパクト、そして人を幸せにすることと笑顔にすることだと語る。言われてみれば確かに、平時には人を驚かせ笑わせる発想力こそ、逆境にあっては思いもよらない方法で人を助ける可能性を秘めているに違いない。 女川駅前にオープンした商店街の「ダンボルギーニ」を報道で知った昨年末、同社の強化ダンボール製の箱を勢いで複数注文したのだが、せまい借家で屑物入れにするには大きすぎて勿体ないので、今や傘立て代わり兼キャリーバッグの定位置として玄関に陣取っている。思いがけず社長にお目にかかってしまった以上、次は例のものの実物を見に出掛けなければならない。  思いがけない遭遇をもうひとつ――送別会シーズンの金曜、仕事帰りの時間帯の割には繁華街へ吸い込まれてゆく人の群れも静かな3.11の夕刻。キャンドルナイトの行われている勾当台公園市民広場前を歩いていると、蝋燭の光を囲む人波の向こうから音楽が流れてくる。聞き憶えのある歌声と思えば、新潟在住、17歳のシンガーソングライター、佐藤ひらりさんのピアノ弾き語りだった――昨年11月にも来仙した際のコンサート兼トークイベント「仙台セッション」で彼女の演奏に出会っているので、偶然の再会に、思わず頭上に降りかかる雪も忘れる……久しぶりに生演奏で聴く「花は咲く」に、この曲の辻井伸行さんのカバーの記憶を呼び起こされるのは、彼女もまた、生まれつき光を感じない障害を負っているためではない。……was blind, but now I see. と、アメイジンググレースを歌いあげる彼女は、物理的な視覚に頼って暮しているわたしたちよりも遥かに豊かな世界を「見て」いるとしか思えないからだ。

  2017.04.23

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  2016/03/08 大崎平野・珈琲店【第二弾】×三月の季節風

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2016/03/08 07:22 地域の魅力 , 趣味・日記 大崎平野・珈琲店【第二弾】×三月の季節風石巻別街道沿いに気になるログハウスがあり、「ササキ会館」なる珈琲店らしいので、所用ついでに入ってみることにした先の休日。ストーブとテレビに挟まれたカウンターへ案内され、一見すると雑多な空間なのだが、よくみればリオのカーニバルのポスターやら異国のナンバープレートやら――いまお湯沸かしているからねと言いながら、シアトルにある有名なもの四つは、と問題を出されるも答えられず、マリナーズのほか、ボーイング、アップル社、スターバックス――あと一つあったかもしれないけれど、忘れた。と思えば、各駅停車のようなスカンジナビア航空でバンコクへ降り立ち、パタヤの海岸をめざして夜中の田んぼ道にレンタカーを走らせる話やら、世界各地の旅先の土産話を先客のご夫婦と初対面のわたし相手にとめどなく続けるハンチング帽のマスター、御年84歳には到底見えない。一人で本を読みたい日に入ってはいけないけれど、ワンコインでテレビよりはよほど面白い話が聞ける。またゆっくり来ますねと店を後にする。 それにしても、第一弾の「風舎」を訪ねた一月末に田んぼに群れていた雁や白鳥たちは何処へやら、いつのまにか北帰行を終えてしまったのだろうか――うっかり冬服のまま急ぎ足で出掛ければじっとりと汗ばむ生温い湿り気を運んでくる低気圧と、休日の春眠をさまたげる曇り空の中途半端な陽光と同じくらいに、五年目の節目、やら、あの日を忘れない、やら、被災地の今、やらの謳い文句とともに吹きつけてくる中央からの季節風に、三月に入ったこと、11日が近づいていることを否応なく思い知らされるこの時季だけれど――現在進行形の復興に記念日なんて必要ない、忘れられるものなら思い出したくない、というひとも少なくないだろうし、何年目といって区切ることは、地図に浸水域の線を描いたり仮設住まいの人数を数えたりして、どこまでが被災地だとか被災者だとか境界線を引くことと同じくらいに、予算をどうするとか公の約束ごとを決めるときくらいしか役に立たないのでは……などとモヤモヤしつつ、それでも、ここ一年の沿岸の景色の変化に想いを馳せ、日ごろのおこないがこの地の明日へつながってゆくのか胸に手をあててふり返らずにいられない。ともかく、これ以上ややこしいことを考える前に、そろそろ春の味覚を求めて霧の港町でも訪ねてみようかと、雲の切れ間を探しながら東の空を眺めている。

  2017.04.23

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  2016/02/08 厳冬のファンタジー　～肘折国際音楽祭～

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2016/02/08 23:24 カルチャー , 旅行・祭り 厳冬のファンタジー　～肘折国際音楽祭～歩道の雪が乾いたことを確かめるようにほぼひと月ぶりに自転車を解禁、県南の出先へ向かう列車の車窓には雪をいただいた蔵王連峰がほんのり緑がかった平原と雲ひとつない空に映える……かつて百万都市の雑踏に慣れず、マイクロシーベルトのつく数字をどこか気にかけつつ同じ車窓をながめていたころ、この雪と青空のコントラストと育てのふるさと信州の山並みを想いあわせた春を、そしてあの山のさらに幾つかの峠のむこうの秘境で過ごした、さきの週末を思いおこしている……立春すぎの朝である。 雪晴れまぶしい新庄駅でシャトルバスに乗り込み、ほどなく市街地を抜けて凍てついた道を進むこと小一時間、ジェットコースターのようならせん橋を降りた先が今回の目的地、そしていうなれば厳冬のロックフェス「肘折国際音楽祭」の会場だ。http://hijiori-music.com/ ガラスごしの雪あかりをスクリーンあるいはスポットライトに、国内外のアーティストが入れかわり立ちかわり、合間には地鶏に豚汁やら地酒のお振る舞い。そのスクリーンが藍色に染まる刻、七尾旅人氏の、近未来のこの国で最初の戦死者となる自衛官もしくは国防軍兵士を描いた「兵士Aくんの歌」が響く――聞けば昨年7月、「良くない状況なので共有することにしました」と。http://tavito.net/blog/201507a.php耳を傾ける者に静かに伝わってくるメッセージのまっすぐさは、闇に浮かびあがる雪回廊の、蝋燭ひとつの灯篭の明るさに似ている。 働き者の除雪車の音に目ざめた翌朝、雪道を散策しつつ、土産店と「ゆきんこホール」の外湯をめぐればお別れの時間だ。道路沿いの白い壁の高さが小さくなるとともに市街地が近づく。コンビニひとつない山あいの村、はるばる集まっていたアーティストたちの独特の世界観・宇宙観、温泉宿で知り合ったばかりのお客さんとしばし酌みかわした地酒……都市（まち）へ戻れば、アスファルトに似合わぬ長靴に染みこんだ冷たさがまぎれもなく豪雪地へ旅していたことを物語っているのだけれど、過去と未来が交錯し、どこかで時空がねじ曲がっていても不思議でないくらいに、すべてがファンタジーのようだった一昼夜をふりかえっている。

  2017.04.23

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  2016/01/24 大崎平野・珈琲店×バードウォッチング

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2016/01/24 22:09 地域の魅力 , 自然・エコ , 趣味・日記 大崎平野・珈琲店×バードウォッチングある瞬間を適切にとらえた風景写真を撮ることと、そのときの気分に合った珈琲店を見つけることは、やさしいようで難しく、日常のようでいてちょっとした非日常への入口となりうる――東北本線下りに乗車し右手側に座席を確保する。車窓、松島湾に向かってカメラを構えるのだが、電線が視界をさえぎる。無数の島々を浮かべ進行方向から昇る朝日にきらめく海面を撮影するチャンスにめぐまれたのは、この列車ではなく、昨年末に所用で乗車した午前7時台の仙石東北ラインからだ。 さて、予報の降雪に備え午前中に外出を済ませることにした土曜、田んぼに群がる鳥類を遠方からズームアップしつつ、大崎平野の畔道を進む。マスター邸とおぼしきログハウスに寄り添うようにたたずむ可愛らしいお店が、涌谷町三十軒屋敷添に位置する「焙煎小屋　風舎」。 コーヒーしか置いていないんですよ、というマスターに、豆の産地や煎りかたとコクや酸味の度合いについて教わり、ケニアの中煎りを味わっていると、常連のお客さんが豆を買いに訪れる。田んぼの真んなかの、知る人ぞ知る本格派の名店、といったところか。きょう焙煎したてなんですよ、というフルーティーな風味は、ミルクを入れたり食事と合わせたりせずに味わうほうがよいのと同じくらい、雁たちの鳴き声に古めの洋楽が混じり、窓の外を時おり貨物列車が通りすぎてゆくこの空間で、本や新聞やタブレットを開くのも勿体なく、書棚の雑誌「珈琲時間」を手にとる。と、各地のひなびた名店をわざわざローカル線で訪ねるシリーズが目に留まる――立山の絶景が広がる富山県の単線駅を起点に歩きはじめるのだが、地元の少女は雪山には目もくれず……との記事に目線を落としていると、もっと大きな鳥類の影が近づいてきたようだ―― 雁はいつも来ますが、白鳥は今年はじめてですね、鳴き声で仲間を呼び寄せているのですよと。ほどなくして、最初の三羽ほどに続いて次々に飛来し数十羽の群れに。雁が乾いた田んぼに対する保護色だとすれば、白鳥は去年生まれたと思しきグレーの若鳥以外はほぼ雪に同化しており、そのつもりでなければ遠方からは気づかれないかもしれないし、飛びたつタイミングを狙うのは至難の業……それともいつか、きょうのような雪晴れの日に朝から窓際に三脚を構えて、石巻線の上空に舞いあがる彼らをひねもす待っていても許してもらえるくらいには、マスターとお近づきになれるだろうか。 ゆったり流れる時間とローカル線の線路の風景、雁と白鳥の鳴き声が、ちょっと甘酸っぱい豆から漂ってくる……田んぼ向かいの家々の煙突からは煙があがっているのかなと思いをめぐらせつつ、きょうも明日もケニア中煎りを挽く。

  2017.04.23

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  2015/12/07 「閃雷 生誕10周年ツアー2015 FINAL」@美里町文化会館

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/12/07 21:26 地域の魅力 , カルチャー 「閃雷 生誕10周年ツアー2015 FINAL」@美里町文化会館午後から美里町文化会館で、邦楽ユニット「閃雷」の10周年記念コンサート。先月も地元合唱団の演奏を聴きにこの場所へ足を運び、何日か後には江合川の橋にかかる虹を仰ぎ、偶然なのか何かの縁なのか、このところ出没地域が仙台から北東方向に伸びつつある。 そしていつになく賑わったこの日、隣のスーパー屋上に誘導する駐車案内、当日券売場の行列、そしてホールをほぼ埋め尽くした観客たち――それでも発売後すぐに申し込んでおいたので最前列を確保することができた。そして周りには見知った顔も。金髪に染めたメンバーが和太鼓を肩から提げていたり、ロックふうの出で立ちで津軽三味線を片手に踊ったり、キーボードやシンバルと共演したりする光景も、何度か彼らの演奏を聴くうちに馴染みになった。 結成当初のメンバーやプロデューサー諸氏との共演にひきつづき、加藤登紀子さんやGLAYはじめ豪華すぎるビデオメッセージがスクリーンに映し出され、3.11からの再生途上で生まれた代表曲のひとつ「HASEKURA」で最高潮の盛り上がり。そして彼らが打楽器の指導に入っていた雄勝中学校の卒業生からサプライズの花束贈呈も。もちろん、あんな災害はないほうがよかったし二度と起こってほしくないけれど、だからこそ生まれたいくつもの出会いと新たな融合……10年という節目の全国ツアー公演を、ふるさと美里町で終えられた感動いっぱいのリーダー三浦さんに、みんな、なんだかもらい泣きしてしまいそうだ。 アンコールのラスト曲は、がれきに咲いた花をイメージした「いつくしみの花」。わたしが目を閉じて思いうかぶのは、2011年春に訪れた信州・戸隠のミズバショウか、翌年の平泉見物の折に足もとにものも言わず広がっていたツメクサか、あるいはさらに季節がめぐり更地となった石巻・門脇地区に何処からともなく飛んできて咲いていたポピーの花か……きっとそれぞれに、あのとき以来の思いえがく風景があることだろう。そしてきょうの帰りみち、来場者一人ひとりに手渡された一輪の薔薇も、彼らの音色とともに、いつかそんな思い出のひとつになる、のかもしれない。 サインを求める列を前に忙しそうな三浦リーダーに、若林区卸町のスタジオでパーカッションのレッスンを率いてくれた縁で、地下鉄も通ったのでまたよろしく、と横から声をかけてお別れ。夕刻の街にはきらびやかな光があふれているにちがいないけれど、しばらくは津軽三味線と和太鼓の余韻に静かに浸りたい……そんな師走の夜のひとときである。

  2017.04.23

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  2015/12/07 松島散策×日帰り温泉

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/12/07 21:21 地域の魅力 , 旅行・祭り 松島散策×日帰り温泉久しぶりに休日らしい過ごし方のできそうな日曜、午後の予定まで少し時間がある、でも少ししかない――移動の動線を考え、東北本線松島駅を起点に歩いてみることにした。10分も進めば遊覧船乗り場が視界に入り、海岸からの風が牡蠣を焼く香りを運んでくる。福浦島へ渡す橋の上空に流れる雲の速さに、雪国では気象が荒れているのかもしれないと思いが及ぶが、湾内は白波も立たず穏やかな冬晴れだ。 五大堂の裏手にまわれば、遠く島々を浮かべる水平線に雲間の陽光が反射し、蛍光ペンで描いたような鮮やかな直線と、雲と空の境目とが、白無垢の帯のような平行線を成している。そういえば、この場所を訪れるのはいつ以来だろう、いや、当地の住人となってから初めてかもしれない――と思えばにわかに旅心づき、笹かまぼこの店に立ち寄り串刺しを炭火にかざして焼き色をつけてみる。「松島さかな市場」は地元住民にも御用達と思いきや、飛び交う言葉も案内表示もマルチリンガル。牡蠣バーガーとあら汁が、少し早めの昼食だ。土産店の前には大型バスが停まり観光客でごった返しているが、きょうは手荷物を増やさない――いつだって、また来られるのだから。屋外へ出ると陽だまりが暖かい。駅方向へ戻りつつ、ホテル壮観の日帰り温泉へ。湯けむりを浴びつつ青空を仰ぎ、熱すぎずしかもほぼ貸切状態の露天で、ついつい長湯をしてしまう。紅葉見物と忘年会の谷間の12月初旬は、近隣住民にとって実はベストシーズンなのかもしれない。滞在時間2時間ほどだが、じゅうぶんに楽しめた。そのうちに、またふらりと立ち寄ってみよう。

  2017.04.23

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  2015/11/08 夜明けのランデブー：三日月と惑星

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/11/08 21:16 自然・エコ , 趣味・日記 夜明けのランデブー：三日月と惑星午前5時台後半のラジオ番組をBGMに、刻一刻と色あいを変えてゆく、マンションの谷間の小さな空をながめつつ朝支度を整える。そしてビルの照り返しの朝日を浴びながら、いつかは地平線に昇る太陽を拝み薪ストーブをともすスローライフを……と夢みる晩秋の朝である。 県北の田園地帯の出先で7日早朝、ふと窓を開けると、逆さ三日月を挟むように一等星、いやもっと明るい星がふたつ、朝焼け雲の上空にきらめいている。どちらかが金星、いわゆる明けの明星というのだろうなと、ではもう一つは？などと何気なく朝刊を手に取ればまさに、青葉城の政宗像を見おろすように月、木星、火星、金星の構図。http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201511/20151107_15008.html なんでも、次にみられるのは2021年1月という珍しい天体ショー、知っていれば目を凝らして火星を探すか、望遠鏡を持って出たかもしれない。http://www.gizmodo.jp/2015/10/post_20035.html ともかく、ちょっとした早起きで月星と太陽の交代に立ち会えるのは、これからの時季の特権かもしれない。さて明日の仙台の日の出は6時10分、同じ時刻になるのは来年の2月29日らしい――めぐりくる季節に想いを馳せつつ、そろそろ軒先も柿のれんへ衣替えだ。

  2017.04.23

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  2015/10/10 栗駒山・紅葉狩り

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/10/10 21:12 地域の魅力 , 自然・エコ 栗駒山・紅葉狩り軽めの山支度をして、いわかがみ平ゆきの臨時バスを待つ列に加わる。おおかた収穫を終え稲わらの積まれた水田に、時おり群れている鳥類は雁の仲間だろうか。と思えば、ところどころ、ひと月前の洪水の爪あとが残る――そういえば当地を訪れるのは、あのとき以来だ。なにごともなかったかのように穏やかな晴天と人々の賑わいに、今日はバス2台出すので荷物置いてゆったり座ってくださいね、と運転手さん。 金成支所と旧栗駒駅跡を過ぎ、民家の点在する田園地帯を進むこと一時間とすこし、レストハウスで登山届を提出し、クマザサに囲まれた石畳の一本道を登る。小さな子ども連れの家族に道を空けたり、犬を連れた登山者や早朝に登頂しすでに下山途中の一行とすれ違ったりしつつ、ナナカマドの実が青空に映える順路を小一時間歩けば視界が開け、頂上が見えてくる。 ほぼ正午ちょうどに山頂に到着すると、老若男女、写真撮影待ちの大混雑。丸木に腰掛けおにぎりを頬ばり、ふたたび歩き出す。足もとの岩場に細心の注意を払いつつ、燃えるようなもみじ葉にも視線を注ぐ。東栗駒山との分岐点や距離を示す案内板に、往路は目を留めていなかったことに気づく、「下山の思想」。 このくらいのコースなら、天気のいい日に気軽に、そして年をとっても登れそうだ。登山靴を脱ぎ、くりこま高原駅前の温水プールと薬湯でひと休みしつつ、標高差およそ500m、距離にして片道3km弱の道のりをふりかえってみる。

  2017.04.23

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  2015/09/27 【旅行】瀬戸内海・アート紀行（４）　鎮魂・再生：直島・ベネッセハウスミュージアム・パーク

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/09/27 22:05 カルチャー , 旅行・祭り 【旅行】瀬戸内海・アート紀行（４）　鎮魂・再生：直島・ベネッセハウスミュージアム・パーク夕刻、ベネッセハウスミュージアムにたどりつき、迷路のようなスロープや小部屋をくぐり抜けたり、大理石の彫刻に寝ころがって空を仰いだりしたのち、「パーク」棟へ進んでチェックイン。案内された客室の作品は、ジェームズ・タレル「ファースト・ライト」、そしてロビーからの順路には、杉村博司撮影の安藤忠雄「光の教会」と、今はなきニューヨークの「ツインタワー」が、いずれも光の棺に照らされて向かい合っている。通りすぎるたび立ち止まり、9月11日、3月11日……さまざまなことに思いをめぐらせ祈りを捧げずにいられない。 ナイトツアーの解説に、杉村博司「タイム・エクスポーズド」を見逃していたことに気づき、翌朝にミュージアムへ戻る。通常、安藤建築の外壁に作品が掲示されることはないとのことだが、コンクリートと水平線の写真、そして瀬戸内海のほんとうの水平線が、ここにしかない三重奏をかなでている。視線を少しずらせば、島の北側に位置する工場の煙突がみえてくる。と、同じくミュージアムの代表作、リチャード・ロング「瀬戸内海の流木の円」や、廃材やがらくたを巻き込んだヤニス・クネリス「無題」を想起させられる。 美しいものを見ているだけでは、ひとは生きてゆけない。太古の生命が蓄えたエネルギーを消費し、廃棄物をのこし、ときに個人の一生などなんなくとびこえてしまうような負の遺産を蓄積する。この島を訪れる旅人の多くは、美しいものを求めて足を運ぶ。しかし、訪れたからには、かつて隣の島に不法投棄された産業廃棄物を処理する工場の煙から、目をそらしてはならない。文字どおり豊かだった島、そしていっときはひとの手で傷つけられた島を、もういちど豊かに、美しく――その営みは、いまだ道半ばだ。 宇野港から岡山駅へ出て、復路は鉄道旅。いま暮している地が近づくにつれ、相席した地元のご婦人のひとりが語っていた、福島浜通りに嫁いだ妹さんの話を思い出す。たとえ海に牙を剝かれ、あるいは目に見えない恐怖に傷ついたのだとしても、海とひとの暮しとが交わるところには、再生への無限の可能性がある――島の光と影を見つめることで、はからずも、そんなインスピレーションを与えてくれる旅となった三日間をふりかえっている。

  2017.04.23

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  2015/09/27 【旅行】瀬戸内海・アート紀行（３） 素顔：直島・家プロジェクト～地中美術館・LEE UFAN美術館

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/09/27 22:01 カルチャー , 旅行・祭り 【旅行】瀬戸内海・アート紀行（３） 素顔：直島・家プロジェクト～地中美術館・LEE UFAN美術館雨あがりの朝、浜へ降りて黄色いカボチャのオブジェを撮影するなり、借りもののサンダルのまま冷たくも生ぬるくもない波打ちぎわを歩くなりしているといつのまにか朝食の時間だ。トレーラーハウスをあとに、動物たちのオブジェの点在する遊歩道を進む。地中美術館をめざしていると、本村地区の「家プロジェクト」まで徒歩25分との看板。幸いなことに雨も降らず、蒸し暑さも耐えられないほどでないので歩き続けてみることに。浜から少し内陸へ入り、沼地の脇を曲がり、畑仕事のおじいさんに挨拶して進むと集落が見えてくる。曲がりくねった細い坂道に墨板の古民家が立ちならび、町役場や郵便局もこの地区にあるようだ。地元のおばあちゃんがセニアカーで買物ついでに立ち話をしているかと思えば、バイクの後ろに赤い箱を載せた郵便屋さんやら、自転車に乗った宅配便のお兄さんとすれ違う。ジェームズ・タレル「南寺」では、お戒壇めぐりのように真っ暗な空間に十分ほどたたずみ、目が順応してはじめて作品が姿を現す。杉本博司「護王神社」で、青い目のお姉さんとペアを組み、懐中電灯で地下の石室を照らす。須田悦弘「碁会所」は、本物の椿の庭に、木彫の椿の花弁をちりばめた四畳半の間が二つ――こうして、昔ながらの暮しのなかに点在する作品群を訪ね歩き、一枚のチケットにスタンプを集めてゆく。昼食は民家のダイニングルームのような「カフェ・いっぽ」で、土地のことばを話すご婦人3人のグループとご相席。思いのほかの繁盛ぶりなのか、向かいの生協に材料を買い足しに行くからちょっと待って、とおかみさん。地元のひとと比較的近隣からの旅人が気がねなく混じりあう一面も、島のひとつの素顔かもしれない。地中美術館でクロード・モネ「睡蓮」シリーズと向かいあう。と帰りみち、チケットセンターと展示室を結ぶ蓮の花咲く遊歩道が、モネの庭にみえてくる。「LEE UFAN 美術館」を経て「文化大混浴 直島のためのプロジェクト」にたどりつく。どこか日本でないようなオブジェたちの奥に広がる砂浜で、靴を脱いでふたたび波打ちぎわへ。気に入った貝や小石を拾いながら、こんなことは何年ぶりだろうか、いや何年どころではないかもしれないと、海と空の境目をながめる。それでも、この海はまぎれもなく、わたしのふるさとの海、そして海は人類と、すべての生きもののふるさとであることもまた確かだ。LEE UFAN美術館の「影の間」に映し出されていた、太古の昔に太陽のきらめく海で生まれた生命がはるかな時を経て都市を築き、やがてまた太陽が水平線へ沈んでゆくような映像がよみがえる。午後5時をまわり、空が茜色に色づきはじめた。季節は穏やかに、でも着実に前へ進んでいるようだ――道すがら、萩の花が咲きみだれている。と、ふと思い出したメロディがある――島の風に この身を吹かれ 歩く小道 鼻唄そえてめぐる めぐる 季節の唄は 君が愛した故郷の唄塩竈の浦戸諸島がうたわれているのだが、のどかな島の風景であれば、そのままどこにでもあてはまる普遍的な歌詞――海と空は、つながっている。そしてこのふるさとの海と同じくらいに、いま暮している、これから暮してゆく地の海が好きだ――たとえ、桜つぼみが色づく頃に 大地が揺れて海があふれた、のだとしても。（つづく）

  2017.04.23

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  2015/09/27 【旅行】瀬戸内海・アート紀行（２）　海鳴：高松港～直島・宮之浦～つつじ荘

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/09/27 21:53 旅行・祭り 【旅行】瀬戸内海・アート紀行（２）　海鳴：高松港～直島・宮之浦～つつじ荘汽船に揺られること小一時間、直島・宮之浦港では草間彌生のオブジェがお出迎え。あいにくの雨もようながら、赤いカボチャが濡れた路面に反射してこれはこれで趣深い。しまなみの向こうに瀬戸大橋がかすみ、海との境の空は明るい――ということは、明日こそは天候にめぐまれそうだ。 連休明けの平日にもかかわらず、島は観光客でにぎわっているらしく、町営バスも遅くまで走っている。そしてバスに乗っても宿に着いても、周りはなかなかの多国籍――すなわち案内表示も、運転手さんも店員さんも、もちろんみんなバイリンガル。瀬戸内国際芸術祭の時季の比ではないのかもしれないが、都会から離れたもともと静かな小島に、世界への発信とホスピタリティの精神が息づいているのだとすれば興味深い。 夕食は積浦地区の小さなお好み焼き屋さん「海っこ」、宿は「つつじ荘」の、ゲル（パオ）とコテージに挟まれたトレーラーハウス。簡素な構造ながら海に近い原っぱにあり、街なかのビジネスホテルに慣らされた身には開放感と癒し効果抜群、そしてヒノキ薫る大きめの貸切風呂もまた然り。波の音と虫の声の伴奏に、カントリーロードやらジブリのBGMを合わせてみるもよし。 日もとっぷり暮れ、海をはさんで高松の街の灯りがきらめいている――晴れていれば、きっと星空とその美しさを競い合っているにちがいない。午後10持以降は波の音よりもお静かに、そして履物を出しっぱなしにしておくとタヌキに持っていかれますとの注意書き――さて、そろそろ奴らのぽんぽこ合戦が始まるのだろうか。

  2017.04.23

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  2015/09/27 【旅行】瀬戸内海・アート紀行（１）　出帆：高松港界隈

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/09/27 21:50 カルチャー , 旅行・祭り 【旅行】瀬戸内海・アート紀行（１）　出帆：高松港界隈高度3万フィート、すじ雲にはさまれた月を追いかけながら、明石標準時へ向かって時刻を進める。連休中の所用からの帰国はすなわち、本国でのあわただしい日常までの束の間の充電期間のはじまりでもある。成田のターミナルをまたいだ1時間半余の綱渡りの乗継を経て、チェクラップコク国際空港を発っておよそ10時間後には、通貨と言葉が不自由なく通じることに安堵しつつ讃岐うどんをすすることができた。 一夜明けて高松港の埠頭へ歩いてみると、離島航路の行き先を示す番号がそれぞれの乗り場に、あたかもバスターミナルのように示され、人や車があたりまえのように行き交っている。雨音に起こされ、一抹の不安がよぎっていたものの、このくらいの天候で欠航などしていては生活が成りたたないのかもしれない。 船旅に先立ち、スタジオジブリを支えた近藤喜文氏の企画展をめあてに、城下町のおもかげを残す香川県立ミュージアムを訪ねる。「耳をすませば」や「平成狸合戦ぽんぽこ」の原画もされど、街のなにげない日常や季節の風物詩を生き生きと描いた「ふとふり返ると」のシリーズが目に留まる。1998年に40代で急逝した彼が存命ならば今ごろは、雫と聖司の時代から背の高いビルがすこしふえ、昔ながらの建物がすこし年輪を重ねた住宅街を背景に、スマートフォン片手の中高生でも描くのだろうか。 そんな作品の舞台となりそうな風景が、この港町にもある――すなわち、海から道を一本はさみ、倉庫を改装した雑貨店やらカフェの集う「北浜アレイ」。二階奥、古びた木戸を開き、「umie」のオーシャンビューの窓辺で昼食を。かすかに晴れ間ののぞく明るい曇り空のもと、工場地帯へ向かうのだろうか大型船が通りすぎ、目の前の道路をトラックやバスが走るたびに倉庫全体を揺らしてゆく――古くから栄えたウォーターフロント、想像よりもはるかににぎやかな風景だ。（つづく）

  2017.04.23

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  2015/09/13 あたりまえの幸せを……11日の金曜日

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/09/13 23:17 イベント , 復興・防災 , 趣味・日記 あたりまえの幸せを……11日の金曜日どれほど幸せなことだろう、午後の陽光を浴びて黄金色に輝く水田をながめ、絹糸のような雲の流れる空を仰ぎ、駅に到着した列車のむこうに沈む夕日を拝むことのできる今日は。地物の秋ナスとオクラを茹で、プランターから摘みとったミントを刻み、北浦梨とブルーベリーを添えて食卓へ運べる実りの季節は。  木曜の夜から翌朝にかけ、県北の出先で、とんでもない雨に遭遇した。冠水した道路の迂回を繰り返していると、栗駒山を臨む展望台を備えた新幹線駅前のホテルが、避難タワーにしかみえなくなる。高架から見おろす泥色の水は、田んぼなのか川なのか区別がつかない。内陸側へ視線を移せば、台風一過の何もない空を、救助ヘリが飛び交っている。そんな光景がもう少し続けば、目のまえのことを現実として受けとめられたかどうかすらわからない――四年半前の春、空港やこの国のシステムの無事を恐る恐る確かめるように搭乗した北海道出張の航空機の眼下に広がっていた、沿岸部の景色のように。 一夜明けて、11日の金曜の翌日、12日は土曜だった――あの三月も今月も。その日から始まる復興の道のりは、ゴールまで、あとどのくらいだろうかと、ツール・ド・東北に出走する知人に心のなかでエールを送りつつ、通り雨に見舞われながらも、街にひびきわたるストリートジャズに足を止められる今日は、どれほど幸せなことだろう、……まるで、なにごともなかったかのように。 ただ、ほんとうに大変な思いをしているひとにとっては、同じようなひとがどのくらいいるのか、あるいは、他のひとがどれほど快復したのかなど、ほとんど関係ないにちがいない。それでも、どんなときも誰にでも、陽はまた昇る。あたりまえの幸せに感謝して、明日からまた一歩一歩。

  2017.04.23

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  2015/08/30 地底の森ミュージアム×書架めぐり

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/08/30 21:56 カルチャー 地底の森ミュージアム×書架めぐり雨もようの休日は、ミュージアムや書店へ出掛けてみよう。 きょうの訪問先は、旧石器時代の富沢遺跡を現場保存し公開している「地底の森ミュージアム」。地下鉄・長町南駅から少し歩けば古代米の田んぼが視界に入り、その向こうに針葉樹の低木や本州ではあまり見なれない木々が、うっそうとでもなく、まばらにでもなく茂っている――聞けば氷河期の当地の植生を再現した森のようだ。 階段を降り、傘と荷物を置いて中へ入り、楕円に沿って順路を進めば、ボランティアガイドさんの解説で無声映画が上映されている――遺跡を詳細に分析すれば、鹿のなめし革をまとった二万年前の狩人たちが当地にたどりつき、たき火をして夜を明かす場面が浮かびあがってくるそうだ。足を運ぶまで縄文遺跡と思い込んでいたが、弓矢を使ったり、土器でドングリを煮たりするようになるのは、まだまだずっと先だとのこと。  タイムスリップから引き戻され、立ち寄った書店で、伊坂幸太郎氏の「仙台ぐらし」の文庫版が平積みにされている――2012年春ごろにこれの単行本を手に取り、移動図書館のボランティアをしている二人の青年の物語に出会った。壊れた景色のなかに、それぞれ必死で誰かを捜しているようにみえる二人の動機が明かされてから、至るところに伏線がはりめぐらされていることに気づかせる伊坂ワールド。3.11をあえて中心に据えず、さりげなく切り取られたその後の世界を舞台にしたこのフィクションの軽妙さに、当時のモヤモヤとしていた何かを吹き飛ばされた。 その伊坂氏が最近、阿部和重氏と「キャプテン・サンダーボルト」なる作品を合作したようなので、そのうちに読んでみることとしよう。そして「仙台ぐらし」も、いま読み返せばまた違った景色が見えてくるかもしれない。 そのほかに目に留まったのは、NPO法人「森は海の恋人」の畠山重篤代表とルイ・ヴィトン五代目当主の支えあいを描いたという「牡蠣とトランク」。それから東野圭吾氏の「天空の蜂」が映画化されており、上映間近のようだ。 長雨や夜長や長旅の友に、読書は欠かせない。でもそろそろ青空と青い海が恋しいのも確か……そんなこんなで、この秋も晴耕雨読。

  2017.04.23

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  2015/08/16 宮城県美術館 ヘレン・シャルフベック展

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/08/16 21:12 カルチャー 宮城県美術館 ヘレン・シャルフベック展ひと休みしていた暑さがぶり返した15日、出先の仙台国際センターから屋外へ出ると路面が濡れている。打ち水をしたのかと見まがったが、歩道にも水たまりができており、アスファルトから湯気が立っている――どうやら午前中、激しいにわか雨に見舞われたらしい。屋根のあるところに自転車を留めておいて正解のようだ。街なかの喧騒を離れ、歴史やアートにふれるなり、伝統ある文教地区を歩きまわるなりするのは、このエリアを訪れる際の楽しみのひとつだ。前回は、国連防災世界会議のボランティアをしていた3月のことだった。当時、保安検査場と化していた地下鉄駅も、今や開業を待つばかり。 今回の訪問先は、宮城県美術館で開催されているヘレン・シャルフベックの特別展。日本人には馴染みの薄い名前かもしれないが、2012年に生誕150年を数え、ここ数年注目されている北欧の女性画家のようだ。http://www.pref.miyagi.jp/site/mmoa/exhibition-20150806-s01-01.html 看板作品は1888年のパリ万博受賞作「快復期」。まだ浅い春、病み上がりの少女が新芽を出しはじめた枝を手に持っている――どことなく、2011年の当地のそんな季節、避難所となった中学校で生徒たちの歌っていた「あすという日が」の「青空に手をのばす細い枝」の詞を想起させる。ただ、直後はまだまだ背伸びして空を見上げようとしていた感があり、3.11からの快復とこの絵を重ねあわせるならば、翌年かその次の春のイメージのほうがしっくりくるかもしれない。 そんなことを考えつつ隣に目を移せば、「日本の花瓶に入ったスミレ」が視界に入る。花の都で画家が出会った極東の文化を描いた作品が、一世紀以上の時を経てその生みの国のひとの目にふれるとは、なんともふしぎな邂逅だ。そのほかにも、パリ留学中に吸収したさまざまな刺激が、祖国の田園地域に居を構えたのち、10年以上かけてゆっくりと消化されてゆく。同時代の女性画家、マリー・ローランサンの美術館がかつて信州・蓼科にあり、訪ねたことをおぼろげに思い出す。 最後は1946年に生涯を閉じるまで、戦争が激しさを増すなかで自らを見つめつづけた晩年期の自画像を中心とする作品群――まさに「魂のまなざし」。会場をあとに、CAFÉ MOZARTでほっとひと息。天板を持ちあげて開く昔の学習机のようなテーブルにつき、中庭の空をカメラで切り取る、送りの夏の束の間のひとときである。

  2017.04.23

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  2015/08/10 あさひ鮨・気仙沼回想×旅人気分で七夕

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/08/10 20:04 地域の魅力 , 旅行・祭り あさひ鮨・気仙沼回想×旅人気分で七夕東京での所用から戻ると、色とりどりの吹き流したちに出迎えられた。 この時季、しかも土曜の夜、牛たん通りの行列は想定どおりだが、すし通りは意外にも並ばずに入れそうだ。「あさひ鮨」のカウンターで水槽にはりついているアワビたちと熊谷育美さんのポスターをながめつつ、本家・気仙沼のプレハブでふか寿司をご馳走になった日を思いおこす。 ――世界遺産となった平泉見物の翌日、一関を拠点に気仙沼を訪れたのは、たしか2012年の7月のことだ。解体前の建物の3階部分が地についていたりと傷あとが生々しい一方、急斜面に植えられた紫陽花がまぶしかった。「モーカの星」の意味を教えてくれたのは、仮設商店街で鮫革を売っているお姉さんか、それとも雑貨屋のお母さんだったか。以来足をはこんでいないが、次に訪れるなら今度は世界遺産・釜石とセットなのだろう。 旅行者の気分のまま名掛丁のアーケードに入る。駅へ向かう流れは観光客、逆方向はおそらく地元のひとがメインのようだ（出張帰りの荷物をひきながら、駅から離れる方向に歩いている2年目仙台人は、はたしてどう映ったことか）。多くのひとの目に留まったと思われる特別賞「星に願いを、緑の故郷」や、鐘崎の立体幾何学オブジェのような七つ飾りもされど、個人的には「しまぬき」のこけしの表情が秀逸、そしてユニークさでは、KALDIの青と黄色がコーヒー好きにはたまらない。 前日までの酷暑がひと段落して、歩くのが苦痛でないくらいには、吹く風がやさしい。と思えば、青葉城恋唄の3番が流れている。祭りの最終日、少しずつ片付けられてゆく笹たち――暦のうえでは秋の始まりだ。日中の日ざしはまだまだ油断ならないし、宮城県民にとっての甲子園は、今年はこれからさらに熱くなりそうだけれど……ともかく、新たな実りに向かって、今日からまた一歩一歩。

  2017.04.23

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  2015/08/02 石巻・川開き祭り×七夕飾り

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/08/02 22:20 地域の魅力 , 旅行・祭り 石巻・川開き祭り×七夕飾り石巻の中心部で迎えた朝、湿り気をふくんだ風が、夜明けの繁華街特有のにおいを運んでくる。夜遅くまで熱気さめやらなかった、祭りのあと……かつて信州から復興応援に訪れた縁で、金華山黄金山神社の龍（蛇）踊りの鳴り物衆として、炎天下の市街地を練り歩いた。法被に身を包み龍の動きにあわせて鉦を叩くのは一年前と変わらないが、周囲の風景は少し、いやだいぶ変わったかもしれない―― 仙石東北ラインを降りれば建設の進みつつある市立病院が視界に入り、ブルーインパルスの描く飛行機雲を取り払われたアーケード街から眺める。観慶丸本店の通りの七夕飾りが復活したのは、まちづくり団体ISHINOMAKI2.0の計らいがあってのことのようだ。「浜へ行こう」の縁で牡鹿の海産物を送ってもらった「石巻祥心会」のテント前を過ぎれば、アイトピア向かいの出店に立っている、昨年は「がんばろう」のロゴ入りTシャツを着ていた「いしのまき環境ネット」のみなさんが、今年は地元製の冷しおでんを売っている。 金華山つながりの仲間たちを見送り、駅周辺を歩きまわっていると、音楽祭と打楽器ワークショップがらみの知人と思いがけず再会――お互い花火大会の相手と待ち合わせ中。立待月が昇り、煙火が始まってみると、普段あまり意識していないながら、川の近くまで高い建物が目立つ。街の中心が内陸に移ったかのように感じることが多いものの、旧くからの市街地は決して一夜にして成ったものではない。 一週間前に初めて訪れた遊楽館を再訪。周囲の水田の稲が、穂を出し始めている。きょうは仙台市議会議員選挙の投票日というのに、このところの休日は石巻圏で過ごしていることが多い。市民でもないのに公共施設のリピーターになってよいのかよくわからないけれど、いずれまた何かの形で力になれたときの出世払いということにしておこう……などと、この地を軸に繋がってきた縁と、繋がるかもしれないこれからに想いをめぐらせる。

  2017.04.23

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  2015/07/26 石巻周辺でプールめぐり～「ゆぷと」と遊楽館を泳ぎ比べてみたの巻～

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/07/26 23:09 地域の魅力 , スポーツ , 暮らし 石巻周辺でプールめぐり～「ゆぷと」と遊楽館を泳ぎ比べてみたの巻～石巻方面に所用の前後に少し時間があり、近隣のプールを泳ぎ比べてみた。 まずは東松島市、矢本駅にほど近い健康増進センター「ゆぷと」。午前10時すぎ、屋外のエレベーターで2階に上がり、受付で当日券を買う。流れるウォーキングプールで人生の先輩たちに混じってウォーミングアップ、そして水泳教室の子どもたちの横で泳ぎこみ、少し疲れたらジャグジーで休憩、のくりかえし。リフレッシュの仕上げはお風呂ゾーン。天然温泉の露天風呂のようだけれど、今日はどちらかといえば、空を見あげながら日光浴日和。これだけの設備を備えつつ、清潔感があり混雑しすぎてもいない。全体が広すぎずコンパクトにまとまっているのがむしろメリットかもしれない。 聞けば3.11当時はお風呂が大活躍したようだ。地区によって時間帯が決められていたようだけれど、今は市民でなくても誰でも利用できるので、空き時間の有効活用にはもってこい。そして仙石線との相性も抜群、のはずだ。つぎは回数券を買ってリピーターになる予感あり。  もうひとつは旧河南町北村の「遊楽館」。プールはこの複合施設の一部に過ぎず、とにかく敷地が広い。道を挟んで向かい側にはゴルフ場、そして庭園には、どこか高原美術館を思わせるような彫刻やオブジェ。プールの開館時間まで、それらを臨む図書館の窓辺のカウンター席へ。読書や勉強なんて何処でも同じ、などと言ってはならない。書き物に追われたときなど、次からは此処へ来てみよう。 プリズム型の天窓から差し込む光が水面にきらめき、アクエリアムの魚になった気分でしばらく泳ぐ。こちらも、もれなくジャグジーで休憩付き。 この敷地から大通りへつながる一本道の目印は、今のところ前山仮設団地のようだ。曲がりくねった細い坂道に沿って点在する民家、セミの声に背の高いヒマワリ……何故か、夏休みにおばあちゃんの、そのまた田舎を訪ねているような風景。新タマネギを軒先に吊るす習慣は、わたしの田舎にはなかったけれど。かやぶき屋根の民家があらわれ、タイムスリップしたような気分になっていたら、宝ヶ峯縄文記念館だった。と思えば、このところ話題を呼んでいる気仙沼行きBRＴのバスと遭遇――以前、前谷地から鳴子温泉を訪ねた際には気づかなかったと思えば、今年6月末に延伸されたばかりとのこと。 昼食に入ったカフェで手にとった雑誌「珈琲時間」に牡鹿半島の「はまぐり堂」が、S-Styleには涌谷町に昨年開店したフレンチレストランが掲載されていた。次の週末は石巻の川開き祭りだ。夏本番はこれから、そしてまだまだ開拓できそうなこの地域、今度はどんな土地やらお店を訪ねてみようか。

  2017.04.23

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  2015/07/20 仙山線・左沢線で山形・寒河江　セレクトショップGEA　へ行ってみたの巻

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/07/20 22:47 地域の魅力 , 旅行・祭り , 趣味・日記 仙山線・左沢線で山形・寒河江　セレクトショップGEA　へ行ってみたの巻海の日の連休、今月オープンしたばかりの水族館を訪ねようとしたものの、にぎわいを通りこしてあまりの混雑というより混乱ぶりに門前で撤退。気をとりなおして今日は、あえて海ではなく山側へ向かう。いつしか市街地を抜けた仙山線の車窓には、眼下に川の流れる渓谷や霧雨に青々と映える森林地帯。かつて旅の宿を求めた作並を過ぎ、面白山の長いトンネルを抜ける。 山形駅の平田牧場直営店で金華豚のカツ弁当を買い、「フルーツライン左沢（あてらざわ）線」に乗換。寒河江駅で下車し、老舗割烹旅館前の足湯でひと休み……といきたいところだが、足をつけたくなるのは、今日はどちらかといえば最上川へつながる水路のほうだ。風はべとつくものの、何処か秋空のような雲を見上げているうちに、つい先刻まで置物のように動かなかった蛙が、いつの間にか水に飛びこんだようだ。 ことし4月にオープンした、噂のセレクトショップGEAを探してみるものの、地図にも載っていなければ案内表示もなく、周辺を歩きまわることに。見つけてみればなんのことはない、駅から見えていてもおかしくない距離にもかかわらず、周囲の住宅に溶けこんでいるうえ、ちょうど死角になっていたのだ。大々的に主張しないあたりが、知る人ぞ知る穴場ということか……ともかく、迷いも旅のうち。 石造りの酒蔵をリノベーションしたという建造物に興味があって足を運んだので、天窓からの光の取り入れかたやら部屋の仕切りかたやらを観察しつつ、二棟の店舗をひとめぐり。お店というより博物館のような重厚なおもむき。世界各地からの舶来品が並べられていても、確かにこれなら調和する。買い物を終え、コーヒーを飲みながらほっとひと息。ごった返した街なかでは、ありそうでなかなかないかもしれない贅沢。 帰路はひさしぶりに気に入った本を開きながらの鉄道旅。このところの休日、イベントやら復興応援に勤しんでいて誰に気をつかうでもない純粋な旅ごころを忘れかけていたのではと、そして海側へ向かえば意識するとしないとにかかわらず復興の足どりをたどり未来を思いえがくことになり、もちろん忘れないのは大事なことなのだけれど、ときに、あえてそういうことを忘れて現在（いま）だけを楽しむ、肩の力を抜いた旅も必要なのかもしれない。 乗客がふえ、車窓の建物が密度を増してくるにつれ、きょうの夕飯やあしたの仕事のことが気にかかりもするけれど、あえて混雑を避けた旅は、ちょっとした非日常になりうる。旅として企画するなら地元の温泉とセットなのだろうなと、また訪れるかもしれない非日常のいつかに、ぼんやりと想いをめぐらせる。 http://www.gea.yamagata.jp/

  2017.04.23

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  2015/07/05 小牛田 山神社あじさいまつり×牛飼水辺公園

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/07/05 21:11 地域の魅力 , 旅行・祭り 小牛田 山神社あじさいまつり×牛飼水辺公園ときにはタブレット端末を置いて、小さな旅に出よう。今日の目的は美里町・山神社のあじさいまつり。レンタサイクルを置いている小牛田駅の案内所がお休みなのでウォーキングに変更。青々と広がる水田やネムノキの花をながめつつ、15分くらいの道のりだ。 鳥居の脇では青紫のガクアジサイに、カタツムリではなくトンボがお出迎え。真っ白な花や、睡蓮の池に鏡をうつす花やらを鑑賞しつつ境内を散策していると、太鼓橋で篠笛奏者・佐藤和哉氏の生演奏が始まる。暑すぎず、雨も降らず、演奏している方も気持ちがいいですね、と。http://shinobue-sato.com/3/#top ゆず「雨のち晴レルヤ」の原曲「さくら色のワルツ」の鼻歌まじりに、赤色系タイルの遊歩道「産声の道」を歩き、牛飼水辺公園へたどり着くころ、町に正午を告げる鐘が響く。江合川河川敷、赤紫のガクアジサイは、遠目にはアザミのような色合いにみえる。見わたすかぎり、のの岳より高いものはなく、鳥たちや水辺の生きものの声をさえぎるのも貨物列車の足音くらいだ。歩いていて誰かとぶつかることもないし、この山の稜線のようになだらかなペースでも誰に追いこされるでもない――そんなことにほっとするということは、ふだんの街なかのくらしに、気づかないうちに少しずつ疲れはじめているのかもしれないけれど。 聞けば山神社では、当地への遷座（1917年）からの100年記念大祭に向け、今宵「序の巻」が行われたようだ。ということは来年、そして再来年もこの篠笛の音を聴けるだろうか、そのころ、いつかこの駅を中継地に訪れた沿岸部の復興やら、いろいろなことはどうなっているのだろうかと想いを馳せつつ、梅雨の中休みの小さな旅をふりかえっている。// /

  2017.04.23

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  2015/06/29 【本日まで】東北障がい者芸術公募展＠メディアテーク

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/06/29 08:34 カルチャー , イベント , 教育・福祉 【本日まで】東北障がい者芸術公募展＠メディアテーク今年はじめてのアサガオの花に挨拶をして、空模様を気にかけつつメディアテークへ向かう。1階ロビーの「Art to You! 東北障がい者芸術公募展」の会場で、パーカッションのワークショップに参加するためだ。 http://www.art2you.jp/ OPA! のメンバーに当日参加の子どもたちやお客さんも混ざって、太鼓を叩いたり声を出したりしつつ、いつのまにかリズムが出来あがってゆく。音楽、ことに打楽器とアートのコラボレーションは、どこにもありそうでいてどこにでもはない。せっかくの機会なので鑑賞してゆくことに。 入口近くでまず目をひくのは、童話の挿絵のような「Happy?dog～私のこころ（ハート）はワンコ色～」。オーディエンス賞の1票を、青森県の作者さんの（ということは岩木山を描いているのだろうか）「春」と迷ったが、青の濃淡を駆使した、ルネ・マグリットを彷彿させる「パワーウイング」に投じた……梅雨入りしたばかりなのに、もう青空が待ち遠しい。 この公募展、今年がはじめての開催のようだ。アンケートの、この会場がとてもよい、と、（今後）東北各地で開催してほしい、に両方とも○をつける。まあこういったものは、関係者以外のひとが入らないような閉じた部屋や上のほうの階よりも、通りすがりのひとが、たとえば打楽器の音とか、ちょっとしたきっかけで足を止め、目を留めてなんぼなわけで。 「第1回Art to You! 東北障がい者芸術公募展」、せんだいメディアテーク１階にて6月29日まで開催中。ガウディ×井上雄彦展とあわせて、是非お立ち寄りを。そして来年は、東北の何処かでお会いしましょう！！

  2017.04.23

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  2015/06/26 【告知】26日（金）19時　パーカッション・フェスタ開催！！＠仙台市福祉プラザ

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/06/26 00:02 カルチャー , イベント , ＮＰＯ・地域活動 【告知】26日（金）19時　パーカッション・フェスタ開催！！＠仙台市福祉プラザ入梅の発表もないまま夏至を過ぎ、つる性植物たちは上へ横へと枝を伸ばしつつある。種を蒔き苗を買ってきた頃には、「とっておきの音楽祭」が終わってまだだいぶ先の月末、と思っていたコンサートが翌日に迫っている。http://totteokino-ongakusai.jp/ 津軽三味線と和太鼓でインターナショナルに活躍している「新世代邦楽ユニット　閃雷」と「3D-FACTORY」のリーダー三浦公規氏は、音楽祭でわたしもフィナーレに立たせていただいた打楽器ワークショップの講師でもある。GLAYとも共演したイケメングループが地域に根を張り、一方で邦楽の魅力を世界に発信し続けてゆくのだとすれば、この国もまだまだ捨てたものでないかもしれない。 そんな彼らが、復興支援web「石巻屋」のインタビューで素顔をのぞかせている：http://ishinomakiya.com/%EF%BC%93d-factory/ 4年前の3.11当初、内陸部にいた彼らが被害の大きさを知ったのは翌日になってからだったという。避難所へ物資を届けつつ和太鼓を演奏すれば子どもに泣き出され、大人には地震を思い出すから聞きたくないと言われ……しかしあのときに現地にいても離れていても、よかれと思ったことが伝わらなかったり、そうしたことは、なにも彼らに限ったことでなく、似たような不全感を感じていたひとは決して少なくないのではないかと思う。 ただ、災害現場は一瞬だとしても、復興は何年も続く。そうして地に沈んでいった思いが別の場所で芽を出し、ほかの誰かの思いと出会い、実を結んだものもあれば、まだこれからのものもある。まあ、そんなわたしも、信州から沿岸部を訪れていた2012年初夏、通りすがりに聞こえてくる津軽三味線に惹きこまれたご縁で、いつのまにか地元民のように、なにを応援しているのか、とりあえずお祭りに盛り上がっているのだけれど。 そんなわけで、とっておきの音楽祭15周年記念コンサート part2「パーカッション・フェスタ」は6月26日（金）、仙台市福祉プラザふれあいホールにて19時開演。乞うご期待！！

  2017.04.23

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  2015/06/21 信州と東北 ～赤坂憲雄×菅江真澄 考～

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/06/21 20:20 カルチャー , 旅行・祭り 信州と東北 ～赤坂憲雄×菅江真澄 考～浅間山の小噴火を気にかけつつ、古巣の知人を訪ねて長野県へ向かった。 八十二銀行の待合で同行文化事業団の機関紙「地域文化」No.112（2015春）を手にとれば、赤坂憲雄氏が江戸後期の紀行家、菅江真澄の足どりをたどる巻頭言が目に留まる。すなわち三河国出身の旅人にとって、まず滞在した信州は、東北への入り口のような位置づけであったにちがいない、と。異動から1年余、解約を考えて銀行に立ち寄ったものの、この文章で思いとどまった。 長野駅善光寺口のたたずまいが、この数か月のうちに一変している。先月も訪れたものの御開帳でごった返しており落ち着いて立ち寄る間がなかったが、県内各地からの土産店がひしめき、スノーモンキー見物の観光客を運ぶ長野電鉄ホームへの順路にもエスカレーターが設けられた。 夕食は「長野県長寿食堂」、そして軽井沢駅前に宿をとり、薪ストーブの煙突と背の高い木々の植えられた庭をながめながらの朝食――ビジネスホテルなのに山小屋のおもむき。近代的な利便性のなかに、どこか和の、あるいは木のぬくもりをたたえているのもまた信州らしさのひとつかもしれない。 東信の旧い知人たちと再会し、おやきやら「むしり」をつまみながら盃をかわす――菅江よろしく、わたしにとっても、信州はふるさとであり、現在とこれからへつながる原点にほかならない。それならば、ふるさとを想いつつも東北の地で出会ったゆるやかなネットワークを、これからへつなげてゆこうと約束する。 （写真は5月撮影）

  2017.04.23

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  2015/06/14 歴史博物館×仙石東北ライン

  移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2015/06/14 20:04 カルチャー , 旅行・祭り , 復興・防災 歴史博物館×仙石東北ライン紫陽花の色づき具合を確かめに北山・資福寺を散策した翌朝、東北歴史博物館で21日まで開催されている企画展「医は仁術」を訪ねに列車に乗る。旅程表と「女川町観光マップ」を手に、在りし日の常磐線談義に花を咲かせている銀髪紳士のグループと向かいあう――ということは、3.11以来、混雑と渋滞を避けて幾たびか世話になった東北本線経由石巻線のルートが迂回路として、あるいは鉄道ファンの間で、いまだ健在ということだろうか。 山脇東洋の観蔵図や解体新書、華岡青洲の手術麻酔――教科書で目にしたような展示の合間を縫うように宮城展限定公開資料の数々。本年が東北大学病院の百周年のみならず、1815年の仙台藩医学校開設から二百年にあたることや、明治の宮城医学校が現在の東二番丁と広瀬通の交差点付近にあったことは、あまり知られていないかもしれない。 常設のミュージアムショップで、先週の「とっておきの音楽祭」フィナーレを飾った地元の若手雅楽師・笙YUU氏のCD「悠（はるか）」と思いがけず遭遇。そういえば先日も、所用の帰りに立ち寄った小牛田駅の総合案内所で、音楽祭のパーカッショングループ「OPA」の講師で和太鼓奏者の三浦公規氏らが美里町観光大使を務めていることを知り、「HASEKURA」や「大地の詩」を収めた「閃雷」のアルバムを手に入れたばかりだ。世のなかは（宮城県は）意外に狭いのかもしれないけれど、ここから広がってゆく歴史に音楽、アートの世界は果てしない。 帰路は真新しいハイブリッド車両の仙石東北ライン。次回はこの駅（国府多賀城）から石巻方面へ足をのばすこともできるし、向こうからの知人と待ちあわせたり車内で合流するのも面白いかもしれない――と、つい2週間前まで想像もしなかった休日の過ごしかたに心を遊ばせる。 まだ陽の高い午後、アーケード街に響く応援歌はホームゲームの勝利を告げているようだ。「羽ばたけ命ある限り」の歌詞に、3.11を経て重みを感じるようになったというようなことを、誰かがつぶやいていた。「復興の現在地」は、沿岸部を訪れたり繋がりを持ちつづけているかぎり自然に目に入ってくる一方で、いま生きていること、生かされていること、そして大地もまた生きているのだということに思いが及ぶことは少なくなりつつあるかもしれない。そんな日常にちょっとした刺激と考えるきっかけを与えてくれた、鉄道の小さな旅をふりかえりつつ、これからもこの地の歩みを訪ね伝えてゆこうと誓う。

  2017.04.23

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