2015/10/01(木)12:18
第四回★それでも先生が100%満足できないワケ
生徒が10人いると、そのうち2人は練習しない? ピアノ教室における「2:6:2」の法則とは?
★第四回・それでも先生が100%満足できないワケ★
個人のピアノ教室を運営されている、「練習してこない生徒率が高くてお悩みの先生」は、ぜひお読みください。
こんにちは。横浜市でピアノ指導&コーチをしております、林美紀です。
ピアノ指導者向けプチ連載の第四回です。
今回で最終回です。
総合目次はコチラです。
前回までの記事では、『10人生徒がいれば、2割はよく練習してくる、2割は全く練習してこない、6割はどちらともいえない』という「2:6:2の法則」をご紹介し、その中の「フォローなしでも練習してくる2割の生徒」についてお話しました。
「フォローなしでも練習してくる2割の生徒」の目では見えない部分を「目に見える形」にして、他の生徒さんに示してあげる。そのことによって、周りの生徒の気持ちが引っ張られ、教室全体が良い方向へ向かっていく、ということでした。
第三回目の記事はコチラ
この連載では、三回にわたって、教室全体の割合という切り口からレッスン戦略を練る方法をお伝えしてきました。
最終回は、キラキラ生徒が増え、教室全体が活性化してきたあとのお話です。
★第四回・最終回「それでも先生が100%満足できないワケ」★
仮に、「キラキラ生徒」をふやし、練習してくる生徒が増えてきたとします。
練習してくる子が増えた!
以前より活気が出てきた!
生徒も育ってきた!
そのとき、先生は100%、生徒に満足しているでしょうか?
おそらく、そのようなことはないと思います。
練習してくる生徒率20%から、90%までにあげていったわが教室も、細かく見ていくと、完璧というわけではありません。
以前はそのことで、モヤモヤしていた時期もありました。
練習はしてくるけど、その中身がイマイチ……
せっかくここまで進んだのだから、もっと熱心に、気を入れて弾いてほしい!
音色にもこだわってほしい!
などなど、「できていない部分」が気になったり「もっとできるのではないか」と感じたりして、常に解決方法を探していました。
でも、あるとき気づきました。
7~8年前の「ピアノを習っていることすら忘れている子がほとんど」「高学年になってもソナチネどころかブルグミュラーすら到達しない」という時期から見てみれば、「生徒に関する悩みの質」が、明らかに違ってきているということに!
以前は、「レッスンで初見状態なのがみえみえ!」「以前習ったはずの音が読めなくなってる~~~!」
そんな悩みでいっぱいいっぱいだったのが、
「練習はしてくるけど、言われなくても曲の表情を読み取って弾いてほしい」
「ブルグミュラーを2曲譜読みしてきたのはいいけど、運指が間違えだらけ!」
「ソナタは生き生きと弾いてくるのに、なんでバッハは面倒がるの?」
そんな悩みに変化していました。
7~8年前と比べて、教室全体の質が、じょじょにアップしていたんです。
それゆえ、以前は気にならなかったことが、気になり始めたんですね。
それは、ピアノ教室や先生自身の「成長のあかし」!
教室全体の「ステージ」があがれば、以前と同じ「2:6:2」の比率であったとしても、ひとり一人の中身は、よりも高いレベルになっているはずです。
それに伴って、こちらの要求レベルも上がってきています。
自分や自分の取り巻く環境のステージが上がると、人は、現状に満足できなくなるものだからです。
そう気づいてから、生徒に対してモヤモヤを感じることは少なくなりました。
そして、モヤモヤするかわりに、どうすれば、自分の思いが、自分の指導が、より生徒の心に届くのか、それを考えることにしました。
生徒の思いや状況を丁寧に聴きつつ……
いま、これをやるのは何のためなのか。
それが「あなたにとって」将来的にどういう役に立つのか。
ピアノを奏でることの素晴らしさとは。
そういった想いを、ただ伝えるだけではなく、私自身や他の生徒の演奏、ピアノを楽しんでいる大人たちの演奏、生き方、考え方を見せつつ、試行錯誤をするようにしました。
すると、将来的にはこんな教室にしたい……
そのためには、こんなふうになりたい。
以前とは違った景色が、心の中に広がってくるようになりました。
生徒さんの可能性は無限大!
先生の可能性も無限大!
先生が成長すると、教室も成長します。
教室が成長すると、先生も成長します。
先生が生徒を置き去りにすることのないよう……
バランスをうまく取りながら、理想のピアノ教室づくりを考えていこう。
いま、あらためて、そう感じています。
ピアノ教室における「2:6:2」の法則。
今回はちょっと変わった切り口で、ぷち連載をしてみました。
最後はへんなオチになってしまいましたが、連載を通して、ピアノ教室は生き物、それも、先生の意志だけでは動かすことのできない、手がかかるけど可愛い生き物なんだなと感じました。
お読みいただき、ありがとうございました(*^_^*)