キリスト教の色(紫)
紫(または緋色)英語のVioletもPurpleあるいはCrimsonも、邦訳の聖書では、ときには紫、ときには緋色とされ、両者は厳密に区別されません。 紫はほね貝から得る貴重な染料として、古代以来、支配者、高位なる者に属する色とされ、431年のエフェソの公会議で、聖アンナの衣服に緋色を表現することが許されました。 インノケンティウス三世において、紫は王の尊厳、教皇の権力の象徴と解されました。それゆえ、キリストが総督の前に連行された時、紫の外衣をかけられたのは、一種の愚弄、嘲笑の意味を持ちました。(紫ではなく赤で描かれる事もある) 初期キリスト教美術で紫は神(キリスト)、マリア、及び皇帝とその家族や高官たちの衣服の色である。 のちには教皇の衣服は白、枢機卿の衣服は緋色という伝統が築かれた。 その他に紫の外衣が宝石象嵌のえる十字架とともに玉座に捧げられたり、聖体のある十字架とともに献納台に紫布が敷かれたり、紫は尊厳性の色とみなされています。 他方、紫は激しい悲しみの象徴として、キリスト教の受難の週では、司祭は紫のストラ(ストール)を身につけ、また祭壇も紫布で覆われます。 フランス王は喪に服するとき紫を着け、また葬礼の時の棺の上を覆うのも紫布。 さらに紫はマグダラのマリアの着衣のように、懺悔と屈従の色として表される時があります。