知的漫遊紀行

私：裁判官が「その本はどこで買ったのか？」「文庫本か？」と質問したらしいが、鋭い質問だね。
　被告は「記憶がない」という返事だという。
　
Ａ氏：弁護士はそこまで裁判官が聞くとは思わなかったのかね。

私：しかし、この「魔界転生」は、ハードカバーはもう出ていないから、文庫本しかないのではないの？
　文庫本で上下２巻だね。
　もっとも、これはＤＶＤもあるし、劇画もあるね。

Ａ氏：それに死んだ女性を生き返らせるためだと言うが、「魔界転生」は死んだ男性が女性とセックスしてその胎内で生き返ると言う話だね。
　死んでから犯したという論理を補強するには、つじつまが合わないね。
　女性が転生するのではないからね。
　女性は胎内で転生した男を産んで死ぬのだからね。
　裁判官は「『魔界転生』は女性が死んで、男性が生き返る話ではないの？」と聞くべきだったね。

私：生き返ったのは、江戸の剣豪などだね。
　これらの化け物に主人公である柳生十兵衛が対抗する。
　こういう江戸時代に興味ないと読まない本だね。
　俺は文庫本上下２巻を読んだが、山田風太郎の特徴で史実にもとに、江戸の歴史上有名な人物が続々登場するので多少しんどかったよ。
　ドラえもんとまったく違うジャンルだがね。

Ａ氏：裁判官は「『魔界転生』の主人公は誰かね？」と聞くべきだったね。
　こんな奇想天外の小説は裁判官は読んでいなかったかもね。

私：「転生した剣豪の名前を思い出すだけ、あげてみなさい」とかね。
　それにすらすら答えられたら、証言の信憑性は増すかもしれなかったね。