ひと塾リベラダイアリー

2008/02/20(水)20:56

勝浦の漁船・イージス艦に衝突

ヒューマニティー(3)

   勝浦の漁船 イージス艦に衝突      漁師の親子冷たい海に行方不明  勝浦の漁船が19日未明、房総半島野島崎沖40キロメートルの海上で、イージス艦に衝突。ニュースで全国に放送されていますが、我が家はその勝浦市にあります。 勝浦は、ここ数年ビッグひな祭りで有名です。町の中は、すでにたくさんのおひな様が飾られて、華やいでいたのですが、この親子の遭難のニュースで街はひっそりと悲しみに耐えています。 事故があってすでに40時間以上たちました。脳梗塞を患って、体が万全ではない56歳の父親と、泳ぎの出来ない23歳の哲大君。蒼く広がる冬の太平洋の海を見ていると、二人がどこを流離っているのか胸が痛みます。 車で事故を起こしたって、救助活動が最優先なのに、救助活動もせずにさっさと母港に帰ってしまったイージス艦のやり方は怒りに耐えません。警笛を鳴らすこともなく、小さな漁船に乗り上げるようにしてぶつかったのだというのです。小さな漁船はまっぷたつに割れていて、操舵室はいまだに見つかっていません。 哲大君は地元高校の水産科に入学したのですが、お父さんが脳梗塞になったために、 「お父さんの漁を手伝うのだ」 と、一年で中退、漁師として親子で船に乗り始めたのです。  全国どこでもそうでしょうが、ここ房総も、漁業の跡継ぎが大変少ないのです。平均年齢は70歳近いのではないでしょうか。そんな中で、病を得た父の漁を継ごうという哲大君は、それだけでも大変なことなのです。 あちこちで、若者達がホームレスの人たちを襲うという、悲しい事件が頻発する中で、哲大君は、漁の側ら年に数回勝浦から、東京・上野のホームレスの人たちに、ボランティアで魚を届けていたのだというのですから、その優しい心に 胸を打たれます。 今時、自分自身だって決して楽ではなかったであろう暮らしの中で、つらい立場にいる人に、思いやりを寄せることの出来る、心優しい若者がいたなんて。 「魚の哲ちゃん」と呼ばれて、ホームレスの方達にとても慕われていたそうです。 冷たい風の吹きすさぶ、川津漁港にたたずんで、肩を寄せ合ってお題目を唱えて、二人の無事を祈る浜のおばあちゃん達の姿が、まぶたを離れません。 哲大君のおじさんのふりしぼるような怒りの声 「事故を起こして救助もしねえで、あいつらは船に乗るしかくはねえ」 深い悲しみをたたえたまなざしと共に胸に刺さります。 「つめたかろう、怖かったろう、泳げない身でどこを漂っているのか。泳げない君と、体の悪い父さんが互いにかばい合ってどこかでがんばっていて欲しいけれど・・・待っているたくさんの人たちがいるんだから、生き抜いて、帰ってきて欲しい・・」 と、ただただ祈るしかない。

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