本日もちょっとまじめなバラの話。
調べれば調べるほど興味が湧いてきます。
まあ、難しい話なのでスルーOKです。
それでは早速。
本日の話はペルシカの話し。
いつも私のところにおいでの方は何回か話題に出しているので聞いたことがあるかもしれませんね。
そう、あの独特の赤いブロッチの花。
ペルシカってどんなバラ?
人によってはバラじゃないといってますがね。
日本の野バラに接木してちゃんと再生するし、そもそもバラと交配してハイブリットペルシカを作り出した人がいるんでね。やっぱりバラなんでしょう。
実は、私もその花を見たのは片手で数えるほど。
朝咲きそうになってほころび始めたなぁ、と思ったら昼には散ってしまう完全な一日花。
花の大きさは私が見たのは2~3cmのとてもかわいらしいもの。
写真?
確かに撮ったのですがね。
どこかにしまって見つからないのです。
そのペルシカ。
日本での栽培は困難を極めます。
ペルシカって言うぐらいだから、ペルシャの方からはるばるシルクロードにのってウイグルの方まで自生してるバラ。
だから、日本の特に多湿にはどうしても打ち勝つことが出来ないようです。
春は何とか新芽を吹きますが、梅雨時になるとどんどん衰弱していってね。
運がよければ何とか秋を迎えられる程度。
それに、冬の寒さもしっかり当ててやらないと翌年花芽を持たない感じです。
その花の特徴。
単葉、托葉がない、花に赤のブロッチが入る。
それが他のバラと大きく違う特徴。
![s-PICT0044.jpg](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/64/0000039964/97/imgaff3993ehue1kw.jpeg)
これが、そのロサペルシカ。この糸のような枝が自生地では何メートルも伸びているそうです。
![ロサハーディー](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/64/0000039964/98/imgeea6580ahue99o.jpeg)
花のイメージはこんな感じ。
これは、ペルシカの自然交配種とされているロサ×ハーディー。
この花を一回りほど小さくしたのがそのペルシカの花です。
この花の特徴でどうしても現代バラに取り入れたいものが赤のブロッチ。
ブロッチが入る種類はいくらでもありますが、赤のブロッチというのはこの原種を置いてほかにないのです。
ペルシカ同士では実を結ぶそうですがね。
交配となるとなかなか厳しいそうでね。
で、その困難を極める仕事を最初に成し遂げたのはイギリスのジャックハークネスが送り出したチグリスという品種。1985年のことでした。
![チグリス](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/64/0000039964/99/img58751ba0huei7g.jpeg)
黄色のかわいらしい八重咲きの花。もちろんペルシカの特徴の赤いブロッチは備わってます。
そして翌年出したのがユーフラテス。
![ユーフラテス](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/64/0000039964/00/imgb7060f61huepq7.jpeg)
これがその花。
色が茶色になっただけで、花の大きさや雰囲気はペルシカのままです。
そのあと1989年にやはりハークネスから
![クスルクセス.JPG](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/64/0000039964/49/img66765764nu73sw.jpeg)
クスルクセスと
![ナイジェルホーソン.jpg](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/64/0000039964/60/img232ea7d0zikdzj.jpeg)
ナイジェルホーソンがリリースされてからしばらくは後が続かなかったのです。
1989年といえば、私はまだ高校生。
漠然と花に関する仕事につくために農業科の学校に進路を決めようとしていたころ。
もちろんバラのバの字も知りませんでした。
それから何年も経ち私はバラの会社に入社。
で、あるとき、ペルシカというとても珍しいバラが会社に来るとききましてね。
で、どんなバラか調べたのがこのバラとのきっかけ。
所長の書いた本に載っていたその花は先に紹介したとおりとても奇妙でへんてこで、それでもその花はとても魅力的な花。
これは一度本物を見るしかない!と思いましてね。
何度も研究室に通ってようやく見ることが出来たのはその2年後でした。
もちろん、チグリスやユーフラテス、そしてロサハーディーなんかの存在は知ってましたし見たこともあったのですが、そんなに重要な種類とは思ってなくってね。
似ている花だなぁ、とは思ってましたがね。
ペルシカほど珍しいとは思っていなかったのです。
しかし、それからバラのいろいろな人と知り合うようになり、ペルシカのこととかもいよいよ気になりだしましてね。
調べるのですが、何しろ資料が少ないのです。
で、私はこのバラの虜になっていったのです。
ここにきてペルシカハイブリットはにわかに元気になってきてます。
数年中にはいろいろなところで発表になるのではないでしょうか。
それはさておき、1989年からの空白期間についてある英語の文献をネット翻訳で調べた結果です。
先に紹介したチグリス、ユーフラテス、ナイジェルホーソン、そしてクスルクセス。
そのうち後の育種に使えたのはチグリス。
しかし花粉親にはまったく使えないようです。
ムーアが近年発表してるHペルシカも、そして、ワーナーははっきりチグリスを親に使ってるといったんでね。しかし、種はなかなかならなかったそうです。
それでも他の品種はほぼ結実が0だそうで、かすかな望みのチグリスにペルシカのブロッチの後の世代に残す夢を一身に託したのだと思います。
その低い確率の結実した種を蒔いてもすべてが一季咲き。
種を蒔いて咲くまでに2年。
で、咲いた株はすべて赤のブロッチが入るわけではないのです。
2年かけて咲かせてそこから選抜して、またそれを交配親に使って四季咲きのバラをかけて、の繰り返しで、何年もかけてようやく返り咲きや四季咲きの試作が出てきたのは近年になってからのこと。
1985年にチグリスが発表されてから誰も休んでいたわけではないのですね。
我々の知らないところで血のにじむような思いで交配を続けていたのだと思います。
で、その結果の一部がこれ。
先日も紹介したワーナーのもの。
![アフガンガール.JPG](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/64/0000039964/99/img3adb5496zikbzj.jpeg)
まず、今年からニュージーランドで販売されているらしい品種。アフガンガール。
日本では可児公園で実物を見ることができるそうです。
残念ながら秋は返り咲き程度にしか咲かないそうです。
![ハイブリットペルシカ.JPG](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/64/0000039964/93/img35585b37zik4zj.jpeg)
これは本当にすごいです!完全四季咲きの中輪形です。
まだまだ沢山ありましたが、とりあえずこんな感じです。
実は、私も四季咲きのハイブリットペルシカを持ってましてね。(もちろん外国のもの)
それに、たまたま自然交配で実がなっていたのです。
そんなの発芽する訳ないと皆に馬鹿にされましたがね。
10粒ほど蒔いてみたのです。
で、発芽したのが6本。
で、今は1本枯れて5本です。
その実生に昨日と本日1輪づつ咲きましてね。
咲いたということは?
もちろん四季咲きということ。
昨日咲いたものは?
普通の薄ピンクの一重咲き。
本日にはもう散ってました。
ペルシカ同様一日花ですね。
で、本日咲いたものは?
薄ピンクに変わりはないのですがね。
よく見ると、うっすら1mmほどの赤いシミがついているように見えます。
今は暑いから赤のブロッチがはっきり出ないのです。
もう一度秋に咲かせなくてはいけませんね。
それと、後もう1本にも蕾がついてます。
これは10日から14日ぐらいで咲くと思います。
それもちょっと楽しみです。
まあ、世界ではかなり進んだハイブリットペルシカが発表されようとしてるところでね。
私がやってるのはただのお遊び。
それでも自分で作るってわくわくしますね!
最後になりましたが、今後の展望。
今現在ペルシカの交配を先に出たアメリカのムーアとイギリスのワーナー。
あと、それとその文献にはもう一人。
その人の名前。
ピーター イルシンク。
ネザーランドの人だと書いてありました。
ネザーランドってどこ?
よくわかりませんが、イルシンク氏の所属はどこだかわかってます。
しかし、ここではかけません。
いずれその人のハイブリットペルシカも世の中に出てくるかもしれませんね!
まあ、この花はマニアックな変わり者のバラ。
世の中に受け入れられるかどうかは?
わかりません。
まあ、商売のことは抜きにして、マニアだけのひそかなブームのバラにとどめておきたい気持ちも実はあるんです。
しかし、ここにいろいろ書いてしまったんでね。
心の奥底では皆に知ってもらいたいという裏腹な気持ちもあるのですよ!
ここまで読んでくれた方は、読みにくい長文にもかかわらずお付き合いいただきありがとうございました。
今年のテーマ
「面倒くさがらない!」
本日の晩飯。
まぜご飯 カサゴの煮物 豆腐
でした。
それではまた。