二代目のお嫁さんなり

2010/03/23(火)17:52

横道世之介【吉田修一】

本のはなしの巻(141)

いや~、面白かった! 九州の田舎から大学進学のため上京してきた「横道世之介」という青年の話。 大学入学時からの話で、大学生活、友人関係、バイトの話、恋の話・・・といろいろあります。 田舎から出てきた、垢抜けない純朴な青年、とでもいうか。 しょっぱなは、思わず「アハハハ」と声を出して笑ってしまうような場面も 多々ありまして。 東京に出て来たての男の子って、こんな感じだろうなぁ・・・って。 大学生活が始まって、東京でできた友人たちとの関わりもなかなか面白かった。 等身大の大学生のごくごく普通の毎日。でも、それだけなのに面白いの。 笑ったり驚いたり、素直で優しくて鈍感加減がいい具合にマヌケだったりする世之介。 主人公なのに、けしてオシャレでイケメンで、東京に染まってしまうヤツじゃないの。 物語は、普通の大学生の日常が描かれているのですが、さまざまなエピソードの合間に、 世之介と関わった友人たちの15年後、20年後が書かれていることで 世之介の人物像に深みが増しています。 あ、アイツ今どうしてるかな、って、ちょっとした時にそんな風に思い出して、 あの頃、楽しかったなー・・・ってクスリと笑ってしまう様な友達。 いくつになっても、なかなか会えなくても、心の拠り所ってやつかも。 そういう人物なので、ものすごく親しみが湧いてきます。 大人になった世ノ介の話はね、ちょっと切ない。 でも、あぁ、らしいよね・・・って思える内容です。 すごく面白かったのに、うまく伝えられないな。 吉田修一作品は「長崎楽乱坂」を読んだけど、暗くて情けなくて哀しくて って想いが強かったけど、横道世ノ介は、ホントに面白かったです。 去年、カリスマ書店店員が選ぶ今年の1冊という特集で、この「横道世之介」を 挙げた人がとっても多かったけど、なるほど納得、の一冊でした。 横道世之介

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