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夏目漱石「こころ」 こないだから、20年振りくらいに「こころ」を読みました この物語は、確か高校の時に教科書に一部が載っていたので、すぐに買って読んだのがもう30年以上前 高校の時に読んだときは、失恋した男が自殺してかわいそうだとか、原因となった「先生」まで死ぬことは無いのになどと、お気楽な極めて客観的な感想しか持たなかった 二十歳前後に読んだときは、誰にでも起こりそうな恋愛事情であり、なんとなく分かるという状態 結婚前に読んだ時には、どんな感じを持ったかよく憶えていない 憶えていないということは、そんなに心が動かされることは無かったのだろうと思います 先日、ちび2が読んだ「こころ」の文庫本を見つけた 通勤の電車内で読み始めました すると、昔読んだときは初めの100ページくらいまでは、とても退屈に感じたのに、今回はいきなり冒頭から引き込まれました まず、前半の主人公である「私」 憂いを含む「先生」に対し、過去は分からないが何か惹かれるものを感じ、親しくなる 「先生」は、きれいな奥さんと2人暮らしだが、この世を冷め切った目で見ており、主人公にはそれが格好良くも見える 奥さんは、昔はそうではなかったと「私」に説明する 「私」は、先生の過去に強い関心を覚えるが、先生は「その時が来たら話す…」として決して過去を語らない 後半は、「先生からの手紙」 先生が主人公である 下宿のお嬢さんに恋をした先生と、同郷で同じ下宿に住み、これまたお嬢さんに恋をする「K」 先生もお嬢さんに惚れているとは知らず、Kは身の上を先生に相談する そして先生は、Kのいぬ間に、Kを出し抜いてお嬢さんを妻にする了解を取る Kは、しばらくして自殺する その後お嬢さんと結婚した先生は、Kに対する思い、妻に対する思いに押しつぶされ最後は死を選ぶ 昔読んだときは感じなかった「哀しさ」… どうしてこんな哀しいことを書けるのか… 誰にも一度くらい、この主人公のような恋愛を体験したことがあるのではなかろうか? しかし、大抵の人間はそれによって自殺することなど無く、やがては別の幸せを模索し、そのとおり幸せになる この物語を読み返して、強烈に感じることは、先生はお嬢さんに恋してはいたが、愛してはいなかったということだろう 自分の手に入れるために、親友を欺いてまでプロポーズする こんなフェアでないことが出来たのは、「恋」であって「愛」ではない 結婚後の先生は、次第に妻を愛するようになったのだろう 愛する者の前では、フェアな自分でいなければならない しかし、無理にそれを装う自分が許せない その葛藤を事細かに主人公への手紙に綴る 今回の読み返しは、1ページめくる毎に、深くうなずいてしまった 誰もきれいなまま人生を送るわけではない 自分もまた、そうなのだと… ご心配なく 僕は、絶対に自殺なんかしませんから… 皆さん、若い頃読んで少しだけ心が動かされた本をもう一度読んでみませんか? 僕は今回の読み返しで、物語の意味だけでなく、自分の深層にある思いが垣間見えました 本当に漱石は奥が深い なお、こころはマンガ文庫でも販売されています まんがは、春に読みました まんがで読破「こころ」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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