駅そばの東西の境界線はどこか・・・?
世にそば好きの方は多いことと思います。中でもお手ごろの値段で手軽に空腹を満たせる優等生といえば、駅そば。私も所要で旅先の駅に降り立って、駅そばの暖簾が揺れていれば、暖簾をくぐらずにはいられない口です。そんなそば好きに送るお奨めの一冊。『「駅そば」読本』 (鈴木 弘毅 著)【楽天ブックスならいつでも送料無料】「駅そば」読本 [ 鈴木弘毅 ]価格:1,028円(税込、送料込)著者であるフリーライターの鈴木さんは、なんと全国1,700軒の駅そばを食べ歩きしたというのですが、これはそば好きというよりも最早そば狂いの領域に近いと言った方がいいかもしれませんね。(笑!鈴木さんのこだわりは、鈴木さんの定める「駅そば」の定義からもうかがい知ることができます。駅の構内に限らず駅から徒歩5分以内に店を構えていること。提供時間が1分から5分であること。一番シンプルなものが400円以内であること。店の作りが調理場が中央にあって、それを囲むように客席が作ってあるシンプルな構造であること等々。並々ならぬ「駅そば」へのこだわり、ただただ恐れ入るばかりです。さらに駅そばの「だし」と薬味に使用する「ネギ」についての記述は、日本の地域による食文化の違いを教えてくれるもので、ひじょうに興味深いものがあります。東のかつお、西の昆布というだしについての東西の線引きは、東海道線では岐阜大垣駅までがかつお、滋賀県米原駅まで行くと完全に昆布ということでした。北陸線での境界は富山駅。構内に2軒ある店のうち1軒はかつお、もう1軒は昆布だということです。ネギについては、東は白ネギ、西は青ネギと言われていますが、その境界はというと、静岡県の熱海駅までが白ネギ、三島駅から西は青ネギだということです。だしは東の静岡県でありながら、ネギはその静岡県でも西と東に分かれているというのは、ひじょうに 興味深いですね。私は富山県でも西部に位置する高岡市に住んでいますので、鈴木さんのいう駅そばのだしの境界線のやや西側圏になりますか。当地では、かつおも昆布も両方使ってだしをとっているようですが、富山のだしと比べると確かに色はずいぶん薄いです。しかしお隣石川県金沢で食べる駅そばは、高岡のものよりずっと京風のだしで、富山のだしと比べるとまるで色がついていないようにさえ思えるほどの薄い色です。使用している醤油で東西を分けるとすれば、富山県までが濃い口、石川県へ行くと完璧に薄口となりますから、境界線は源平の合戦で有名な倶利伽羅(くりから)峠ということになりましょうか。(←これは私の説です)ちなみにネギは完璧に白ネギですから、富山県では静岡県とは逆で、ネギは東であるのに、だしが東西混在していることになりますね。さらにだしに使う醤油でいえば東というのですから、ややこしい。(笑!私は地元ですから富山駅の構内でも駅そばを食べた経験は何度かありますが、さすがに駅そばのはしごはしませんので、鈴木さんのような東西のだしの違いに気づくようなことはありませんでした。今度富山駅へ行って検証してみようと思っていますが、現在富山駅は北陸新幹線開通に伴う大改修工事を行っている最中なので、構内の駅そばはどうなっているか分かりません。新幹線が開通し装い新たになった富山駅でもかの駅そばが2軒とも店を開いていますように・・・。そのときは、薬味のネギはともに白ネギでも、東西の違っただしの「駅そば」を必ずはしごして、鈴木さんのように「旅情をすすりたい」と思っています。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**