Sさんの昔話:笑える失敗談の巻
よく昔の話を聞かせてくれる、87歳の知人 Sさん(♂)。先日、若かった頃の失敗談を話してくれたのですが、これがおかしくって。とある夏の日、Sさんが悪友3人と電車に乗って競馬をやりに行った時のこと、終わってみると財布の中身はスッカラカン、帰りの電車賃すら残ってなかったそうです。というか、帰りの電車賃は借りればいいや、って思っていたんですって。誰かが電車賃くらいは残しているだろう、そう思っていたそうです。ところが、気が合いすぎるのか、3人が3人とも同じ考えだったというから驚きです。「お前…ないのか?」「えッ!お前もか?」「もしかして…お前も…?」「・・・。」その時の様子を想像すると、何だかおかしくて爆笑してしまいました。さて、状況を悟った3人は、仕方がないので、電車の線路をたどって歩いて帰ることにしたそうなのですが、その途中、川にかかった線路をトボトボ歩いていた時、ナント…電車が来てしまったんですって!3人は、迷わずいっせいに川に飛び込みました。おかげで、ずぶ濡れ…。その上、靴は流され、3人とも裸足になってしまったそうです。道は砂利道で、長い距離を裸足で歩くには、結構キツイ。。。途方に暮れていると、ふと、管理小屋(?)を発見。超ラッキー☆(と、思ったに違いない)そこに休憩させてもらいに行ったそうです。その小屋から出て来たのはおばあちゃんで、裸足の3人にわらじをくれたそうです。それと、もうひとつ、『たっぷり説法(説教)までもらったわ。わっはっは。』ですって。“家族がどれだけ心配してることか…!”と、叱られたそうです。そして、小屋を出て再び歩き出し、やっとの思いで家に到着した時、何時間も歩き続けたのですから、無理もないのですが、小屋のおばあちゃんからいただいた わらじはもうボロッボロになり、鼻緒(はなお)も切れかかっていて、かろうじて親指がとまっている状態だったそうです。Sさんは、もうヘトヘト…でも、そんなSさんを待っていたのは、長く厳しいお説教だったんですって。Sさんの話は、聞いていてほんとに楽しい。(戦時中の悲しい話もあるけれど…)今の日本が失いつつある、人と人との温かい関係や人の生命力の強さが感じられるし、すご~く人間臭いところなんか、大好きです。物は少なかったけれど、心は豊かだった時代。というより、物が少なくて今ほど便利でもなく、人は手を声を足をしっかり使っていたから、心も豊かだったのかもしれないですね。それにしても、タフですよねぇ…この年代の方って。