長男、転ぶ
部活がなかった長男は、近所の小学6年生より20分早く、3時半に帰宅した。ヒマなので、図書館に出かけた長男は、自転車で転んだと言って、顔やら腕やら、あちこちすりむいて帰ってきた。自転車もライトが割れ、泥除けも取れてしまっている。一体どんなスピードで走っとったんや。早くに帰宅した夫が、薬局に行ってガーゼやら絆創膏やら、巨大なバンドエイドやらあれこれ買ってきてくれた。それを貼ってもらいながら、「横向きに倒れたから、この程度ですんだと思うねん。もし、まっすぐ前向きに転んでたら、頭をケガしてたと思うわ」と目をキラキラさせて長男は語っていた。自転車で、まっすぐ進行方向に頭から転ぶってアンタ、それは前輪だけブレーキかけたときやで、と心の中で突っ込みを入れていたのだが、次男と三男は、兄ちゃんの話に夢中である。「頭から転んだら、首の骨折れる?」「首の骨折れたら、死ぬの?」「どうして、兄ちゃんは前向きにころばへんかったん?」等々、質問攻めだった。そんなに興奮するか?男の気持ちはようわからん。