2009/02/11(水)14:50
「生涯発達のダイナミックス・知の多様性 生きかたの可塑性」鈴木忠著・東京大学出版会08年6月刊・3の1
生涯発達のダイナミクス
私:今日は「建国記念の日」。
俺たちの戦争中の小学生時代は「紀元節」といって盛大な祝祭日だったね。
八咫烏(やたがらす、やたのからす)を肩にのせた神武天皇の立っている絵を思い出すね。 同時に俺の誕生日。A氏:おめでとう。私:一休禅師の言葉で「元日や、冥土の旅の一里塚、めでたくもあり、めでたくもなし」というのがあるが、この年になると、同様に「誕生日、冥土の旅の一里塚、めでたくもあり、めでたくもなし」だね。
しかも、俺たちの歳になると、終点の冥土が次第に近づいてくる。 ところで、標題の本は、俺たちの年代の誕生日には、一番、読むにふさわしい本の1つかもしれない。
「生涯発達心理学」という専門書の分類になるのだろうから、シロートの俺にはスラスラ読める本ではない。
しかし、内容は、人の一生の知能の発達などを扱っていて興味が持てたね。
どこかの書評で興味をもって、図書館から借りた。A氏:サクセスフルエイジング(successful aging)という言葉を聞いたことがあるね。
「上手な加齢」「上手な年のとり方」という意味だね。私:以前の医学や脳生理学では、年をとると脳というハードウエアの機能が衰えるので、成人期の知的能力がいったん低下すると回復しないと考えられていた。
それが、1980年代から、「身体や脳の生理学的機能は、歳をとることによって低下することは避けられない」という考えが見直されるようになる。
そこで、生活習慣病のように、うまく環境をコントロールすると、知的に「上手な加齢」「上手な年のとり方」ができるのではないかという考えが生まれてきたんだね。A氏:歳をとってからも、脳のニューロン新生があるそうだね。私:知能の生涯発達心理研究の基本的なテーマは「歳をとるにつれて頭の働きはどう変化するか」というものだそうだね。A氏:やはり、歳をとると記憶力が衰えるというね。私:それが研究が進むと、必ずしもそうではないのだね。
面白いのは「フリン効果」だね。
「後から生まれた世代ほどIQ(知能指数)が高い」ということで、フリンが30年位前に発表したので「フリン効果」といのだそうだ。
欧米や日本などの先進国の調査で、同じ傾向を示しているという。A氏:何故だろう?私:いろいろな専門家の説明があるが、皆を満足させる説明は今のところないという。 それから、高齢になっても、知能は復活する可能性はあり、訓練や経験によって大きく伸びるという。
脳は経験と無関係に一方的に自然に衰えていくわけではない。A氏:肉体と同じだね。
合気道の名人の佐川氏は、90歳でも腕立て伏せを毎日400回やっていたというね。
若いときから、毎日連続して鍛えていると、かなり衰えを防止できるのだね。
しかし、毎日続けることが難しいね。
自己責任かね。私:一般的に老齢者は若い人より知能は落ちるが専門分野では負けないという。
それは熟達によって新しい認知技能が発生するという創造的な面があるからだという。A氏:名人と言われる人は高いIQ(知能指数)を持っているのだろうかね。私:チェスの熟達者に知能検査をしたが、熟達のレベルとIQの関連はあまりなかったという。
日本でも囲碁で調べたが、同様であったという。
IQの扱う一般的な知能ではない認知能力が別にあると考えられる。 明日は、サクセスフルエイジング・「上手な加齢」「上手な年のとり方」にもっとふれよう。