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カテゴリ:BOOK REVIEW
しばらく本読めない。この余韻に浸ってたい。「漂流/吉村昭」育児放棄再発?読み出したら止まらなくなり、ある時はパペットはめ腹話術、またある時はブルドーザー(おもちゃ)を運転しながら、片手には文庫本が握られてた。翻弄される主人公の運命に目が離せない。
壮絶、の一言。江戸末期、船が難破、無人島にたどり着き死を免れるも、そこは動植物がほとんど生息しない不毛な地。食料源は鳥のみ。しかしこれが渡り鳥というからたまらない。鳥にトリ残された(ギャグ?)後、待っているのは「死」?彼らはどうやってその危機を乗り越えたか?あまりの極限状態に、繰り返される疑問。「死んだほうが楽だったのでは」相次ぐ仲間の死。孤独との戦い。帰郷への執念。主人公長平の、心理がリアルに迫ってきて切ない。 人間は肉だけでは生きてはいけない。怠惰は人の体をむしばみ、死にいたらしめる。肉だけでなく海産物も採集し、栄養のバランスと体力維持につとめるのが生き残る秘訣。「人は働くようにできている」思い言葉です・・。結局「仕事」に生かされてる。干し肉を作ったり、舟を作ったり、作業に没頭することで精神の安定を得る。後は、「なるようにしかならない」達観。悟りの境地。 当時の宗教観か、船乗り独特の価値観か、神仏への信仰が強い。それは無人島での長い生活でも消えることなく、朝日に向かい拍手を打ち、元旦には身を清める。祈りが神へ通じたか、晴れて島脱出。頭は月代を反りちょんまげを結ってる。大和魂は不滅です。 長平がかつての自分と重なった。In the middle of nowhere、トカゲがたてる物音だけの静まり返った世界に、発狂しそうな時期があった。毎晩見る夢だけは日本で、目覚めるのが惜しかった。それも麻薬の禁断症状のように大きな波が訪れ、引いた後は平穏。今朝起きた時は、「よかった、ここジャマイカや」今度はジャマイカaddiction。長平も、ジャマイカに漂流したらまた違ったストーリー? 野村長平 Read more! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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