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2005/09/01(木)16:42

『鉄槌』夢野久作

Book(10)

本のタイトルではなく、収録されている小説の題名です。 夢野久作(1889~1936)は大正時代から昭和初期に活躍した作家。父は当時の大物右翼・杉山茂丸。僧侶や新聞記者などを経て作家になる。作風は怪奇・幻想性が強く、代表作は『ドグラマグラ』。物凄い題名の作品が多いが、内容はそれ程でもないのでご安心を(例えば『少女地獄』なんて違う分野の小説と間違えられそうだ)。 『鉄槌』は昭和4年の作品で、東京の証券仲買人(いわゆる株屋)の使用人の青年が主人公。復讐ものの一種だが、この青年、ずば抜けた聴力を持つ。当時の証券取引所はもちろんオンラインなどなく、取引所間の連絡も時差があった。電話も十分に普及していない時代である。青年が大阪の証券取引所と電話している時、向こうの電話口の後ろの方で砂糖相場急騰の会話が聞こえ、すかさず東京市場で砂糖会社の株を買い占め大儲けする。 ワイド劇場にドラマ化できそうなストーリー。そしてどうなったかはぜひお読みください。青空文庫でDL可能。 それにしても、こんな能力がほしい・・・株で大儲けする場面は、嬉しくなります。

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