2020/08/26(水)17:09
鳴くはずもない動物の鳴き声
犬はワンワン、猫ならニャーニャー、馬ならヒヒーン。身近な動物の鳴き声なら知らぬ人はいませんね。ではタニシはどう鳴くかご存知か?
タニシって川に生息する巻貝のタニシです。私らが子どものころは、田んぼにもごろごろいましたね。そのタニシなんですが、タニシが鳴いたって話、未だかって聞いたことはありませんが。
「うたの動物記」(小池 光 著)より、俳句や短歌の世界では鳴くはずのない動物が鳴くという話題。
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ではタニシはどう鳴くのか?
松山中学校教師時代、しきりに子規に句稿を送って批評を乞うていた漱石の句。
よく聞けば田螺(タニシ)鳴くなり鍋の中
永井荷風はこう詠んでいます。
しのび音も泥の中なる田螺哉
圧巻は北原白秋
かはづの啼くはころころ、田螺(タニシ)の啼くはころろよ
ころころ、ころろ、ころころ
萌え来(こ)よ、春の下(した)ん田(だ)
なんとタニシは、「ころろ」と鳴くのであった。
ちなみに「田螺鳴く」は春の季語。同じく「亀鳴く」も春の季語。「蚯蚓(ミミズ)鳴く」なら秋の季語。鳴かないものが鳴く三大季語なのだそうです。
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