|
テーマ:司法書士試験(463)
カテゴリ:研修前日記
のりふみさんのネタに関連して『登記研究』の商業登記法解説を紹介します。
『登記研究』8月、9月号において、法務省民亊局付の松井信憲氏の「会社法の制定に伴う商業登記事務に関する改正の概要」という論稿が、掲載されています。これは通達が出される前の情報としては大変参考になります。 ◆発起人による株式の引受けを証する書面の添付の要否について◆ 以下、登記研究691号P81を紹介します。 「(注)発起人による株式の引受けを証する書面 本号(商登法47条2項2号をさす)の規定上、発起設立の場合に、発起人による株式の引受けを証する書面が添付書面から削られたかにみえる。しかし、発起人は、設立時発行株式の全部又は一部を引き受ける必要があり(会社法25条)、その引き受ける株式の数は発起人全員の同意により決せられる(会社法32条1項1号)ため、上記の書面は、本条(商登法47条)第3項の規定により、現行制度と同じく添付書面となるものである。」 と立法の趣旨を説明しています。 ▼商登法47条2項2号 設立時募集株式の引受けの申し込み又は設立時募集株式の総数引受け契約を証する書面 ▼旧商登法80条2号 株式の申し込み及び引受けを証する書面 ▼商登法47条3項 登記すべき事項につき発起人全員の同意(発起人の一致)を要するときは、発起人全員の同意(発起人の一致)があったことを証する書面 ■私見■ 実体法(会社法)に基づいて考えれば、当然「発起人による株式の引受けを証する書面」は要求されます。しかも発起人の設立時株式の引受けは設立の要件の一つでもあるわけですから軽視はできません。登記法上も発行済み株式の総数並びにその種類及びその種類ごとの数を確定するためには必要とせざるを得ないでしょう。 そして、当該書面の添付根拠条文を商登法47条3項に求める形にならざるを得ないと考えます。 従って、私は、択一試験で「発起人による株式の引受けを証する書面を添付しなければならない」と聞かれたら、○必要、と答えます。なぜならば、発起人の設立時株式の引受けは、株式会社設立の実体法上の要件の一つであり、来年の試験は実体法である会社法がまずわかっているのかということが主眼となる、と考えるからです。 次に記述式試験についてですが、添付書面の表示方法が多少悩ましいところですが私ならば次のように考えます。 1.問題文の注意書きに従い聴取記録に基づいて書く。 2.問題文に指示がない場合には、「発起人の株式の引受けを証する書面」と「発起人全員の同意(発起人の一致)を証する書面」の二つを書く。この二つを並べて書いたからといって、試験委員は減点のしようがないからです。この私の考えを明確に否定する通達が出ない限り、このようにしますが、いかがでしょうか?。 ◆最後に誤解を避けるために「登記研究」691号P156の松井氏の結びの言葉を紹介します。 「本稿では、会社法及び整備法に基づき商業登記法の改正等の説明をしたが、会社法の分量が膨大なこともあり、誤解に基づく記述がないとも言い切れない。今後、商業登記規則の改正案、会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いに関する通達案の策定等の作業を行うこととなるが、その中で、会社法についての理解をより深めることとしたい。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005年12月18日 15時27分31秒
コメント(0) | コメントを書く
[研修前日記] カテゴリの最新記事
|