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カテゴリ:これぞ醍醐味!歌舞伎の大向う
ルテアトル銀座、二月花形歌舞伎夜の部(10日)
長い入れ替え時間を銀ブラと軽い腹ごしらえで過ごしまして、夜の部です。 夜の部の開演時間が歌舞伎時間の午後4時半と少し遅い午後6時半の二種類ありまして、勤め帰りに寄ることが出来るような日も用意してあるってことです。 そうだよな、4時半では平日の勤め帰りは無理だもんなぁ~。 これからの時代の時間設定を新しい歌舞伎座が出来るまでの間に試行して反応を見ることも必要ですよね。 でもって、夜は近松門左衛門作品で、女殺油地獄です。江戸時代には評判がよろしくなくて再演されず明治になってから度々再演されるようになったとか。 歌舞伎座さよなら公演で仁左衛門さんが一世一代として最後の(になるだろう)与兵衛を演じたのは記憶に新しいところであります。 今月は、平成13年に演じて以来10年振りに染五郎さんが演じます。 相手役の豊嶋屋女房お吉は亀治郎さんが二度目です。 若手二人の舞台に、上方から秀太郎さんが出演したり、父親役では彦三郎さんと脇を固めます。 東京人が聞いている分には大阪弁も気にはならないのですが、関西方面の方が聞いていると、いまいち違和感があるようでしたよ。 かなり前のことですが、大阪出張であちらの方とお話する時に関西弁を真似して話してみたら、「なまってはるから、無理せぇへんでよろしいでぇ」と駄目だしが出たこともありました。(爆笑) さて、今回の舞台は、序幕の部分でいつも見慣れた茶店の場の前に野崎参り屋形船の場があり、きママさんが「いつもは、この後から始まることが多い」と耳打ちしてくれました。イヤホンガイド聞きながら教えて貰って有難いこってす。 三幕目の豊嶋屋油店の場が一番の見せ場。 真っ暗になった店の中で、こぼれた油に足元をすくわれて転びながらの殺しの場面は、息が詰まります。凄惨なはずなのですが、目を背けることなく観られるように様式美っぽくなってる のが救いです。 竹本の三味線が何となく弱かったような気がします。役者によって代えることはあるようですから、今回あえてこうしたのでしょうか。 仁左衛門さんで観た時には、宏太郎さんの三味線が息もつかせぬように客席にまで鬼気迫るのを体感してますからなおさらです。歌舞伎座の音響が良かったのかも・・・・。 そして、最後には北の新地の場で人殺しをしたのに平気で遊び呆ける与兵衛が描かれまして人間性を浮き彫りにし、さらに豊嶋屋逮夜の場でお吉の三十五日の場にふらりと顔を出し、捕り手に捕まるところを初めて観ることが出来ました。 やはり、歌舞伎って、同じ演目でもいろいろな俳優で観ていると分かってくると言うものであります。 以下に、歌舞伎美人からお借りして記録をしておきます。 【夜の部】(午後4時半開演/午後6時半開演) 一、『女殺油地獄』(おんなごろしあぶらのじごく) 河内屋与兵衛 市川 染五郎 女房お吉 市川 亀治郎 芸者小菊 市川高麗蔵 小栗八弥 坂東亀三郎 兄 太兵衛 中村亀鶴 妹 おかち 澤村宗之助 叔父 森右衛門 松本錦吾 豊嶋屋七左衛門 市川門之助 父 徳兵衛 坂東彦三郎 母 おさわ 片岡秀太郎 『女殺油地獄』とは――― 近松門左衛門が享保六年(1721)に書いた世話物で、同年五月に金に困った油屋の息子が同業の女房、お吉を殺して処刑された事件を題材にした浄瑠璃です。その後、明治になって歌舞伎として上演されました。 主人公の与兵衛は感情の赴くまま行動する青年で表面は強がっていても根は気弱な性格。すぐカッとなる与兵衛の人間像は彼の家庭環境、複雑な事情から形成されており、近松の人間観察の厳しさが表れています。 町でうわさの放蕩息子の河内屋与兵衛(染五郎)は、借金を作り、自らの喧嘩の不始末により伯父森右衛門が職を辞することとなりますが、あいかわらずの放蕩三昧を続けています。実は父・徳兵衛は主人亡きあとに婿に入った義理の父親で甘やかして育てたのが災いしたのです。ついに、与兵衛は家を追われ、同業の油屋豊嶋屋のお吉(亀治郎)の元で、父、母の自分へのやさしい思いを痛感し、父に迷惑をかけたくないと思います。しかし、お吉に更なる借金の無心を断られると、ついにはお吉を殺してしまいます。ここに自分本位で刹那的な感情のまま行動する与兵衛の人間性が表れています。 油屋での殺しの場は凄惨でまさに油地獄のタイトルに相応しく、人間の暗部、感情の深いところがまさしくむき出しになる場面です。 また、今回は「豊嶋屋逮夜の場」を上演します。お吉を手にかけたあとの与兵衛が描かれる注目の舞台です。 昼の部は、こちらの、猿之助四十八撰の内『於染久松色読販~お染の七役~』です。 歌舞伎美人公式サイトこちら。 市川亀治郎公式サイトこちらです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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