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9月17日(土)のエントリ「ヨーカ堂、中国店舗の有力テナント“輸入”(H17.9.17繊研新聞)【ニュース解説】」に対して、チャイライさんという中国在住の読者の方からご意見を頂いた。非常に重要な指摘が多く含まれていると思ったので、十分な答えになるかどうかわからないが、現時点での私の考えを記してみたい。
まず、ご指摘の、繊研新聞さん等が開業時に大きく取り上げた日本ブランドを集積した商業施設「WA!!」が、苦戦している、という点について。中国簡体字でGoogleを検索すると、PC Lady.comという中国の女性向けサイトが、今年3月に、同所のバーゲン情報を掲載している。私は自分のパソコンに高電社の「J北京」という日中・中日翻訳ソフトをインストールしているのだが、翻訳ソフトの変な日本語でもはっきりと読み取れたのが、「お客様より販売員の数が多い」というくだりだ。チャイライさんのおっしゃられる通りの事実が存在するのだろう。 とりあえずこの問題はここで一旦保留にしておこう。 次にチャイライさんのご意見に含まれている論旨は、おおよそ3点に亘るのではないかと私は考えたのだが。 1.業界紙の報道には、チョーチン記事が多いのではないか。 2.繊維ファッション関連の業界紙の中国報道には、問題が多いのではないか。 3.本ブログのエントリは、信頼に足る内容なのか。 まず1番目について。私も昔は繊研さんのライバル紙で記者をしていたから、「新聞とはいかにあるべきか」「業界紙の報道とはどうあるべきか」なんてことを365日考え続けてきた経験を有するのだけれど、私個人は業界紙は一般紙とは全く違う種類のもので、「新聞であって新聞ではない」という考えを持って記事を書いてきた。 というのは、一般紙の記者なら必ず行う「記事のウラを取る」という作業は、業界紙では一切行わないので。それから、取材対象と読者と広告主が三位一体であるということ。 どう考えても、批判的な記事なんて、載せられっこないのが業界紙というものなのだ。実際、「悪い企業には始めから行かない。悪い話は知っていても書かない」というのが、前の会社に居た時は不文律になっていた。 ただ、繊維ファッション関連の業界紙さん達は、業界の歴史が古いのと同じで、歴史が古く、読者もいわゆる経営者層だけでなく、専門職、社員さんにまで広がりを見せており、繊研さんの「h(アッシュ)」のようなフリーペーパーとか、WWDジャパンさんの駅や書店売り分などもあるなど、一般の方々にまで影響力を持っている。極めて公益性の高い媒体なのではなかろうか。 どうしても記事の大半は、取材先の方のコメント主体になりがちなのだが、なるべくなら複数の企業を回って記事をまとめるとか、一度書いた記事の検証報道を行うとか、そういう姿勢は必要なことだと思います。このブログを繊研さんの記者の方がご覧になっておられるかどうか、繊研さんがどのようにお考えになっておられるかはわかりませんが、私は全くご指摘の通りだと思いますね。 2番目の問題は、一般紙の国際報道でもそれに近い状況にあると思う。繊研新聞さんの場合は、まだ上海に支局を置き、日本から特派員も派遣しているので出張と提携紙の翻訳記事のみで対応している新聞よりは相当に良い方だと思うが・・・。 日系企業中心の報道に偏っている、日本からの進出事例をややもすると大げさに報道する傾向にある(ご指摘の「WA!!」の件も、その類であろう)、中国のニュースソースが、政府筋と地方政府筋、及び、大企業(それも、日本の商社とコネクションがあって取材しやすい企業)に偏っている、といったことだろうと思う。 根本的には、記者の数が足りないと思うんですよ。それから、語学力の問題。繊維関係の企業さんと全く同じで、人1人を派遣するコストというのは極めて高いので、どうしても少数精鋭にならざるを得ない。 ただ、ものは考えようで、だからこそ、新聞に載らないような情報を掴んでいる現地駐在の皆様の価値は高いんですよ。言ってみれば、業界紙に載ってしまったような情報を見て動いたのでは遅い、というのがビジネスの世界なのでは? 期待して頂けるうちが花(笑)、なのかもしれないが、日本の新聞よりは、中国の新聞やTV、ネットからの情報収集、そして何より現地の方と仲良くすること、そこから得られる情報の方がずっとずっと価値があるのではないかと私は思います。 ただ、新聞社さんに言いたいのは、現場での取材、というのは何よりも一番重要なのだが、今、これだけネットというものが発達してきているので、 ネットの活用で相当カバーはできるはず、ということである。 RSSリーダーを使って中国のサイトから主要企業の情報を取得したり、検索エンジンを簡体字で検索し翻訳ソフトでざっと意味を把握したり、メールで中国の経営者にインタビューを申し込んで、取材はWebカメラもしくはスカイプ、あるいはチャットでやってしまうとか。 ただ、人様のことは決して申し上げられるレベルではないのだが、いずれにしても相当に高い語学力、そして、異文化理解、コミュニケーション能力が必須になることは間違いない。残念ながら、熱意のある記者さんであってもこれをクリアできている方がわが業界に果たして何人存在するか?さくらもまだまだ努力不足ですが、皆様、もっともっと頑張りましょう!お互いに。 3.このブログについてだが、「元ジャーナリスト」と書いてあるので誤解されてしまうかもしれないのだけれど、客観報道のスタンスには立って書いていないです。 「ニュース解説」「エッセー」「日記」の3カテゴリに分類しているつもりなのだが、エッセーはファッションについて感じたあれこれの主観的な記述だし、日記ははっきり言えばうちの会社がやっていることやうちのベンチャーさん、さくらが応援している企業さんのPRめいたものだったりする。 問題の、ニュース解説だが、これは、新聞社の内部の編集委員、論説委員等が書かれるニュース解説とは違って、直接取材した方とのコミュニケーションは全くなく、また、自分自身も取材は行っていない、ただ、記事を読み、その情報を補完する情報を他紙やネット、もしくは店頭リサーチで収集し自分なりに感じた主観的な意見を記したものである。 今回の件に関しては、「中国の事情に不案内なのにブログの内容が断定的すぎるのではないか。そもそも、書くべきではないのではないか」というご批判も含まれていると思う。 ご指摘は、真摯に受け止めています。 ただ、私自身は、中国に非常に強いジャーナリスティックな関心を持っている。ここ3年は、毎年自腹で年1回は展示会見学や工場見学、店頭リサーチのため中国に行っているし、うちの会社では上司と共に中国語会話の講座も立ち上げている。 また、うちの会社のファッション業界向けの講座を受講して下さっているお客様の中に、何人か日本在住の中国人の方もいらっしゃるし、中国人の講師の先生方、あるいは日本在住の中国人の経営者の方、逆に日本から中国に渡った方とつながりを持ち、情報収集に努めている。 少し中国から距離は置いているが、特にこの人はイノベーターではないか、と思われる方の発言から、時代が読めるな、と直感的に感じることがよくあって、それを書くのは早すぎるのかもしれないし、ひょっとしたらはずれてしまうこともあるのかもしれないが・・・。 ただ、正直、現状維持的な動きには、あまり興味がないです。これは、元ジャーナリストの宿命かもしれません。早すぎるくらいの方、果敢にチャレンジしている方、そういう方を積極的に応援していきたい。 こいつ、偏ってるな、と思われる方は、このブログは真剣に読まれないほうがよいと思います(笑)。 「WA!!」の件に話を戻すが、実は直接ビルさんにメールを送り取材しようかと思ったりもした。ただ、現状ではまだ、既に新聞社を退社し、一個人でブログを書いている、という立場では、取材を受けてもらうのは難しいのではないかと(特に中国ではまだ報道の自由は認められていない状況なので)と思ったので、実行には移さなかったのだが。 ただ、今、アメリカ、そして日本においても先の衆議院選挙を契機に、ブロガーがジャーナリストとして認められるような動きがおきつつある。今回のチャイライさんのコメントを読んで痛感したのだが、やはり、直接取材しなければ切り込めない問題もあるので、繊維ファッション業界においても、私をジャーナリスト待遇にして頂ける機会があれば、それは積極的に受けていきたいと思います。 ただの記者、ではなく、自分自身も行動する、ビジネスのサポートだけでなくチャンスがあればビジネスそのものを仕掛ける、Think and Do というスタンスで。 私を記者待遇でお呼び頂ける際は、「ニュース解説」ではなく、「ニュース」をこのブログにも掲載させて頂きます。会社員なので、報酬はもちろん受け取りませんし、公平・中立な立場に立って書こうと思うので、皆様、よかったら、お声をかけてやって下さい。宜しくお願い致します。 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年09月21日 01時09分13秒
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