嗄夜の徒然BL読書日記。

　宣言通り、デルフィニア戦記の紹介をさせていただきます。が、これはあくまでBLジャンルにはカウントされないでしょう。でも、色々な意味でむっちゃ腐女子を引き寄せるかもしれません。(苦笑)　もちろんノーマル好きな女性や一般男性にも楽しんでいただける作品ですよ。

　茅田砂胡／著　　沖麻実也／挿絵
『放浪の戦士』 デルフィニア戦記 第1巻 (1993年 全18巻＋外伝1巻)
　新書版 中央公論新社 C★NOVELSファンタジア／出版社・シリーズ

　暖かい陽光に異変を感じ取り、快い眠りからぼんやり目を覚ました『リィ』(グリンディエタ・ラーデン・13歳)は、けれどいずれ相棒が起こしてくれるだろうと再びそのまままどろんでいた。
　黒い髪に豊かな長身、旅支度の自由戦士らしき男『ウォル』(24歳)は、15人もの大人数に襲いかかられて、絶体絶命の危機に剣を握る手にも足取りにも余裕をなくしていた。5人を返り討ちにして包囲を抜け出したが、逃げ込んだ花畑で再び囲まれてしまった。1人の男に10本の抜き身の刃が相対する。と、男の目前の花畑の中で昼寝でもしていたのか、むくりと12・3歳の少年が起き上がったのだ！　殺されそうになっていた男が驚きながらも『逃げろ！』と叫んだが、横合いからすばやく回り込んだ曲者が少年の頭を狙って振り落とした剣は空を切り、一瞬の動作で返り討ちにされていた。少年は熟練者の構えでウォルを振り返り『助太刀するぜ』と悠然と言い放ったのだった。

　で。リィはどうやら全く知らない場所(異次元)に1人放り出されている事に気付き、自分の居場所もこの世界も全く解らない事に愕然としながらも、この命を狙われている男に付いて行くと決め、ウォルの目指す『デルフィニア』へと向かう厳しい2人旅が始まったのだ。

　正直、この2人には色々な秘密があって、1人の自由戦士と少年として出会ったのだけれど、リィは返り血を落とすためにウォルと共に水浴びをして、初めて自分の身体が男の子の筈なのに女の子になっている事に気付いたり、人間離れした戦闘能力でウォルの危機を何度も救って、返し切れない恩に戸惑いながらも2人の絆が強くなっていくのがいい感じです。この後、『ナシアス』(美技の剣士・27歳)などの魅力的なキャラがドカドカ出てくるのですが、キャラクター同士のやり取りや話のテンポが物凄く良くってグイグイ引き付けられてしまいます。
　まず試しに町・市営図書館で借りて読んでみてみて下さい。むっちゃお勧めです。
　2巻以降の紹介は数日空けてまたさせていただきたいと思います。宜しければお付き合い下さい。(苦笑)