ほほえみの御仏 -二つの半跏思惟像ー 東京国立博物館
中宮寺の弥勒菩薩(伝如意輪観音)様に会いに国立博物館へ梅雨の晴れ間も見えた一日、上野で優しいほほえみを拝見しました。10日まで国立博物館では日韓国交正常化50周年記念特別展が催されています。韓国ではこれに先立ち韓国国立中央博物館でも同特別展が開催されていました。中宮寺の半跏思惟像は聖徳太子の生母、穴穂部間人皇后のお姿を刻んだ7世紀後半の作と伝えられています。微かにほほ笑んだその美しさは優しさが漂いなんともいえない穏やかな弥勒様です。弥勒様は釈迦入滅から56億7000万年後にこの世に降り立ち人々を救済するために修行しています。天での修業中を弥勒菩薩、地上に降り立つと仏となり弥勒如来と称します。弥勒(マイトレーヤ)は300億近くの衆生を迷いから救済すると信じられています。名の起源はクシャーナ朝のミイロ、イランの太陽神ミスラ、インド古来のミトラの派生語ミトレイヤ(maitreya:有情ある)とも通じると言います。ガンダーラ、パミール山中、敦煌や朝鮮では交脚像、思惟像が刻まれていたと知られています。それほど昔から人々の救済を求める弥勒信仰は広かったのですね。ともあれ日本には世界に誇る美しい半跏思惟の二体の弥勒様があります。広隆寺の弥勒菩薩様には美しさに魅せられたあまり頬ずり(キス?)しようとした京大生がその右手の薬指を折ってしまったというエピソードもあるとか。今回展示されている中宮寺の弥勒菩薩様はなんとも柔らかく気品にあふれゆったりした姿勢、美しい衣の流れなど見ているだけで救われるような思いがしました。韓国国立中央博物館所蔵の半跏思惟像の弥勒様は6世紀後半の金銅仏。お顔も優しくふっくりした頬も当てられた指も銅造にはみえないほどやわらかでした。衆生救済を思案している日韓の弥勒様をゆっくり拝見し世界中の人が苦しみから救われるよう、悲しみがこの世からなくなるようお祈りしました。国立博物館の常設展もこの日に見てきました。その事はまた明日として今日はおやすみなさい。だれにも安らかな夜が、平和な明日が訪れますように。ご一緒してくださってありがとうございました。 ランキングに参加しています。応援してくださいね