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カテゴリ:ホリビ小説
~ここまでのあらすじ(大嘘)~
楽園の守護者に所属する戦士、ルゥヴィック。 数々の蛮勇とそれを超える誤爆、大ボケをもつ色んな意味でオールラウンダーな牛。 そんな彼はトマトが嫌い。好きなものは鬼眼娘とツキロロ。 刻限は黄昏時。 聖獣城の露店街を歩いていた戦士ルゥヴィック(以下ルゥ)。 自らを磨くための武器や防具を求め町を流離っていた彼の前にある光景が広がった。 「嫌!やめてぇっ!!」 甲高い女性の声を聞きふとそちらに目をやると、奴隷商人と思しき男が女性に乱暴をしていた。 女性を見ると着物姿。おかっぱ頭の容姿秀麗な少女だ。そして何故か浮いている。 宙に浮いた足には値札だろうか。ゼロの沢山並んだプレートが鎖で結ばれていた。 「身売りされた女、か・・・」 ルゥはその様子を見て不快に思う。 奴隷売買という行為が解せない。 それ以前に少女に乱暴していることが許せない。 そして貴様らのような汚い手で少女に触れていることが許せない。 今にも商人を叩き斬りたいという衝動が全身を震わせ、剣を抜きかける。 とそこに、その手を制するものが現れた。 「ヒデン・・・」 ルゥは戦友の顔に目をやり、剣を収める。 しかし、彼女をなんとしても助けたい。そう思う気持ちが早鐘のようにルゥの心臓を鳴らす。 「救ってやれよ。」 「え?」 思いがけない言葉に、ルゥは視線を少女からヒデンへ戻す。 「お前がそうしたいと思ったならそうすればいい。俺は応援するぜ。 だがな、力でねじ伏せる事が全て正しいとは俺は思わない。だからこれを渡す」 ヒデンはルゥに金貨袋を手渡す。 「ヒデン、これはお前の軍資金じゃ・・・!」 「いいんだルゥ。お前がこの金貨で何をもたらすのかを見届けたい。 もし今のお前に自分の正義を貫くだけの力が無いなら・・・俺が力を貸す」 ヒデンの一言はルゥを覆っていた霧を振り払った。 ルゥはどんな物事も力で解決してきた。 そんな男が、たった一人の少女を助け出すために今、力とは全く違う何かを奮い立たせようとしている。 そして、渡された金貨袋を握りしめルゥは誓った。 「ヒデンの心に俺は報いる。だから、彼女をあの呪われた運命から救い出してみせる。 力でしか物を解決する術を知らなかった俺は、あの子をこうして救うことできっと変われるはずだ。 だから・・・俺は行く」 ルゥは奴隷商人の前に進み出た。 「・・・俺の扱ってるものはあんたには関係ないように思うんだがなぁ。 何か用かい、戦士の旦那よ」 ルゥは値踏みするように見る商人の顔を睨みつける。 切り捨てたくなるほど醜悪な顔に嫌悪感を覚えながら、次に少女を見つめる。 彼女は黒いつぶらな瞳でこちらをずっと見ていた。 助けを神に祈るように。 救いをルゥに求めるように。 「・・・この子を救いたいのだが」 奴隷商人はルゥの一言に驚く。 「救うって・・・旦那ぁ、根無し草の旅人じゃないのかい?いくらなんでもあんたにゃ・・・」 ルゥは商人の目の前で剣を引き抜き、地面に突き刺す。全身から戦士の気迫を放つ。 その凄みに商人は蛇に睨まれた蛙のように縮こまった。 「そんなことをお前に心配されたくないな。金貨はこれで足りるだろう? さぁ、早く枷を外せ。お前の顔など俺もあの子もこれ以上見たくないんだからな」 「ひ、ぃぃぃっ!」 商人は後ずさりしながら、それでも金貨袋をひっつかみ、少女を枷から開放する。 「ほ、ほら!運がよかったな、一生奴隷として生きていくよりよっぽど幸せだ! さっさとあの男についていって消えちまえ!」 商人は去り際に少女にそう言い放って、逃げるように去って行った。 ルゥは少女に初めて語りかける。 「君はもう自由だ。これからどう生きていくも自由。親元に帰りたいならそこまで送っていこう」 ルゥがそう言うと、少女は、か細い声でこう言った。 「・・・貴方の為に、共に戦いたい。」 なんだこれ。まさにチラシの裏 ヒデンさん名前使用お許しをw お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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