オフミの温泉メロディ

2011/01/07(金)05:47

FROM NOW ON /GLENN HUGHES 1994

ディープ・パープルファミリー解説(32)

 パープル時代の「ひとり学級崩壊男」グレンが大きな人間的成長を果たし、渾身の一枚を世に出しました。  パープル崩壊後のグレンは、ヒューズ・スロールの結成と破綻、ゲイリー・ムーアやブラック・サバスへの参加、'PHENOMENA'プロジェクトなど目まぐるしいもののどれも散発でこれといったものがなく、そして強度のアルコール依存症の治療のためペティーフォードクリニックに入院と、「栄光と没落」を絵に描いたような落魄の日々を送っていました。  そこに手を差し伸べたのが当時ホワイトスネイクで申し分ない成功を得ていたパープル同期のデビッド・カバーデイルでした。  「グレンが何もやっていないと聞いて胸が痛んだ。あれ程の才能の持ち主なのに、時には自分に対して大馬鹿者になってしまう。だから、ぜひ招いてみようと思った。」  と、アルバム「スリップ・オン・ザ・タン」に彼を起用。  これが引き金となった。  映画「ハイランダー2」のサントラ曲をはじめ、じゃんじゃん仕事が舞い込むようになったのです。グレンはスエーデンに渡り、「ヨーロッパ」と合流。  このアルバムはビューティコロシアムでゲストの女性がよく叫ぶように、彼の「私、生まれ変わります!」宣言なのでした。  中身が濃い。死ぬほど濃い。グレンの魂てんこもりの一皿です。  ★★★★☆ 1.Pickin' up the Pieces  破壊的でもなければオドロオドロしくもない、スマートでチョイ悪なロック、これが俺のやりたかった音楽なんだ!と高らかに歌うグレン。でも、アルバム中、一番つまんないんですね、これが・(笑)。 2.Lay My Body Down デビカバにリスペクトしたかのようなスローなブルースロック。しかしコテではなく中間部に非常にクラシカルなギターソロ。なかなかよい曲。 3.The Only One おっ、イントロからグッときます。 グレンのボーカルはギランぽいと言われることもありますが、彼の真骨頂はこういうポップス色の強い、フィルコリあたりが歌いそうなこんな曲にあるのでしょう。  こういう曲はぜーーったいギランには似合わないものね。途中で噴出してしまいますよ。 4.Why Don't You Say ポップなバラードが続く。これもイイ曲です。 5.Walkin' on the Water  どこかで男が呼ばれるのを待っている  どこかで赤ん坊が生まれるのを待っている  どこかで壁際に追い詰められた女がいる  どこかで時間が狂い続けている  僕には狂っていくのが見える ドラッグ、酩酊、精神崩壊、家庭崩壊、自己破産(オイオイ)、そんなネガティブなムードがただようサウンドです。LPレコードの回転を遅らせたような独自のアレンジが利いています。 6.The Liar  これは誰が聴いても「移民の歌」でしょう(笑)。  ハードです。メンバー全員、かなり力量あります。 7.Into the Void  もし4期パープルがあのまま続いたら、アルバムにこういう曲も入っていたんだろうなあ~~と思いましたね。なかなかの大作。 8.You Were Always There  グレンのファンク、ソウルの世界。彼はスティービーワンダーにも認められていたと聞きますが、なるほど、通じるものがあります。ギターソロの入り口のアレンジがお洒落です。 9.If You Don't Want Me to ああ、なんという精妙な調べ。  こういう曲をこういう風に歌える人はなかなかいません。  グレン嫌い!という方もいっぺん是非聴いていただきたい曲です。  強くオススメしたい。 10.Devil in You  ’GILLAN’あたりで演りそうな「とっ散らかった感じ」のサウンドです。  ギターソロはすごいね! 11.Homeland  サビにくると急に元気になる不思議な曲。これも映画のタイトルバックに使いたくなります。 12.From Now on 「心に沁みる曲」というのはこういうのを言うのでしょう。  これもゼヒ!ゼヒ!聴いていただきたいです。 この時点でのグレンのすべてが詰まってます。 13.Burn(ボーナストラック)  あ~やっぱりグレンはこの曲メインでやりたかったんだろうな~。  皆してオリジナルを誠実にコピーしつつも「一割増し」にしているあたり、プロの意気地か(笑)。  ギターもリッチーのアンコの部分を残しながらスティーブ・ヴァイっぽい、いわば最新のテクノロジーを取り入れております。デジタル・リッチーというか・・。    そうそう、このアルバムでグレンはベースを弾かず、スタイルの似ているジョン・レヴンに任せています。 14.You Keep on Moving(ボーナストラック) 「我が魂の兄弟、TOMMY BOLINに捧ぐ」とある。亡きトミーのことを思い出しながら聴いてると、本当に涙が出てきてしまいました。 ///////////////////////////  【中古】洋楽CD グレン・ヒューズ / フロム・ナウ・オン(廃盤)【10P21dec10】【画】 Glenn Hughes グレン・ヒューズ / Soul Mover 【CD】

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