ネットの怪人20面相
今夜は少し趣向を変えていこうと思います。この絵は15,6世紀頃のヨーロッパの古い版画です。詳しく解説はしませんが、素晴らしくリアルな風刺画などがたくさん残っています。仮面舞踏会は一種の茶番劇のようなものです。仮装はしていますが皆およその見当はついています。しかしそれをばらしてしまうと、仮装パーティの意味がなくなって、せっかくの自由な会はぶち壊しになってしまいます。一時でも現実や日常のがんじがらめの束縛の中から開放されるために、知っていながら全員が暗黙の了解の上で見知らぬもの同士を演じるのです。この場は何をしても自由です。しかしここに集まっている人々は不自由な人たちばかりです。けしてお互いにばらさないという暗黙の約束さえ守っていれば、つかの間の安らぎと幸福な夜を過ごせるのです。そして一夜明ければまたどうにもならない現実の中で与えられた役を演じなければなりません。でも楽しかった昨夜も夢幻ではないのです。また仮面舞踏会の夜がやってきます。これもまぎれもない現実です。そしてどちらの現実にも、真実の自分がいます。仮面をつけたりはずしたり、違う役をやっていても、私自身に他ならないのです。仮面をはずした時、素顔をつけることを忘れずに。