シングル母のアメリカ暮らし

日本から姪が来た。


３年ほど会っていない姪は、
びっくりするほど妹に似て来た。
前回会った時は小学生だった姪も
今回は中学生になっていた。
もっとも背丈は思ったよりものびてなく、
空港のゲートから出て来た小柄な女の子を
一瞬識別する事が出来なかった。


私は彼女が生まれた時から立ち会ったし、
はじめての姪が可愛くて可愛くて、
目の中にいれてもおかしくないほど。
毎月小さなアルバムの写真を入れ替えては
「今月のAちゃん」と銘打って、
無理矢理みんなに見せ回っていたのだ。


子供が小さい頃は毎年のように日本に帰ってたし、
妹もしょっちゅうアメリカに子供を連れて来ていたので
あまり距離感を感じなかった。


姪が５歳のとき、ハロウィンに遊びに来た。
最初で最後だろうハロウィンをゴージャスなものにしようと
オレンジ色のおとなっぽいロングドレスを買い、
パールや小さな花を縫い付け、
白い手袋をしてブーケを持たせた。
もともと顔立ちの涼やかなきれいな子なので、
年よりも大人っぽく見え、
ほんの少しの化粧と髪をいじっただけで、
目が覚めるほどきれいなプリンセスになった。


その姿でショッピングモールを歩いたら、
ブティックの店員さんたちが、
「ちょっと見てあの子！！！」と
店の中から飛び出して来たほどだ。
いろんな大人がため息をついては振り返った。
オバ馬鹿ではなく、本当にきれいだったのだ。


そんな姪が日本から一人でやって来たのだ。
もう５日目になるが、すっかり時差ぼけも抜けたようだ。
きょうから半日の英語学校に行っている。
１３歳なので受け入れ先もあまりなかったが、
家の比較的近くに一軒みつかった。
小さなアットホームな学校で、
今日は大人の人にまじって楽しく過ごしたようだった。
今日はベビーシッターのYちゃんに迎えにいってもらったのだが、
午後のクラスを取る他の人たちに「もう帰っちゃうの？」と
言われたとかで、明日からもう少しお迎えが遅くてもいいと言っていた。


この子は小さい頃からわりと飄々としてて、
社交的だしマイペースなので心配はしていなかったけど、
どこにでもすんなりとけ込んでしまう。
１３歳は微妙な年頃だと思ったけど、
ホームシックもなくたんたんと楽しんで過ごしている。
よほど両親の方が、いろいろ気をもんでいるようだ。
もともと彼女は私と妙にウマがあうのだ。
私も彼女の滞在を楽しんでいる。


今日はふたりで日本町の定食屋さんに行った。
私はメンチカツとタラの塩焼き、
姪はトンカツと刺身と切り干し大根。
ふたりで「あー食った食った」とお腹をさすりながら店を出た。


この子はまだ若いのに食生活が老成化している。
納豆ご飯と味噌汁、または卵掛けご飯、
漬け物に豆腐に野菜の煮物などが大好物。
肉よりは魚、ジュースより日本茶、
クッキーよりたくあんが好きな１３歳だ。（笑）


あと３週間ここにいる。
きっとあっという間だろうな。
姪が帰る日の事を考えて今から寂しくなっている。
長期計画で、姪をアメリカに移住させる計画を
ひそかに目論んでいる私だが、
姪の父親（私の義理弟）はアメリカで大学に行かせる気なので、
わたしの密かな計画もそう無茶ではなさそうだ。


仕事も忙しいのでムチャクチャになりそうだけど、
できるだけ色々なところに連れて行ってあげよう。
願わくば息子達もちょっとだけ日本語がうまくなりますように。