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カテゴリ:BOOK REVIEW
航路 /コニー ウィリス 読書は疑似体験。本を開けば日常から解き放たれ、そこは別世界。ここでは仕事を持つ人々が、パソコンやコピー等の電子機器に囲まれ、分刻みのスケジュールに忙殺され毎日を営んでた。おしっことうんこにまみれた日々には新鮮な体験。この小説、やたらと電話や留守電、ポケベル、メモが登場し、まるで議事録のごとく詳細なそれが、延々と続く(これだけで終わったら怒るでしかし)。それがのちのち、このストーリー全体の暗喩であることが判明し、一本とられました。 主人公は心理学者の女ドクター。人々の臨死体験を元に、難病の患者を救う道を研究してる。どことなく、'80~'90年代のアメリカ映画を彷佛とさせる会話や空気感が好き。”アニー”に出てくるようなおしゃまな女の子まで重要人物で登場してるし。実際、登場人物がビデオ上映会を定例にしてたり、会話の中で映画の批評がでてくるあたり、作者の趣味?ひと昔前の映画に対するオマージュなのか。 そのドクターがプロジェクトのため人工的に臨死体験をするストーリー。はやりの病院ドラマと違うのはSFで冒険もの。でもSFと一言で片付けられないほど、説明しようがない本。「あー、あれなんやったっけ?」脳の働きとそのシステムがテーマなだけあり、記憶の闇の中を主人公が迷走する場面が執拗にでてくる。なんかしようと思ってたのにド忘れ!カゴに関すること、て事だけわかるのに。で、しばらくして、カゴの中の通販のカタログを読むつもりだった事を思い出す(事実をもとに再現しております)。こういう若年性健忘症、私は常です。 カンフー映画ややくざ映画を見た後、別の人格があらわれるように、多忙なドクターが乗り移ってる今の自分。お出かけ前、留守電は必ずセット(ほとんど鳴らんのに)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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