『合衆国再生』
『合衆国再生』 バラク オバマ著『オバマのアメリカ』を読んで、実際に本人が書いたものを読んでみたいと思い図書館にリクエスト。感想。いや~、面白かった。事実上、大統領選挙に向けての選挙公約集。けれども、そこには感情的なアジテーションはなく、冷静に細密に現在のアメリカが直面している問題を描写し、それに対する自分の考えを述べる。アメリカの現状が複雑にこんがらかっている問題をいくつも抱えていることを素直に認め、それに対し思考停止するフレーズ(「郵政民営化!」とかね)を叫ぶのではなく、少しずつ解きほぐしていくという強い意志を示す。白か黒かの2項対立ではなく、一つの合衆国を目指し、一致点を探そうとする。Bushの次に、こういう人物が大統領になるということが、アメリカのダイナミズムですな。まぁ、Bushのあまりのダメ加減こそが、オバマを大統領にしたという気もしますが。最終章は「家庭と生活について」。人間的親しみをアピールするため、というのはわかりきっているのだが、それでも好感を覚えずにいられない。特にミシェル夫人に、子育てへの参加不十分をなじられ、「うちは信じられないくらい運がいい」と弁明するくだり。ハゲしくシンパシーを感じてしまいます。原題は「The Audacity of Hope」。直訳すると、「希望の大胆さ」Audacityという単語、初めて知りました。本の中では、エピローグのところで「大胆不敵な希望」という訳で出てきます。読み進める中で、なんとも読みにくい翻訳だなぁと感じる個所や、単語の抜けなどもありましたが、これだけの大書を翻訳するのは大変なんだろうなぁ、と思います。Yamaパパ、Audacityをわからなかった時点で、原著にあたってみようというスケベ心は消えました。