2019/07/28(日)20:00
続わけあって絶滅しました。
前作わけあって絶滅しましたが話題になっていますね。
この地球ができてから、数えきれないほどの種が生まれては滅んでいきました。
その理由をユーモアと悲哀を交えて描き、我々人間が学ぶべきことを示している本だと思います。
本書はその続編です。
続 わけあって絶滅しました。 世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑 [ 今泉 忠明 ]
【pick up】
頭が引っかかって絶滅
ディプロカウルスは川底をはい回って暮らす両生類です。
なぜか頭がブーメランのような形をしています。
障害物の多い川底では邪魔になり、絶滅したと考えられます。
おしっこのしすぎで絶滅
大型の爬虫類であるファソラスクスは、原始的な恐竜を狩っていたハンターでした。
しかし地球が乾燥してくると、おしっこなどで排出する水分の多かった彼らは絶滅してしまったようです。
おしっこといえど侮れませんね。
大きなうんこがなくなって絶滅
ムカシナンバンダイコクコガネは我が国がまだ日本と呼ばれる前に生きていました。
当時はゾウやサイがいて、彼らの糞を食べることで大型化しました。
しかし大型草食獣が姿を消すと、ムカシナンバンダイコクコガネも絶滅しました。
歯が鉄火巻きみたいで絶滅
デスモスチルスはカバのような姿をした大型ほ乳類です。
その奥歯は鉄火巻きのような歯をしています。
その独特な歯ゆえに食べ物が限定され、環境の変化によって絶滅したようです。
先日行った群馬県立自然史博物館に化石が展示されていました。
角を生やして絶滅
ケラトガウルスは地中の巣穴で暮らすリスの仲間で、げっ歯類では唯一角を生やしていました。
その角はメスへのアピールや他の群れとの闘いに使ったようですが、地中で暮らすには不便なうえに角に栄養を取られて生き延びるのが大変だったようです。
イラストが結構かわいいです。
方向性を見失って絶滅
アルクトテリウムは巨大なクマで、南北アメリカがつながった時にいち早く南へ進出して成功した種でした。
しかし巨大化しすぎたのが災いし、後続の素早い種に負けてエサがとりづらくなってしまいました。
立ち上がると4mもあると言われても(笑)。
【絶滅しそうでしていない!】
最強にならなくて生き延びた
サメは太古の昔から存在しましたが、古代の魚類や恐竜などのライバルが常にいたため、海の王者にはなれませんでした。
しかしそれゆえに体の大きさもそこそこ。必要なエサの量もそこそこ。
おかげで度重なる環境変化でも滅びることなく、今も生き続けています。
命が短くて生きのびた
カゲロウは儚いものの例えに使われます。
彼らはゴキブリが現れる前から存在していたと言われています。
成虫になってからの寿命は1日ですが、100万単位の成虫が一斉に成虫となり繁殖するので、天敵も食べきれずそこそこ繁栄しています。
【わけあって繁栄しました】
人間に便乗して繁栄
ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミを合わせてイエネズミと呼びます。
彼らは人間の住み環境に適応して繁栄しました。
3種とも住処や食べ物が少しずつ違うので共存できています。
人間の天敵になって繁栄
カは人間の血を好んで吸うことで繁栄してきました。
わずかな水で繁殖できる彼らは人間の後を追うように生息域を広げてきました。
血を吸う際に病気を媒介し、年間70万人くらい殺しているそうです。おそろしや。
枯れ木を分解して繁栄
どこでもよく見かけるキノコ。
木にはリグニンという物質が含まれていて、細胞を固めることで水分の蒸発を防ぎ大型化しました。
昔はリグニンを分解するものがおらず、枯れ木は地中に溜まる一方でした。
そこに登場したキノコは枯れ木を分解することで栄養素を取り出すことができるようになりました。
自然界では木を分解するという重要な役割を担っています。
【教材としてさらにグレードアップ!】
前作は絶滅したおおまかな理由別に章分けされていました。
今回は古生代、中生代、新生代、現代と時代ごとに分けられています。
各章の間にコラム「地球さんの手記」が載っています。
これを読むと各時代の地球環境を知ることができます。
また人間インタビューというコーナーがあります。
多くの種族を絶滅に追いやった人間ですが、なぜ絶滅させてしまったのか、絶滅はしょうがない派、滅ぼしたくない派それぞれの意見が載っています。
今回はこうした学術的な部分が増えているように思います。
といっても堅苦しいものではなく、子どもたちにも楽しく読みながら学ぶことができるようになっています。
中でも人間インタビューが良かったです。
それぞれの意見を並べていて、押しつけがましくないのが良いですね。
読む側が自分でしっかりと考えて意見を持つことを促していて、子どもにぜひ読んでほしい内容になっています。
わけあって絶滅しました。 世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑 [ 今泉忠明 ]
前作わけあって絶滅しましたです。
紹介記事はこちら。
よかったらクリックお願いします。
にほんブログ村