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何千種類とあるカクテルの中で、これぞ究極のカクテル!と呼べる一杯を選ぶとしたら、
おそらく9割以上のバーテンダーが、このカクテルを選ぶだろう・・・。 その名は・・・ マティーニ カクテルの帝王の異名を持つこの一杯。 ふだんそんなに飲まない人でも、名前くらい聞いたことはあるんじゃないだろうか。 カクテルはマティーニにはじまり、マティーニに終わる。 数々の逸話と伝説に彩られた偉大な王。 とりあえず、レシピを紹介しよう。 これは、日本バーテンダー協会のオフィシャルレシピだ。 ドライ・ジン 3/4 ドライ・ベルモット 1/4 ステアして、カクテルグラスに注ぎ、レモンピールを絞りかける。好みでオリーブを飾る。 ステアっていうのは、ミキシンググラスという専用のビーカーみたいなやつに氷と材料を入れて、バースプーンていう細長いスプーンみたいなやつでかき混ぜることね。 レモンピールは、レモンとかオレンジの皮をつまむと、ピュッって霧みたいな水分が飛び出るじゃん?あれのこと。少し香りがつく。 ドライ・ジンはそこらによく売ってるからわかると思うけど、いい香りがする透明な蒸留酒。度数は40度くらい。 ベルモットは、白ワインに薬草とかを漬け込んだやつ。チンザノとか、ノイリープラットっていう銘柄が有名だよね。 材料も少ないし、一見簡単そうでしょ? だけど、このシンプルさゆえに、アレンジにつぐアレンジの嵐で、 100人いれば100通りのレシピがあるといわれるくらいにまで発展したんだって。 たとえば、ジンの量を増やしてベルモットを減らしたり。 オリーブは飾らないとか、レモンピールはしないとか。 ジンの銘柄はビーフィターだ、ゴードンだ、タンカレーだ。 ベルモットはチンザノだノイリープラットだ、いやドライじゃなくてスイートがいいだとか。 なんて細かい連中だろうかww そうした歴史の中でも、戦後はなにやらドライマティーニが流行したらしい。 ドライっていうのはつまり、辛口。 辛口っていうのは、早い話が甘くなくて強いってこと。 ジンの量を増やしてベルモットを減らしたのが、すなわちドライマティーニなわけです。 ドライ化は激しくて、たとえば、 グラスにベルモットを注いで少しゆすったあと、 そのベルモットを捨てて、そこにジンを注ぐとか。 あのイギリス首相チャーチルなんか、 目の前にベルモットのボトルを置いて、それを眺めながらドライ・ジンを飲んだなどという逸話もある。 完全にマニアの世界ですw オタクだなこりゃ。 あとは心の中にベルモットのボトルを思い浮かべながらジンを飲む、とか。 とりあえずみなさん、マティーニがどんなカクテルかっていうことは、わかっていただけたでしょーか? ここからが本題!! でね、まあ究極であるがゆえに、 やっぱりかっこつけたいときには頼んじゃうわけですよ。 「ドライ・マティーニ」(キラーン) てな感じでカウンターでかっこよく決めれば、となりの女性も、 「まあ!こなれた感じでステキだわウフーン☆」 と、イチコロなわけですよ。 しかし!!!! みなさん、もうおわかりかと思いますが、ここには大きな落とし穴が待っているのだ! すなわち、かっこつけ=決まったらカッコイイけどミスったら死ぬ マティーニに関する知識が中途半端なままこの小道具を使ってしまうとどうなるか、実話からお届けしよう。 ある夜・・・ とあるバーでの物語・・・。 一組のカップルがやってきて、カウンターに腰掛けた。 ビジュアル系のかっこつけ男と、その彼女らしいギャル。 「いらっしゃいませ」 バーテンダーは、どんな客に対しても失礼の無いように対応する。 しばらくして、注文を伺うバーテンダー。 「ご注文は、お決まりですか?」 ビジュアル系は、待ってましたとばかりに決め台詞を口にした。 「ドライマティーニ。ベルモット多めで(決まったゼ・・・)」(キラーン) ・・・。 固まる空気。 「ドライマティーニベルモット多め」 この意味するところを、彼は知っていたのであろうか・・・。 ドライなのに、ベルモット多め・・・。 接客のプロであるバーテンダーも、さすがに動揺は隠せない・・・!! 彼は考えた。 「もしここで真実を教えてしまったら、女性の前で、彼は恥をかいてしまうことになる。あそこまで自信満々にかっこつけられては、プライドを傷つけずに教えることは不可能だ・・・!しかし、このまま間違った知識をひけらかし続けることは、彼のその後の人生において悪影響を及ぼしはしないだろうか・・・?いまここで救ってあげるべきなのでは・・・。しかし、それでは彼は立ち直れないかもしれない・・・!」 ここまで5秒くらいw 結局、真実を教えることなくオフィシャルどおりの普通のレシピでマティーニを作り、 ビジュアル系もそれをかっこつけながら飲んで、 何も知らないまま帰っていった・・・。 そんなある夜だった・・・。 「ドライマティーニ、ベルモット多め」 そしてそれは、伝説となった・・・ww これは俺が飲食で働いてたときオーナーに聞いた話だ。オーナーの実体験である。 そのときどうすべきだったのか、けっこう議論になったものだ。 それ以来、マティーニを注文する男は鬼門として認識されるようになった。 自分たちが客のとき、どうやってマティーニを頼めば嫌われないか、などというアホな作戦も考えていたもんだww 俺がよく行くバーのバーテンダーさんにきいてみたら、「いやなお客さんだったら言ってしまうかもしれないですねw」と言っていたww カクテルの帝王マティーニ。 今夜もどこかで、伝説が生まれる・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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