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カテゴリ:母のひとりごと
小さい頃からずっと憧れていたピアノ。
私にとってピアノはお嬢様の象徴のひとつだった。 あれは小学生の時、同じクラスの「きょうこちゃん」の家に遊びにいった時の事。かわいくて人気者で一人っ子のきょうこちゃん。 ひとしきり遊んで一緒におやつを食べた後、「ピアノ弾いてあげるね」といって何曲か弾いてくれた。なんだか妙に緊張してしまったのを覚えている。 そのうちきょうこちゃんのお母さんが買い物から帰ってきて、「今夜のごはんはグラタンでいい?」ときょうこちゃんに聞いていた。 グラタン。 テレビコマーシャルの「ハ◯スのグラタン」でその存在は知っていたが、いったいどんなに素敵なご飯なんだろう。いいな、きょうこちゃん。ピアノも上手だし、かわいいし、グラタンなんかご飯にでてくるし。 などと思いながら、夕暮れ道をとぼとぼ歩いて我が家にたどり着いた。 家では弟と妹がケンカして騒がしく、私の頭の中の「もしも私がきょうこちゃんだったら」という楽しい妄想から、一瞬にして現実に引き戻されてしまった。その上、この匂い。 今夜は「さばみそ」だ。 あんまりだ。 グラタンとさばみそじゃ。きっと一生お嬢様にはなれない。ピアノも弾けないし。私はおのれの境遇を呪った。 そしていつしかピアノは憧れの楽器となり、グラタンは「お嬢様のお食事」のイメージが焼き付いた。 5年前、その憧れの楽器、ピアノが手に入った。 日本に帰る駐在の友人がピアノを売りたい、というのだ。「誰か欲しい人いるかしら」の問いに、後先も考えず手を上げていた私。 ヘソクリから無理矢理お金を引き出し、そのアップライトピアノはとうとう、うちの子になったのだ。 最初は「こどものバイエル・上」という本を紀◯国屋書店で買ってきて練習した。わはは、楽勝、楽勝。 次、「こどものバイエル・下」行ってみよう!というわけで早速購入し、家路についてわくわくとピアノの前に座ったら、口あんぐり。 何だよ、これ。どうしていきなり、こんなに難しくなっちゃうんだよ。 難解な音符を前にめまいを覚える私。 そう、その本屋にはなかったけど「子供のバイエル・中」というのがあったのだった。結局注文するのも面倒なので、そこで挫折。 去年から長男がピアノに興味を持ち始めた。 経済的に厳しいので習わせてはやれない。すると奇特なお方が現れた。友人のご主人なのだが、大学でピアノを専攻していた人で、ただで息子に教えてくれるというのだ。一応ある時にあるだけ支払うという事で話はついて、息子のピアノレッスンが始まる。 でもこれを利用しない手はない。 息子が習って来る事は、母も自分で練習した。鈴木メソッドってそうなんだよね、と思いながら、とにかく自分も間接的とはいえ、ピアノが習えるのだ。 わーい。弾けた弾けた。まだまだ道は長いが少しは曲らしいものも弾けるようになった。こうなったらヨボヨボになっても続けてやる。 お嬢様の条件はすっかりそろった。 グラタンも自分で作れるようになった(あまり好きじゃないけど)。 ピアノも少しは弾けるようになった。 なのにすべてはIt's too lateである。 鏡の中の自分はかわいいきょうこちゃんではなく、どこから見てもそのお母さんである。あー、もう。自分に女の子がいたらなあ。素敵なお嬢様に仕立て上げるのに。 本日の夕飯: 本日、友人宅での合同ガレージセールで極度の疲労を覚えたため、チャイニーズスーパーでお食事をテイクアウト。 3Items その1/炒飯、セサミチキン、牛肉とブロッコリーの炒め物、しいたけと厚揚げのうま煮、酸辣湯付き $4.99 3 Items その2/焼きビーフン、卵とトマトの炒め物、豚の角煮、春巻き、ワンタンスープ付き $4.99 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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