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カテゴリ:book/cinema/music の庭
同人誌の原稿締め切りが、来週に迫っているので、最後の仕上げを、今、必死でやっている。
今回をもって終わることが決まっているので、納得いく形にしたいし。 書けない、書けない~~と、頭を抱えながらも、なんだかんだと、60枚弱になった。 だもんで、1月2月と、本を読むペースが落ちている。 今年に入って最初に読んだのが、吉田修一の、「春、バーニーズで」だった。 人生において、こっちを選んだけど、別の、あっちの道もあった・・ということは、誰にもあること。 また、ここで、ちょっとしたこと、些細なきっかけで、別の方向を選ぶってことも。 それは、人やモノ、こと、色んな出会いに起因するのかもしれない。 この作品は、連作短篇集なのだが、私は、その中でも、「パーキングエリア」というのに、強くひかれた。 主人公は、ある朝、会社に行く途中、ふと、会社への道とは違う方向にハンドルをきる。 そっちにきることによって、どうなるか・・・。 車線変更のための、たかが45度なのだが、その45度は、その日、会社に行かないという、主人公にとって、大きな意味を持った。 “衝動的というのは、どちらかというと熱い感情のイメージがあるが、実際は、冷静沈着なものだ” とある。 無断で会社を休むということは、社員一人失踪したということは、どんな波紋を巻き起こすか。 会社で騒ぎになること、すぐに家に連絡が入ること、連絡が入って慌てる妻の様子、そしてすぐに後悔するだろう自分の自分のこと、そんな色んなことが、実に、冷静に頭に浮かぶというのだ。 誰だって、急にふらっと、今から、どこかへ行ってしまいたいとか、いつもの決められた行動とは違う道、時間を行ってみたいというのがあると思う。 と言うか、そうしたら、どうなるだろうかと、頭に思い浮かべることが。 ある方が、この本の感想として、 「誰だって、仕事を放り出したいと思うことはあるだろう。自分にはそんなだいそれたことはできないが、疑似体験として読むにはありがたい」 というようなことをおっしゃっていた。 Exactly!! そして、ラストがとにかくよかった。 ある種、感動すらした。 これから読む人のために、あえて結末は、書かないでおくが、私も、主人公の妻のような人になりたいと思った。 ありそうで、できそうで・・・ 短いけど、とても心に残る作品だった。 写真がたくさんあることもあり、すぐに読めてしまうので、ちょっと時間あるから、ってときに、絶対読んでほしい一冊である。 夏に読んだ、同じく吉田修一の短編集 「うりずん」 写真とストーリーのコラボが素晴らしい。 1+1は、2以上、プラスαで、楽しめる作品だ。 どこにでもいる、自分の周りにもいそうな、平凡な日々を送ってういる人々。 だけど、そこには、一つ一つ、物語がある。 1つの話が、5ページほどなのに、なのに、とってもよくわかる。 その人の気持ち。 そこにいる人の気持ち。 それは、きっと、あぁそういうことってあるよなと思える、そんな普通の日々を並べてあるからに違いない。 何気ない日常を切り取って小説にすることに対しては、やっぱピカイチだな、この人は、って思った。 さすが、芥川賞作家(^^)v 読んだあとは、いつも、自分の日常や周りに目を向けたくなる。 私の大好きな作家の一人です。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 感想というわけではないけれど。。。「パーキングエリア」 私がもし、日常を放り出したら、あなたは探してくれますか? 困るから、じゃなくて、物理的に、生活的に、必要だから・・・じゃなくて、寂しいから、いないと心にポッカリ穴があいちゃったみたいだから、だから・・・ そんな理由で。 そして、「パーキングエリア」の妻のように、私を、これ以上ないという愛情で、見守ってくれますか? そんな風に叫びたくなる作品だった。 そんな不思議な力が、この人の作品には、いつもあるような気がする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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