2011/04/26(火)08:26
政治にも共感パフォーマンスを
震災後の対応、なかんずく福島原発の一連の対応で、
政府の評判はすこぶる悪いですね。
「想定外」だとか「今も余震が続いて…」とか、
言い訳めいたことはこの際どうでもよろしい。
強制的に避難させられている地元住民が一番怒っていること。
それは、彼らの立場に立った方針が一向に出てこないこと。
いや、こういうのは総論賛成、各論反対のロジックですから、
彼らの立場に立った方針が貫けないのは致し方ない。
だからこそ、彼らに共感してもらえるような行動が必要だと思うんです。
ここで言う「共感」とは、
地元の人たちと同じ空気を吸い、同じ温度を感じる、ということ。
コーチング・スキルで言うところの
「承認」「ペーシング」に当たるものでしょうか。
いっそのこと、
永田町と霞が関を福島県に移しても良いくらいの覚悟で、
閣僚や官僚が福島県内で陣頭指揮を執る。
そんなことがどこまで可能かはわかりません。
でもそこまでの意気込みで事態に対処する、という姿を見せることで、
地元の人たちも溜飲が下げられる部分が出てくるんじゃないかと
思うんです。
思えば、昨年物議を醸した沖縄米軍基地の移転問題。
あれも、世界のパワーバランスの観点から考えれば、
米軍基地の県外や国外移設はやっぱり難しいと思います。
だからこそ、普天間基地のすぐそばに首相公邸を一時的に移してでも、
地元の人たちと同じ空気、同じ騒音、同じ恐怖を味わうことが必要だった。
そこまでして、
「やっぱり沖縄には米軍基地が必要」と主張すれば、
多少は違った雲行きになったかもしれません。
閑話休題。
こういう共感性を生むパフォーマンスは、
民間人は得意ですよね。
タレントの慰問や炊き出し活動はもとより、
企業人の活動も目を見張るものがあります。
経済誌にとりあげられていましたが、
ローソン本部の社長・新浪氏の活動も素晴らしいものがあります。
ガリバーのセブンイレブンの後塵を拝しつつ、
一時は経営が危ぶまれたローソンをみごとに建て直した手腕はつとに有名で、
マスコミにもしばしば登場する人ですが、
今回の震災では、津波で流された店舗を視察したり、
津波被害には遭わずとも、店内がメチャクチャに壊れ、
営業ができなくなった店舗を回るなど、
幾度となく被災地に通われたそうです。
ある日、新浪氏は工場からできたてのおにぎりを車に積み込み、
宮城県内のとあるローソンにフラッと訪れ、
「これだけしか持ち込めなくてごめんなさい」
と言いながら、自ら商品棚におにぎりを並べ出しました。
斜に構えた人からは「人気取りのパフォーマンス」
と揶揄されるかもしれません。
確かに、実際もそういうパフォーマンスを演じただけなのかもしれない。
でも、その店のオーナーが、
突然の本部社長の来訪にサプライズするとともに、
その社長が自らおにぎりを持ってきてくれたことに、
感涙でむせびかえったのは事実。
オーナーさんにしてみれば、
「雲の上の存在である社長が、ここまで私たちに施してくれる。
これは何が何でも店の活動を通じて復興を支援しなければ」
という思いを新たにしたことでしょう。
みごとに地元の共感性を引き出し、
一緒に復旧・復興をなそう、というエネルギーに転換させる。
民間人にできて、政府要人にできないわけはないと思うのですが…。
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