朝ゆっくり起きて、
11時20分ボルツァーノ発の電車で
近くの街TRENTO(トレント)に向かいました。駅のBARでカップッチーノとコルネット(クロワッサン)の
朝食を取っていると、
困っていた職場の同僚から電話が…。
何で休みの日にまで電話してくるのよー(怒)。
トレントまでは約30分。
ローマからボルツァーノに来る際に通ってきた駅ですので、
ボルツァーノから南に少し下った駅というわけです。
電車はドイツのもの。ミュンヘン発の列車なのです。
コンパートメントに入ると、
ドイツの雑誌がサービスで置いてあって、
イタリアに居ながら不思議な気分、
まだ行ったことのない外国をとても身近に感じます。
このあたりに広がるりんご畑はイタリアではとても有名です。
MELINDAというりんごのメーカーがありますが、
そのシールが貼られているりんごたちは
ここの生まれなのです。
わたしがこのトレントの街の存在を知っている理由は2つあって、
1つは同居人みやちゃんの友達マウロがここの出身だということ、
それからわたしがいつも言えないで困っている早口言葉
“Trentatre trentini entrarono a Trento,
tutti e trentatre trotterellando.”
(33人のトレント人が小走りしながらトレントにやって来る)のおかげです。
駅から並木道、Via Torre Verde(「緑の塔」通り)を歩いて、
ブォン・コンシーリオ城という中世のお城まで行きました。
小さい頃に読んだヨーロッパの童話の挿絵に出てくるような
いかにもなお城です。
ここはちょうど中世、
神聖ローマ帝国との国境に当たるところだったので、
いつでも領主は目を光らせていたことでしょう。
第二次大戦時はオーストリアによって占領されてしまったため、
何人かのパルチザン(イタリア愛国者)たちが捕らえられて
ここの牢獄で死刑を待ったのでした。
わたしたちははじめ、入口近くにあるおみやげ屋さんに入り、
お店の人にトレントの見所を聞き
(もちろん絵葉書を一枚だけ買いました)、
売店では城の概要をVTRで見ることができたので、
そのドキュメンタリー番組を楽しく見たのです。
城の内部は国立博物館になっていて、
入場料5ユーロが必要でした。
そこでナタリーは入口が少し混んでいる時に、
出口の方に向かってすーっすーっすーっと歩き出し、
「マミ、何も言わずに着いておいで」と言うのです。
「???」
数秒後にわたしたちは城の庭園内にいました…。
さすがに監視員もいたのですべては見られませんでしたが、
牢屋もこうして見たのでした。
ナタリーはフランスに住んでいた時貧しかったので、
こうしていろいろな博物館でいろいろな作品を見たのだそうです。
よい子はマネしないでね。
街の中心に当たるドゥオーモ(大聖堂)広場へ行きました。
このドゥオーモは1545年、
カルヴィンやルターなどに始まる宗教改革、
それに対するイエズス会などの反宗教改革という時代のさなかに、
ローマ・カトリック教会が公会議を行ったという
由緒ある場所なのです。
大きい街でもないのになぜこんな場所だったのかというと、
やはり神聖ローマ帝国とイタリア(当時はいくつかの共和国や
さまざまな貴族の領地の集合体であって統一国家ではなかった)の
境目だからなのでしょう。
連休の初日だけあって
観光客はいるものの街はとても静か。
素敵な色合いのフレスコ画が
壁の模様を飾る家々が立ち並び、
美しい街です。
ローマとは違うなあ、とても平和そうなのです。
駅のファーストフードの店で
ピザを食べて休憩しました。
ここで働くバスの運転手さん2人と
席が隣同士になり話をすると、
一人の男の子はなんとイタリア南部のカラブリア出身。
生活が少し合わないと言っていました。
南の人にとっては確かにそうかもしれません。
彼らにも地元の情報を聞いて、
ロープウェイで展望台まで行ってみることにしました。
このロープウェイは観光のためだけではなく、
上に集落があるので普通に生活のためにも使われています。
山の上の街はサルダーニアといいました。
アディジェ川や山に囲まれた街全体を見渡せて
本当に美しい景色です。
道ですれ違う地元の人はみな、
「こんばんは」と挨拶をしてくれました。
小さな男の子たちが自転車に乗って
キャッキャ言いながら遊んでいる様子も、
遊ぶ敷地のない都会のローマでは見られない光景で、
わたしの幼い頃の日本のようです。
しばらく歩いていると、
犬を連れて銃を持ったおじさんが歩いてきて
他の人たちのように「こんばんは」と言ってきたので
「こんばんは、何か獲れるのですか?」と尋ねたら、
「鳥とかね、暇つぶしにね」と言っていました。
あんな銃、初めて見た!
専用の杖を持ったトレッキングの人たちと
すれ違ったりして(ここでも挨拶)、
観光案内地図を頼りに小さな教会まで行ってみると、
そこには墓地もあって、
イタリアの死者を弔う日(国民の祝日)を
前日に控えた昨日は、
一面が花だらけでした。
トレントに行って本当に良かったです。
こうでもしないと一生訪れることがないかもしれない小さな街、
静かで住みやすい街です。
休養にはおススメです。
ミュンヘンからの列車
ボルツァーノに戻って翌日の電車の切符を買いました。
特別料金があって、29ユーロ(最後の一枚だった!)と
39ユーロのと1枚ずつ買いました。
普通の料金ですと49ユーロのところをです。
窓口の駅員さんはナポリ人!
わたしたちを笑わせるのに一生懸命になっていました。
街中心部の喫茶店で
念願の本場のザッハトルテを食べて、
これを夕ご飯としたのでした。
こんな日もあるさ。