オーストラリア砂漠ツーリングに向けて
晴れ。もうすぐオーストラリアツーリング。準備がてら、バイクで走る「キャニング・ストックルート」という場所についていろんなサイトで調べてみるた。すると今更になって、とんでもないことが分かった。というか、ほかの参加者はとうに知っていたに違いないのだが...。どうやら世界最長のダートなのだ。全行程10日ほどで2千キロ走ることについては、さほど驚かなかった。しかし公道とは訳が違うのである。ふかふかの砂漠で、おまけに1000もの砂丘越えがあるのだ。世界中のライダーが挑むこのルートについて、今まで「オーストラリアをバイクで走りにいく」くらいの概念でいた私、出発まで残り2週間弱になって「やばいやばいやばい!!」、とお尻に火がついたのである。行きたくても行けない人が聞いたら、こりゃ叱りとばされそうである。距離もさることながら、道中に民家がひとつもないゆえ、宿泊はすべてキャンプ。お風呂にも入れず、パンツすら毎日替えられない。まあ、命に関わりがないとはいえ、日本でもこの暑さの中、汗まみれになった下着を一日でも替えられないのはつらいものがある...。こんな過酷な旅の中で、何を武器に生き延びようか。以前の放浪旅でもそうであったが、体一つ、自然の上に放り出されたとき、最初にもろに向かい合うものは「自分の弱さ」である。そして、すでに後に引けない状況にいるため、否が応でもコイツを克服しなければならなくなる。日本では社会環境が複雑で、物も多すぎて、自分の実態すら見えづらくなっていたのかと気づかされる。自分もさることながら、一緒に旅をする人たちが、普段と同じでいられるかどうかも分からないのだ。なぜなら、日本の社会で「強い」とされる人が、砂漠の上で「強い」かどうかは本人ですら分からない。自然の中の人の価値基準は、人間の作った価値基準とは大きく異なっているはずなのである。さりとて、自然の中で強くなくても社会では生きていけるということにもなるが、それをあえてチャレンジすることで自分の幅が広がることはありえる。自然の中でダメダメ人間だったと気づかないようにしたい、もしかしたらそのことで私はビビっているのかもしれない。