幸せをよぶ酒、シャンパーニュ
戸塚真弓 著「パリからのおいしい話」を読むフランス人の夫を持つ戸塚真弓さんのエッセー。パリに暮らし、さまざまな食について穏やかに語られていく。「マリ・クレール」に連載していた同タイトルを文庫化したものだが、読んでいて非常に楽しい。女性向きかも。フランス人にとって食とは何か?「なーるほど!」と思わずつぶやいてしまう。どうもフランス人が食べることに懸ける情熱は世界に類を見ないほどすごいことは間違いないらしい…。「パンがうまくなくなった」「フランス料理の王様ポ・ト・フ」「フランスのキノコ狩り」など、興味深いタイトルが並ぶ。その中で「幸せをよぶ酒、シャンパーニュ」という中に「シャンパーニュの泡は、なによりもきめが細かくて、 すきとおった美しさを持っている。 唇がふれるとこわれそうに肉のうすい上等の クリスタルのグラスにシャンパーニュを注ぐと、 チリチリと鈴が鳴るような音が聞こえてくる。」というくだりがあって、 「~唇がふれるとこわれそうに肉のうすい上等の~」なんていう感性がいいな~と思う。フランス料理ってなかなか縁がないが極上のスープをたまには味わいたいくなるような本だ。ちなみにパリには豚足専門店があるらしい。「パリからのおいしい話」 戸塚真弓 著 (中公文庫)