函館でおきた高校生集団暴行致死事件
「おもしろい人だった」と小学生が嘆く。2時間以上にわたるリンチの末に、函館市の公園で命を落とした函館大有斗高3年、佐藤智也さん(18)は、児童館で子供と遊ぶ世話好きな少年だった。中学時代は、素行のよくない生徒から教員が守ってくれていた。それなのに、高校に進んでからもつきまとわれる関係が続いていた。「保育士になったら」と周囲に勧められていた高校生の将来を、無軌道な暴力が消した。 佐藤さんが26日夜、最初の暴行を受けた富岡中央公園の近くに、函館市富岡児童館がある。佐藤さんは小学生のころからここに来ていた。「大きくなってからは、クリスマスやもちつきなどのイベントで、準備や片付けをやってくれた。子供と遊んでくれて明るく、いつも笑いを振りまいてくれていた」。青木靖典館長は28日、そう話した。児童館の職員も「保育士になったらどうだろう」と声をかけていたという。 公園にいた小5男子は「おもしろい人だった。児童館でも優しくて、いつも元気で明るかった。お菓子をくれたし、鬼ごっこをして遊んでもらった」と話した。 だが、別の小5は言う。「一緒にいる人から、砂をかけられていたが、『やめろ』と言いながら笑っていた」。嫌がらせを受ける姿も、子供たちは見ていた。 犬の散歩を毎日している主婦(56)は、5~6人の少年と佐藤さんが一緒にいる姿をいつも目撃していた。 「だらっとした姿の友人とあの子(佐藤さん)がなぜ一緒にいるのか、よくわからなかった。子供好きのあの子がこんなことになって……。許せない」 佐藤さんが通っていた中学校の教頭によると、佐藤さんはあまり積極的に友だちを作るタイプではなかったという。1、2年のころ、喫煙や万引きなどの問題行動のある2、3人の生徒に佐藤さんが近づいたことがあった。心配した教員が、佐藤さんをこの生徒から引き離した。佐藤さんは非行に走ることはなかった。 卒業の際の生徒会誌に、佐藤さんは、「高校に行っても頑張ります」と一行だけ書き残していた。 佐藤さんの在校中の校長は「佐藤さんがいじめられていたという報告も受けておらず、この学年は先生の指導もあって大きな問題がなかった」と話している。 だが、逮捕された元同級生らは、「日ごろからいじめていた」と供述している。函館西署は、教員の目の届かないところで、いつから佐藤さんがいじめられていたのか、調べている。 (2007年8月29日 読売新聞)長くなったが、あえて引用した。人柄につけこむ悪辣さというやりきれいない思いと、どうしようもない残忍さ、平然と見物する失われた当たり前の心。函館でおきた。在校時の先生は知らないといい、同級生は知ってると言う。ただ、被害者が函館有斗高校の在校生であり、加害者の一部が在校している学校は異なる。有斗高校を責めるのはややお門違いである、誤まった先入観での短絡的な怒りは迷惑でしかない。もうひとつ、最初の暴行が行われた富岡中央公園(写真の通称たこ公園)、正直きたない。昭和公園は周辺に危ない人が多くたむろしているのもそのとおりであり、きっちり宜しくないところを加害者は選んでいる。