ミステリの部屋

2006/02/25(土)00:00

斜め屋敷の犯罪:島田荘司

日本ミステリ(さ行作家)(25)

今年は本の読み方を変えようかと思います。 私はシリーズ物だけでなく、本はできれば書かれた順に読みたくなる性分でした。 これまで順番にこだわる余り、読みたい本を後回しにしたり、読み出すのに時間がかかったりしていました。 昨年読むつもりだったエラリー・クイーンの国名シリーズは、最初の「ローマ劇場殺人事件」が進まないため、結局読めませんでした。 まあ、お風呂で読む本にしてしまったから、ということもあるのですが……。 お風呂で読んでいると、たいがい眠くなってしまい、同じところを何度も読んでいたりします。 そしてある時ついに取り落としてしまいました。濡れた本はドライヤーでは乾きません。結局1ページずつアイロンをかけるはめになりました。 何だか長い言い訳みたいになりましたが、私は御手洗潔シリーズ1作目の「占星術殺人事件」は読んでいませんが、手元にある2作目のこの作品を、えいっと読んでしまいました。 これは特集でも取り上げた雪と氷のミステリです。 舞台は北海道、真冬の宗谷岬。 雪は降り続き、海には流氷が浮かんでいます。 そこには床が斜めに傾いて設計された西洋館と塔が建っていました。 その名も流氷館。 そこで主人の浜本幸三郎がクリスマス・パーティを開いた夜、奇怪な密室殺人が起きます。 招かれた人々が警察に足止めされる中、次の惨劇が起こります。 連続密室殺人に警察は手を焼き、名探偵・御手洗潔が呼ばれて解決に当たることになりました。 「読者への挑戦」もある本格ミステリ。 うれしいことに見取り図もあります。 平面図ではなく立体なのですが、部屋数は10以上あり、同じ階にあっても違う階段を使わないと行けない部屋や、玄関からではなく外からでないと入れない部屋があったりと、かなり複雑です。 そして傾いているのです。 こんな建物が本当に建てられるんでしょうか。 犯人は何とか予想できますが、トリックは全然わかりませんでした。 それが全くとんでもないトリックだったので、私は愕然としました。 御手洗は陽気だしのんきに良く喋るし、ちょっと変な人のように見えます。 それも含めて、無駄なものが何もない構成には感心しました。 ただ女性同士の嫉妬の場面はちょっと古い型にはまっている気がしましたし、動機はやや弱いのではないかと思います。 とはいえ、驚くべきトリックは、間違いなく読む価値があると思います。  斜め屋敷の犯罪 :島田荘司

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