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カテゴリ:BOOK REVIEW
密林の語り部/マリオ・バルガス・リョサ
「またリョサが読みたい!」と図書館で借りてきた。でました!フリアとシナリオ・ライター同様、二つのストーリーが交互に展開するスタイル。他にも前回と重なる点が多々。「そうそう、こんなんあった!」と、久々のリョサ節に喜ぶ。 (1)カリスマ的キャラクターに何らかの身体的欠陥がある 生まれつき顔の半分が痣で覆われてるマスカリータ(仮面ちゃん?)が本作品では重要人物。 (2)異国の地ヨーロッパで思う祖国ペルーへの望郷の念 (3)撮影班の男たちのコミカルなまでの職人魂 プロフィールから察するに(2)(3)は自分の経験から来ている模様。しかし、(1)の身体的欠陥というのがわからない。この作者、若かりし日の写真はセックス・アンド・ザ・シティのキャリーの恋人ビッグそっくり、コンプレックスなんて無縁のモテ男風やのに。 タイトルの密林はペルーアマゾン奥地。そこで暮らすインディオの文化に傾倒してるマスカリータ。盲目的にインディオに固執し世間から孤立する彼。はまり過ぎて壁を作る。好きになりすぎて結局同化してしまう人っていますね。ジャマイカ好きが高じて本物よりジャマイカン、みたいなん。 外部からの接触をほとんどシャットアウトし、独自の文化を守り続けているインディオの人たち。ヤマノミ族、マチゲンガ族、アラワク族等等。(アラワク族はジャマイカにもいました!)彼らがネイティブアメリカン同様アジア大陸から流れてきた子孫で、うちらとルーツを共にしてると思うと他人とは思えない。人類みな兄弟というが、人目でわかる黒い髪、黒い瞳。それも遠く離れた南米大陸、しかもジャングルの中でとなると・・。それは、国が違えど黒人同士が持つ一体感みたいなもんかもしれない。だからたまにウルルン滞在記とかでやるとつい見てしまう。 しかし、そういうのを見る視線はのぞき小屋と同じで、結局「日本に生まれてきてよかった」という結論に達する。近代化された生活が上で、昔からのスタイルを維持している彼らの生活は劣ってる。そして自分にはそんな生活は無理だと。この本で登場する密林の部族の世界観。口承文化が発達している人々の物語は、文字で追うと断片的でとりとめがなく、わけがわからない。タスリンチ、セリピガリと意味不明な名前に、やたら排泄物が頻出し、エロスとバイオレンス・・これが、インディオの人たちの娯楽か。変!としか言いようがない。でもそれは近代化された文化に侵されてる私の頭のせいか?ただ価値観の違いというだけで、どちらが上だとか、進歩してるとかではないんちゃうか?少なくとも、パソコンが使えるより「頭痛に効く薬草」を知ってるほうがいいと思った。 この本にジーコの名前がでてきてビックリ。南米では大スターやったんですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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