983707 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

サトちゃんのいる風景

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Calendar

Freepage List

Category

2006.12.29
XML
「これを飲んでごらん」
 ビクトール博士は、ホアキンに錠剤を差し出した。 
 ホアキンがそれを飲むと、彼の体はたちまち小さくなっていった。

「どうだね、小さくなった気分は」
「なんだか不思議です。それにすべてのものが巨大に見えます」
「ははは、そうだろうとも。せっかくだから、私の体の中でも探検したらいかがかな」
 ビクトール博士が笑いながら言うと、
「じゃあ、早速探検してみます」
 ホアキンはビクトール博士の右目のまつ毛にぶら下がると、濡れた瞳へ向かって飛び込んだ。やがてすき間に入り込み、体内へ消えて行ったのである。
 
ホアキンは眼球の裏側にやって来た。
「なんだか熱いなあ」
気温は40℃くらいだろう、異常な蒸し暑さだ。どくどくと血液の流れる音がする。 
「場所を変えてみよう」

眼の裏側から、崖のようなところを降りていくと、鼻腔までやって来た。
鼻腔は呼吸の関係で、強風が吹いている。
「結構、風がきついなあ」
ごうごうと大きな音が響き渡っている。ホアキンは強風が吹くたびに、鼻腔から生えている毛につかまって、飛ばされないように踏ん張った。すると、
「ハークショーンッ」
轟音とともに突風に襲われ、ホアキンは体外へ飛ばされてしまった。

吹っ飛ばされたホアキンは、テーブルの上に着地した。振り返ると巨大なビクトール博士がこちらを見て、にこにこ笑っている。
「ホアキン君、おかえり」
「いやあ、貴重な経験をしましたよ」
「それにしても君はお利口だ。目から鼻に抜けたからね」





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006.12.29 06:20:02
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.