倖和(サチナゴム)の妄想小説・・・

2008/01/30(水)09:07

東アジア大戦。その262。 潜水艦「神秘」 その11

戦争ゲーム(366)

↑ちょっと気合いが入ってきました。がんばります! 大国アメリカが没落した後の世界を想像しています…… その御伽噺第262話です。 橘一郎はかつて自分自身が潜水艦の艦長をしていたが、この船では全くそのような役割を担ってはいなかった。乗組員が通路ですれ違っても誰も彼に敬礼をしない。情報解析の仕事に専念しているようだった。橘は例の日本人の女性と飛行石の結晶が入っている原子炉の前で何やら話している。 加藤はその二人の側に寄っていった。二人は会話をやめようとせず続けている。 「……日本海溝にいけばより分かると思う」 「この潜水艦ではそんな深海に潜ることはできないわ」 「だが潜水ポッドを改良すれば何とか対応できるだろう」 「あなたの仮説では飛行石の結晶が日本海溝の底で作ることができるというのね」 「そうだ。原子炉を改造した飛行石の反応炉がヒントになる。磁気エネルギーの変化の様子を見ればさらに強い圧力が必要だが、それは深海が最適だろう」 「反応炉の中の圧力は確かに相当高い、温度もかなりの高温よ。だけども核融合を行なえるほどの値にはなっていないわ」 「いいかい、海溝にはおそらくマグマの吹き出し口がある。その中の条件は飛行石の結晶化を促すのに最適だと思う。私の計算では結晶が30キロもあれば核融合反応は可能だと思う」 「お取り込み中申し訳ないが……」  と、加藤が橘と女性の会話に割り込んだ。 「この潜水艦の飛行石をどうやって反応炉にセットできたんだ? 原子力の代わりに飛行石のエネルギーで潜航しているのだろう、いきなり実用化できるなんてすごいじゃあないか、橘君」 「実は偶然です。チョンジンの核爆発の後、たまたま発見された飛行石の結晶が人を浮かせたのを解析しているうちに、方法が見つかったのです。それで上海海軍にあった1隻の原子力潜水艦を改造することになりました。丁度、ウラジオストックで講和会議がはじまったころです」 「本当に君はいつでも水面下で活動するのが好きだな」  加藤はあきれた思いで橘の話をきいていた。 続く。

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