|
カテゴリ:カテゴリ未分類
明日、母が東京に来る。ミーハーな母は、東京では浅草で買い物をしたり、テレビで何度か
話題になっているH&Mに行きたい、と言う。母が来るのは、突然のことではないが、最初私は 戸惑った。私の部屋に泊まるという母を止めた。なぜなら、母はほうっておくということが苦 手であるし、プライバシーなど尊重しない。かたや、私は人とはどちらかというと、距離をと りたい方、一見さばけているように見えて、内面に秘めるタイプ。重要か否かはともかくとし て、何かと秘密を持ちたがる傾向にある。そんな人間にとって、ともかく、趣味を持たず、友 人を持たず、という母親は重たい。 一日目の予定としては、昼ごろ、羽田空港に母を迎えに行く。それから、ホテルへ向かい、 荷物を預ける。共に昼食をとる。その後、母の行動は、浅草、御茶ノ水と広範囲にわたる。買 い物に関しては、付き合い切れないので、私はおそらく、何度か喫茶店で休憩をすることに なるのだろう。 いつ頃からだったか、母と対面すると、ぎこちない。自分自身に対して違和感を持つと共に 母親という存在に対しても、違和感を持つようになった。母と娘といえど、他人である。その 他人が、私の私生活を知ろうとする。煙ったいという気持ち……。 愛があって、すべてが円滑に進むというわけではない。愛が逆に障害となる場合もある。 心配という名目の元に、いろいろ聞き出そうとする母親の質問に答えるのは、尋問を受けて いるようだ。 そこで、私は考えた。東京にとどまるのではなく、旅行に出かけようと……。見るべきもの がないのが、問題なのではないか。それに、母と共に旅行に出かけるのは、あまりにも久しぶ りのことだ。東京以外の場所に関心を持ってもらいたい、という思いもある。日常生活は祖母 が心配性という理由により、家と職場の往復のみ、旅行は私がいる東京のみとなると、どうに も狭い世界に母が住んでいるようだ。その狭い世界の中から、外につながるように、私に電話 をかけては、疲れた、だの、うんざり、だのと、愚痴を言ってくる。今は、それほど、電話が 頻繁というわけではないが、一時の逼迫した、電話のかかり方が印象に残って忘れられない。 母親が来るに際して、不安もある。一昨日、明日の夜の予約をバイト先のスペイン料理店に 入れる。何人かは、好奇心からか、母が来るのを、楽しみにしている。店長は、私に何が飲み たいか、と、聞いてくれた。母を心配させる為に、嘘をつくぞ、と、張り切っている。「お宅 の娘は毎晩、飲み歩いています。」まさか、いくら私でも!と、声を張り上げる。「嘘をつく のはやめてくださいよ。」まさかまさか、の、嘘はつくはずがない。母には冗談が通じないし 、一切アルコール類は口にしない堅物なのだから。おまけに口下手で、表現も下手で、表現し ようとすると、ヒステリーになっちゃう。 あぁあ、嫌になっちゃうなぁ……。いろいろ思い出すと、ぎこちなくなっちゃうなぁ。 母は苦手だ、と、私は正直思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Oct 21, 2009 03:42:39 PM
コメント(0) | コメントを書く |
|