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北海道のアウトドア!

北海道のアウトドア!

大酒呑みの伝承

こんばんは!今日はトレーラーハウスにストーブを点火して、チビチビやりながら物想いにふけっています。

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究極のスローフードとは?そして、最高の酒の飲み方は?

そんなこと考えながら静かな夜を過ごしていますよ。


考えてみると、とても暇な思慮ではありますが、本当は生きる原点に抵触する命題なのかもしれないと考えるようになりました。そして、皆様にどうしても伝えたい思い出があるのです。

(写真はニシン漬)01.jpg

私が入学した小学校は、全校生徒16人の複合学級。

とても田舎で、道が閉ざされる冬にはスクールバスならぬ「スクール馬橇(ばそり)」で通学していました。

二キロメートルはなれた、隣のおうちには花子ちゃんがいてみんなのアイドル!かわいらしい花子ちゃんは子豚でした。

当時、流通の発達していない北海道の田舎では農家が豚を飼っていました。そして陸の孤島となる冬の貴重なタンパク源としていたのです。

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豚の世話は子供達の役目。一所懸命に可愛がり育てます。私も、家の残飯を持ってきては花子に与えていました。

春に出会った花子はみるみる成長して、ついにそのときが来たのです。

「花子とは、明日でお別れだよ。」

その農家のおじさんがいいました。暮れも近くなった今頃のこと。

その家の子供達と私は大声で泣いていたことを今でも思い出します。

次の日。私たち家族は、その家にお呼ばれします。新鮮な豚肉の「肉鍋」が振舞われるのです。

肉など、めったに見ることが出来ない孤立した村の最高のもてなしです。私は心臓が張り裂けそうになりました。

「花子。。。」

伺って見ると近所の人たちと、その家の子供達が笑顔で鍋をつついているではありませんか。

「おいしい!おいしいよ!」

一番泣いていたお姉ちゃんも、満面の笑顔です。そして私は無理やり食べさせられました。

「おいしいよぉ!!」

肉の甘さと経験したことのない美味。なんと、お代わりまでしてしまった私です。

私のオヤジが足を一本、お土産にいただき、物置の天上に吊るしました。ネズミやイタチもこれでいたずらできません。

貴重な動物タンパク。毎日少しづつ食べました。包丁を持って物置に行きガチガチにしばれた肉を削る役目は私の仕事でした。

「花子ちゃん。ありがとう。ありがとうね。」

いま、思うと最高の環境教育であり、食べ物を絶対に粗末に出来ない倫理を経験から学んでいた私です。

自分達の食べ物を豚へ与え、自分達が育てた豚はとても安全で、しかも薬なんて飲ませていません。美味しいに決まっています。この忘れられない味を、私は後にまた経験することになります。

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学生となった私はノルディックスキーの選手でした。毎年、今頃になると合宿が始まります。場所は日本でも一番寒い町。

上川の「朝日町」(現在は士別市と合併)

当時、全国から学生が集まってきます。そして町をあげて支援してくれる素敵な町でした。現役の私たちは町に3件ほどしかない飲食店に立ち寄るのが楽しみでした。

ある日、早稲田と法政の先輩に連れられ焼き鳥店に行ったのです。呑みました!店主も呑みました!呑みに行くと、とても喜んでいただけるのです。そして只に近い料金で飲ませていただきました。

そして私は「花子」に再会しました。

京都出身の早稲田が叫びました。「おお!この豚串!食べたことが無いくらい旨い!」
法政も叫びます。「こんな甘くて味のある肉!食べたことがないよ!」


私も叫びました。

「花子だぁーー!」

私は、懐かしさと酔いに任せて、もうなみだが流れていました。この味を私は憶えていました。とても忘れられない味。

オヤジがいいました。

「年末だから、近所で潰したブタな、お前らに食わせようと思ったんだわ。うまいべ!」

はい、旨いです。感動しました。感動したからにはまた呑みます。つまみが出てきます。シャリシャリのニシン漬けです。

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北海道の冬。それはニシン漬けの冬。

冒頭の写真のようにドンブリに盛られた漬物を私たちは馬の様に食べる。なくなるとオヤジが物置に行って取ってくる。繰り返す。シャリシャリのシャーベット漬物。

生姜がマイナス30度の夜に身体を温めて、キャベツとニンジンが冬に不足するビタミンを補ってくれます。そして、ニシンのアミノ酸とカルシュウムは健康を約束してくれるのです。

3人で樽に一つの漬物を食べ、お銚子75本。花子の豚串40本。お勘定7500円。

人情はここにも生きていました。オヤジも私たちもへべれけ!!外はマイナス33度。火照った顔を覆いながら帰ってきました。

花子とニシン漬け究極のスローフード。そして、北海道の最高のつまみ!北海道の大酒呑みはこんなご馳走を伝承して生きています。


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今日はここまで。今日は自家製のニシン漬けを食べて

はチビリチビリやっています。

酒飲みは愛すべき人々。そして私はこんな慕情にくれる

詩人でもあります。

今日は大酒呑みの歌。私の「慕情」でお別れです。

お酒を飲みながら読んでくださいね。さようなら。

BGMつき「慕 情」でお楽しみください。

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慕    情




もう引き帰せない歌方は

愛しき人の名前をうたう

ふるさとへ想いをかけて


石畳の見知らぬ町

行き止まりの小路

月明かりが濡らす


まるで彼をいざなうように



窓を叩いて泣いたひと

切ない肩で別れた夜を

今日も舞台にしていよう


船が行き交う波止場町

酒場の喧騒に隠れて

今日も詩を奏でいる


まるで償いの作業のように



ほんのつかのま夢を見て

まばたきほどの夢を見て

酒にまかせて奏でいる


愛する者に幸いあれと

旅立つ船へ願いをかける


もう引き帰せない歌方は

愛しき人の名前をうたう

なみだを酒にひたしつつ







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