四方田犬彦「モロッコ流謫」
モロッコへの旅に向けて、四方田犬彦さんの「モロッコ流謫」という本を読みました。映画評論家であり、文芸評論家・翻訳家でもある四方田さんらしく、ポール・ボウルズやジャン・ジュネなどのモロッコでの足跡を紹介しながら、作品批評を繰り広げています。見たことのない映画や読んだことのない作品もいろいろ登場するのですが、ストーリーを紹介しながら語っているので、読みやすくて、すっと文章に入っていける感じです。特に、アルベール・カミュの短編集「追放と王国」の中の「不貞」とポール・ボウルズの小説「シェルタリング・スカイ」を比較している文章は読み応えがありました。モロッコの魔術的な魅力が伝わってきて、とても興味深い一冊です。写真は、ある路地裏に置かれたエアコンの室外機。