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カテゴリ:TV・映画
一週間遅れで、ようやく「密命」を見ることができた。といってもわたしのところでは放送されていないので、実家の家族に録画してもらったのだけど。2時間スペシャルだと、こちらではなかなか放送されないかも。
さっそく感想だけど、とてもおもしろかった。内容は原作を何度も読んでいるので十分承知している。だからよけいに原作に忠実に作ろうとしているのがわかる。原作はちょっと厚めの文庫本で、その中にいくつかのエピソードがあって、市井で生きる人々と惣三郎の交流を描きながら、本題の密命を果たしていくという話。密命自体はそれぞれのエピソードの中に伏線として少しずつ全貌が明らかになっていくというもの。今はエピソードの方がメイン。たぶん後半に待っていくとと比重が逆転すると思う。 これのおもしろさとは逆に考えたことは、原作をドラマ化するときの姿勢。 というのも、2007年の7月にNHKで同じ作者・佐伯泰英氏の「居眠り磐音――陽炎の辻」がドラマ化されていて、この場合は正直幻滅してしまったから。「陽炎の辻」は原作ではその第1巻のタイトルで、密命と同じように、お家騒動にまつわる大きな流れとは別に、磐音と姿勢の人々のエピソードがいくつも入っているのだけど、NHKは11回の中に第6巻「雨降ノ山」まで入れてしまったために、それぞれの缶にあるエピソードがほとんど削られてしまうと言う悲惨さだった。原作を知っているわたしとしては、NHKの「陽炎の辻」はあまりにも駆け足すぎて余韻がなかった。原作を生かし切れていなかったと思う。 今度、パート2をやるとのことだけど、その枠は今までよりも15分も短い30分枠とのこと。いったい本当に原作を生かして作れるのだろうかととても心配。 ドラマと小説では、表現方法が違うし、時間も決められているから、はっしょったりしなければいけない部分もあるというのは十分承知の上で、それでも原作を生かすことはできると思う。 「密命」は少なくても2時間スペシャルの部分ですべてを見せようとはしていなかったし、とても丹念に書かれていた。原作をとても大切にしているのがこちら側にも十分伝わってきた。もちろん、2時間という時間だったからということもあると思う。でも予告を見る限りでは第2回も原作を大切にしている感じがある。しのと惣三郎の前妻あやめがうり二つという設定は原作にはないけどね(笑)また子供たちの手形やあやめの遺髪を持ち歩いているシーンもなかったけど、むしろこのシーンがあった方が、家族への惣三郎の思いがよく伝わってくる。 結局のところ、原作をいい方向に越えていくと、その作品は原作とはちょっと違うけど、でも原作の雰囲気やテーマはしっかりとつかんでいると見なされるのではないだろうか。 証明の仕方とかはNHKの方がいいと思う。TBSの水戸黄門にしても、この「密命」にしても、フィルム撮影でないからあまりにもはっきりと見えすぎてちょっと違和感がある。光が強すぎといったらいいのか。映像的には安っぽく見えてあまり好きにはなれないのだけど。たぶんNHKも同じように撮影しているとは思うのだけど、そういう意味での違和感はあまりない。 とはいえ、最終的には作品の内容がものを言いと思う。「密命」は心待ちにしたい作品だけど、「陽炎の辻」はどうなることか……。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.04.26 23:01:07
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