カテゴリ:映画
29歳の青年ジョンドゥは、ひき逃げによる過失致死で2年6ヶ月の刑期を終えて出所した。
前科三犯の彼には出迎えはおらず、実家に帰っても家族に邪魔者扱いされる。 ジョンドゥはひき逃げ被害者宅へ謝罪に訪れたが、息子夫婦の怒りを買い、追い返されてしまう。 そのとき、その息子夫婦が脳性麻痺の妹コンジュを1人残して引っ越す様子を目撃する。 ジョンドゥはコンジュのことが気になり、再度訪問したことで次第に2人の距離は近づいていく。 韓国の映画賞を総なめ、ベネチア国際映画祭でも監督賞を受賞し、高い評価を受けた作品。 メロドラマのイメージの強い韓国映画で、こんな恋愛映画が観られるとは思いもしなかった。 障害者を扱った映画といえば、過剰に悲劇のヒロイン化し、お涙頂戴なものがほとんど。 でも、この作品はそんな陳腐なものではない。痛々しいくらい真正面から主人公2人を描く。 コンジュは重度の脳性麻痺。会話も困難で、硬直により日常生活も1人ではままならない。 ジョンドゥは前科三犯。コミュニケーション能力に欠ける障害があるように見える。 2人は決して自分を卑下したりせず、互いが互いを必要とし、ごく普通の恋愛をしようとするが、 家族や社会から疎まれ見放された2人の恋愛が、そんな生易しいものであるはずがない。 愛し合う者同士ただ一緒にいたいだけなのに、周囲の理解は得られない。 それでも悲しいくらい自分達の立ち位置を理解している2人は、周囲を責めたりしない。 ラストのジョンドゥの行動は、コンジュへの愛に満ちていて心打たれる。 ドラマチックな演出や派手な音楽などは一切なく、地味で静かだが、胸にぐっとくる作品だ。 主演2人の細部にまでこだわった完璧な役作りには頭が下がる思いだ。 特に脳性麻痺のコンジュを演じたムン・ソリは、役者魂を見せつける凄まじい演技だった。 障害者を扱った作品で、ある意味これ以上の作品はもう作れないかもしれない。 刑務所から出所したジョンドゥが、豆腐にかぶりつき牛乳を飲むシーンの意味が分からなかった。 これは、刑期を終えた人が身も心も潔白になるようにと白いものを食べる韓国の風習らしい。 ■オアシス おすすめ度(3点満点): お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年09月25日 09時06分13秒
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